1950年のアメリカ映画。
日本では、黒澤明の「羅生門」が公開された年。
主演は、ジョセフ・コットンとジョーン・フォンティーン。
まず、「旅愁」というタイトル。
洋画界のジンクスとして、漢字二文字の邦題にすると当たるというのがあるようです。
「慕情」「追憶」「卒業」「旅情」「哀愁」「黄昏」「情婦」「断崖」「十戒」
などなど。
いろんなジャンルがありますが、総じて恋愛映画多いという印象。
「旅愁」というと、日本には、この映画の以前から、広く歌われていた唱歌がありましたね。
「更け行く秋の夜旅の空の」というやつ。
この映画の現代が “September Affair” ですから、「秋」という文字に引っ掛けたのでしょう。
直訳すれば、「9月の出来事」みたいなことですから、これはなかなか、センスがある邦題をつけたと思います。
70年代に、西崎みどりが歌った「旅愁」という曲もありました。
ジョーン・フォンティーンは、1917年生まれですから、この映画の時は33歳。
彼女といえば、1940年のアルフレッド・ヒッチコック渡米第1作「レベッカ」の若妻役が印象的。
翌年には、同じくヒッチコック監督作品の「断崖」で、アカデミー主演女優賞を獲得しています。
Wiki して知りましたが、実のお姉さんがあの、オリビア・デ・ハビランドなんですね。
知りませんでした。
あの「風と共に去りぬ」のメラニーを演じた人です。
ジョセフ・コットンの方は、なんといっても、「第三の男」を思い出します。
オーソン・ウェルズの作品の常連。
その後、日本に来て、東宝の特撮モノにも出演していましたから、よく覚えています。
今回は、完全に色男役でしたが、彼のラブロマンスモノは、珍しいかも。
そういえば、コットンの妻を演じた女優。
映画の途中から、ずっと気になっていました。
どこかで見たことがある、この人。
映画女優ですから、もちろん当たり前なのですが、ジェシカ・タンディでした。
ヒッチコック監督の「鳥」で、ロッド・テイラーの母親役を演っていた人。
それから、もっとずっと後年の「ドライビングMissデイジー」で、アカデミー賞主演女優賞を獲得した方。
1989年の作品ですから、なんとその時彼女は80歳。
この映画はしっかりと見ていましたから、その印象が残っていて、この「旅愁」の彼女に引っかかったようです。
今このブログを書きながら、主題歌の “September Song”を、聞いていますが、音楽は当時の大御所ビクター・ヤング。
映画は、当時のヨーロッパでロケ。
ナポリやカプリ島などの観光名所もタップリ。
イタリア観光というと「ローマの休日」。
旅先で恋に落ち、男は既婚者というと「旅情」がありました。
これに、「運命のいたずら」という味付けをして、ラストはこの手のラブロマンスの定番。
安心して楽しめるクラシック恋愛映画でした。
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