何処かの国の総理大臣様に、是非読んでいただきたい一冊。
例えば・・・
「GNPよりも、GNHが大事。」
これは、ブータンの第四代国王が、記者の質問に答えたのが最初。
「ブータンの国民総生産は、世界最低ですが。」
「私たちは、国民総生産よりも、国民総幸福量を大切にしています。」
新聞記者たちは、目をシロクロ。
以来、この考え方は広く世界を駆け巡り、東京の荒川区では、区の政策方針の1つに掲げています。
日本国民に、今まじめにアンケートをとったら、いったい何パーセントが幸せというのか?
いや、それ以前に回答率が半分を下回るか。
「アメリカなどの大国とは付き合いません。」
これは、三代国王の選択。
アメリカばかりでなく、ソ連(東西冷戦当時)とも同様。
ブータンのスタンスは、どちらの陣営にも組み込まれず、たえず対立の枠組みの外側にいるという見事なパワーバランスの取り方。
どちらと付き合っても、ブータンのような小国は、その波をもろに受けてしまうという国王の賢明な判断。
そのかわりに、彼らがパートナーとして選んだのは、ヨーロッパの小国。
それに比べて、GNPはたいしたものなのに、いまだにアメリカなしでは生きていけない国にしてしまったのは誰?
「インドとは、100年以上仲良しです。」
インドだけではなく、ネパール、チベット、そして中国。
ブータンは、接する国のどことも、上手に付き合っています。
もちろん、近代史の中では、ネパール難民問題もありました。
でも、真摯な外交と気概ある交渉でクリア。
お隣の国と、いまだにスッタモンダしっぱなしの何処かの国とは、わけが違う。
どんなに気に入らなかろうと、国のロケーションは動かせない以上、お隣の国も動かせない。
そう思いません? 外務大臣様。
「無礼だ!」
あら、それは失礼しました。
「ブータンの役人は、賄賂を受け取らない。」
ある意味では、こんな悪しき国際常識が通用しない国なんですね。
これは、やはり仏教の教えが、役人にも浸透しているからでしょう。
そして、ブータンは小さな社会ですから、悪事は筒抜けになるというのも理由の1つと本書はいっています。
誰か、ブータンに獣医学部を作ってみません?
「国王自ら、民主主義への移行を決めました」
「国王は神だ」と、純粋な国民がみんなそう思っていた時代に、民主主義への移行を決めたのはまさにその神。
第三代国王は、とても進歩主義的な人物でした。
権力は蜜の味。
世界の歴史を見ても、今の日本を見ても、民主主義の仕組みの中から、この甘い蜜の味に誘われて、独裁政権を打ちたてようという欲の皮の突っ張った政治家はいましたが、国民のために、その権力を手放そうとした方が果たしていたかどうか。
「ホームレスはいません」
ブータンという国では、人々は必ず誰かとつながっているという話です。
もし、ホームレスになりかけている人がいたとしても、それがわかれば、家族や親戚がそれを見過ごすわけがないという至極明快な話。
これ以上のセーフティネットはないのかも。
「ほぼ全ての野菜が無農薬」
従って、ブータンの野菜は、サイズも形もバラバラ。
でも、それが本来の野菜です。
僕も、野菜農家の真似事を初めて5年。
それは痛感しています。
日本のスーパーに綺麗に並ぶ野菜が如何に不自然なものか。
というわけで、定年退職した百姓志望老人が、まずいってみたいと思ったのがこの国ブータン。
パスポートも再取得しました。
ビザも届きました。
今週の木曜日には羽田です。
忙しい我が国の総理大臣になりかわりまして、心してブータンを勉強してまいります。
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