実は、先日お邪魔した福島県金山町の霧幻峡でロケをした映画「ある船頭の話」をチェックしようと思って、畑帰りに立川まで出かけたのですが、なんと満席。
昔の映画館なら、立ち見もあったのですが、今のシネコンシステムでは入れてくれないんですね。
定年退職の身、行こうと思えば平日でも行けたのに、わざわざ人の多い連休の日曜日に行ったこちらの不覚でした。
こちらはまた出直すことにしますが、映画鑑賞のスイッチは入ってしまっていたので、帰りがけに「ららぽーと富士見」のシネコンに寄ってみました。
そこで、やっていたのがこれ。
「ロケットマン」とは、言わずと知れたエルトン・ジョンのこと。
「ボヘミアン・ラプソディ」は、結局見損なってしまったので、これはしっかりチェックしておこうという気になりました。
僕の世代は、ちょうどエルトン・ジョン全盛期にリアルタイム。
彼の名曲の数々は、今でも体に染みこんでいます。
そのエルトンの珠玉のヒットソングを、映画はどう料理してくれるか。
監督は、「ボヘミアン・ラプソディ」を撮ったばかりのデクスター・フレッチャー。
彼曰く、「前作は伝記映画。今回はミュージカル映画。」
双方とも、ロックスターを題材にした映画ではありますが、料理のアプローチはまるで別のようです。
まだ存命のエルトン・ジョンの半生を、彼自身をエクスキューティブ・プロデューサーに迎えて、如何にエンターテイメント映画に仕上げるか。
まず、エルトン・ジョンに関して、その楽曲以外で、僕が何を知っているか。
まず、彼の全盛期の楽曲の作詞を担当したのがバニー・トゥーピンであること。
エルトン・ジョンが、ゲイで、それをカミングアウトした後、男性と結婚したこと。
ドラッグのオーバードーズで、リハビリ施設に入院し、退院したこと。
当然、このすべては、この映画の重要なファクトとして脚本に盛り込まれていました。
エルトンの映画なら、このダークな部分は、避けては通れないところ。
ストーリーの柱は、エルトンとバニーの生涯にわたる関係です。
そのバニー・トゥーピンの歌詞のモチーフを上手に脚本に盛り込んでいたのはお見事でした。
「ちょっと待て。その曲は、その時点で、出来ているはずがない。」
リアルタイム世代なら、そんな突っ込みも入れたくなる箇所はいくつもありましたが、ここでそんな野暮なことは言いますまい。
とにかくこれはミュージカル映画ですので、まずはファクトよりもエンターテイメント優先で結構。
そこにケチをつけるのは、映画を楽しむ気がない奴が言うこと。
ノープロブレムです。
しかし、なんで監督はこの映画をミュージカルにしたのか。
映画を観ていくうちに、その理由は、おぼろげにわかってきました。
ゲイのエルトンを描くのに、男性同士のキスシーンやベッドシーンは必須。
この映画にも、ちょくちょく出てきます。
でもやはり、そのシーンは、LGBTへの理解が深まっている今鑑賞しても、ややヘビー。
衝撃的ではありますが、エンターテイメントとしてはかなり重い。
そのシーンを緩和する手法として、ミュージカルというスタイルを利用したのではないか。
ちょっとそんな気がしました。
ビリー・ワイルダー監督の傑作の一つに、マリリン・モンロー主演の「お熱いのがお好き」という作品があります。
製作されたのが、1958年。
当時は、もうカラー映画が当たり前の時代でしたが、ビリー・ワイルダー監督は、あえてこの作品をモノクロ映画で撮っています。
なぜか。
この映画は、全編にわたりジャック・レモンとトニー・カーチスの女装姿が登場。
その二人のシーンをカラーで撮ってしまうと、画面がドギツくなりすぎてしまう。
だから、あえてモノクロ映画で撮ることで、その生理的嫌悪感を緩和していた。
それと、同じ手法です。
ミュージカル映画に抜擢された主役のエルトン役タロン・エジャトンは気合が入っていました。
まず、挿入曲の自分パートは、すべて自分で歌っていたこと。
もちろん、シリアスな演技もこなせば、ダンスシーンもすべて踊っています。
本年度のアカデミー主演男優賞の、最有力候補とは、町山智浩の弁。
この映画を見て帰ってきたら、案の定、エルトン・ジョンが歌いたくなってムラムラ。
歌います。これ。
ひとつ失敗したことがあります。
映画鑑賞中にぽりぽりやるために、ポップコーンセットを購入。
680円。
健康志向で、セットのドリンクに、ブラック・コーヒーをつけてしまいましたが、これは明らかにミスチョイス。
映画館で、ポップコーンと一緒に飲むのなら、やはりコーラにするべきでした。
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