いやいや、70年代フォークの宣伝をしようというわけではありません。
「いやあ、やはりあの頃のフォークソングは、いいなあ」
などと、ノスタルジーに浸るわけでもありません。
僕のカラオケ道楽は、もう年季が入っています。
カラオケの初期も初期。
8トラックの、カセットをスピーカー付きのカラオケマシンにセットして歌っていたのが、一番初めのカラオケ。
幸いにも、父親が、どこで貰い受けてきたのか、これを持っていたんですね。
1つのカセットに、4曲ぐらいしかはいらない初期の8トラック。
決して上手くはないけど、人前で歌いたくてしょうがなかった、我が父親は、これで夜な夜な練習していました。
石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」
フランク永井の「有楽町で逢いましょう」
水原弘の「黒い花びら」
父のレパートリーは、まあそのあたり。
当時のカラオケには、モニターなどありませんから、我が父は、自分のカラオケノートを作って、歌詞を書き写して練習していました。
歌い出しのポイントがわからない時には、僕が呼ばれます。
父の顔を見ながら「せえのハイ!」なんてやってあげてましたね。
父がいないときに、こっそりといじってみましたが、中学生の僕に歌えたのは、やはり70年代のフォークソング。
当時はまだまだ、カラオケで歌える曲も多くありませんでした。
あるのは概ね、定番の演歌と、誰もが知っている歌謡曲ばかり。
しかし、僕はませたガキでしたから、誰もが知っている歌を歌うのは、なぜか潔しとしなかった。
自分は、ミーハーではない。
勝手にそう思っていました。
音楽道楽も多少年季が入ってくると、好みも自然と渋くなってきます。
ビートルズや、サイモンとガーファンクルにのめり込んでいくのと同時に、アニソンや天地真理からは次第に卒業。
70年代のフォークも、みんなが歌える王道にはいきません。
例えば、井上陽水なら、大ヒットした「夢の中へ」なんかは歌わない。
もしも誰かが歌えば、ハーモーニーをつけるぐらいにとどめておきます。
もちろん「心もよう」も歌わない。
当時のカラオケには、絶対にないような曲。
例えば、「帰れない二人」だとか「東へ西へ」あたりのギターコードをセッセと覚えるわけです。
かぐや姫にしてもそう。
「神田川」や「赤ちょうちん」なんて、絶対に歌わない。
比較的ギターコードの簡単な「加茂の流れに」だとか、「雪が降る日」あたりをギターで弾けるようにしていくわけです。
そして、なんとか弾けるようになっると、友達を呼んで、こうしかけます。
「かぐや姫聞く? 何が好き?」
するとたいてい友人たちは、かぐや姫なら「神田川」かなあと予定通りの回答。
するとそこでニンマリ。
「アルバムの曲なんだけどさあ。これ渋いんだよね」
なんて言いながら、覚えたての「加茂の流れに」をポロポロと弾き語り。
これで勝負ありです。
グレープなら、もちろん「精霊流し」はパス。
「フレディもしくは三教街〜ロシア租界にて」「交響曲(シンフォニー)」に狙い目をつけます。(実際いい歌ですけど)
悪いけど、ほんとうの音楽ファンは、大ヒット曲には、魅力を感じないものなのさ。
本当にそう思っていたかは、今にして思えばかなり怪しい。
ただ、素直ではなかっただけ。今となればそう思います。
なんとも可愛げのない中学生でした。
でもそのあたりは、かなり意地になっていた節がある。
でもそんな無理をしながら、仲間内では、次第に音楽通として認められていきます。
カラオケ文化が次第に進歩するにつれ、お気に入りのアーチストの曲も、ヒット曲以外の、いわゆるアルバム曲も、増えてきました。
そうすると、もともとギターはうまくありませんでしたので、次第に歌の伴奏はカラオケにシフト。
とにかく、気持ちよく歌えればよかったんですね。
70年代のフォークソングも、ユーミンや山下達郎の登場から、一気にニュー・ミュージックとして花開いていきます。
しかし、カラオケにおける、「みんなが知らない曲を俺は知ってる」病は、次第にエスカレート。
音楽の趣味は、王道のミーハーとは、意識的にずらしてきた節があります。
みんなが知っているベタすぎるヒット曲を歌うことは、カラオケ通の名に恥じる。
一人で勝手にそう思っていたわけです。
ところがです。
やはり年齢なんですね。
ここのところ、そのへんの「なんの得にもならないこだわり」が、徐々に氷解してきております。
どうやら、自分はもともと誰よりもミーハーだったということにやっと気がつく。
還暦の60歳近くになって、やっとです。
だって、車の中で、なんとなく口ずさんでいる歌って、気がつけばやっぱり誰もが知ってるヒット曲なわけです。
そこで、やっとこのブログのタイトル。
「いまだから70年代フォーク」
やはりあの当時の名曲は、なんのかんのといっても、どれも毛穴から染み込んでいました。
もちろん、どの曲も、みんな週800円のカラオケサイト「SMULE」で歌えます。
そして、歌ってみると、やっぱりいいんだよな。しっくりきます。
改めて噛みしめましたが、やはりヒットした曲には、ちゃんとそれなりの理由がある。
みんな名曲です。
そして、見事にどの曲も覚えていました。
カラオケで歌ってはいないのに、ちゃんとどの曲も覚えている。
ヒット曲とは、どうやらそういうもののようです。
そして、もちろん楽しい。
どの曲も、カラオケサイトの「グループ」仕様でアップしましたので、好き放題にコーラスも入れました。
どれも「テキトーコーラス」ですが、お気に召した方は、どうぞご自由に参加してください。
すでに、コラボしてくれた方もいらっしゃいますので、それはそのまま。
前言撤回。結局、改めて申し上げます。
あーあ、今まで歌わないで損したわい。
70年代フォークも、悪くない!
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