先月、農業視察で行った、福島県の金山町。
その只見川沿いにある霧幻峡。
ここには、観光客用に、今もまだ船の渡しが営業していました。
そこの女性船頭さんから、この映画の話をゲット。
「オダギリ・ジョーの初監督した映画は、ここでロケしたのよ。」
昔の映画かと思ったら、その映画は、先月公開したばかりの出来立てほやほや映画でした。
首都圏では、新宿武蔵野館とキノシネマ立川で公開。
台風上陸前のそぼ降る雨模様の本日、元の会社に呼ばれたついでに、立川まで出かけてきました。
上映時間は、137分。
客席は、50席足らずの、こじんまりしたシネコン。
日曜日に一度来た時には、満席で入れませんでしたが、雨の平日の今日は、観客は10人程度でした。
ラストのクレジットロールでは、撮影協力地として「奥会津・霧幻峡」を確かに確認。
映画は他にも、新潟県の阿賀野川、只見川などでロケしたようです。
先月行ったばかりの霧幻峡は、まだ記憶に鮮明でしたので、どこのシーンかなと思って見ていましたが、さすがに上手に撮影されていて、映画ではほとんど、同じ場所に見えます。
結局、どのシーンがどのロケ地かは識別できず。
霧幻峡の名物は、なんといっても幻想的な川霧ですから、映画でもそれは使用されたはず。
何カットかは、川霧で霞む川面を渡る船のシーンがありましたので、そこだけは霧幻峡だろうと判断することにしました。
映画は、近くに橋が作られることで、消えゆく運命の船頭の話でしたが、霧幻峡も近くに橋が作られた状況は同じ。
ただ、こちらは、地元の人たちの熱意で、観光用に船の渡しは残りましたね。
映画は、ほぼ全編この渡しのシーン。
対岸に渡る客たちと、柄本明演じる船頭との、束の間のふれあいから、人生の機微や、文明のあり方に迫ろうという内容。
そこに、瀕死の状態で、川を流れてきた謎の少女が絡むという展開。
YouTube で見たインタビューで、監督のオダギリ・ジョーが言っていました。
「カットを短く切って、いろいろな情報をこれでもかと詰め込む、テンポの速い映画は作りたくなかった。」
映画は、彼によるオリジナル脚本。
厳選したロケ地の四季の移ろいを、なんともゆったりとしたリズムで、カメラに納めていきます。
通常のテレビドラマのような慌ただしいテンポで撮っていったら、この映画は、半分の上映時間で終わってしまうかも知れません。
その素晴らしい日本の風景を、カメラに納めたのは、なんとフランス人のクリストファー・ドイル。
あの「恋する惑星」や、「アンドロメデイア」を撮ったカメラマンです。
外国人でありながら、オダギリ監督の意図した日本人の心の原風景を、見事にフレームに切り取っていました。
「あえて、答えは明示しない。映像がすべて。答えは見る方に委ねる。」
名作と呼ばれる映画のツボを、この若き監督は、心得ているとみました。
ヴェネチア国際映画祭にも正式に出品された本作品。
ヨーロッパ人が好きな、日本的「わびさび」のビジュアルにはまずまずの合格点。
次回作までに、もう少し、脚本力を磨いてくると、巨匠に化ける可能性は大。
ちなみに、この立川の映画館。
上映時間まで、映画館のある高島屋のカフェで本を読んでいたので、滞在時間がおよそ5時間。
地元川越のウニクスのつもりでいたら、駐車料金が映画料金より高い2500円。
映画の鑑賞料金は、シニア割引で、1200円だったので、買物割引もきかず。
都内の時間のテンポは、映画のようにはいきませんでした。
こちらは、先月の霧幻峡。
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