「絶対的権力を持つ長期政権は、必ず腐敗する。」
イギリスの政治家ジョン・アクトン卿がいったこの名言。
それをこれくらい、わかりやすく証明してくれている政権もそうはないでしょう。
分かり易すぎて、もうほとんど笑ってしまいます。
内閣で、高級官僚たちの人事権を掌握したあたりから、この政権の傍若無人ぶりは、ほとんどアンストッパブル。
7年の長期にわたる政権で、彼らは、この人事権という天下の宝刀をフル活用。
気がつけば、安倍総理の周りには、このファシスト政治家に、忖度する輩しかいなくなってしまいました。
尻尾を振ることで手に入れたポストは、それほどまでに蜜の味なのか。
実力とはまるで関係のない理由で、それぞれのポストを手に入れた安倍内閣の大臣たち。
国会の難しい答弁は、素人にはなかなかわかりにくいところもあります。
しかし、この国会中継を、恣意的に編集されたテレビニュースではなく、ネットのノーカット動画で見ていると、こちらにも、大臣の資質や能力、そして品格みたいなものは、しっかりと伝わってきます。
これはもう理屈ではない。
答弁は理解できなくても、その人が優秀かそうでないかは、ほとんど本能的にわかるものです。
というか、優秀な人の答弁なら、そもそもわかりやすいもの。
気がつけば、安倍晋三総理大臣の周囲からは、優秀な人材がいなくなっている。
あげればきりがない彼の政権の罪過のうちで、最も大きなものが、大臣や官僚たちのレベルを著しく低下させたこと。
これなのではないかと思えて来ました。
これが、とりも直さず、経済、外交、教育、文化など、ありとあらゆる分野で、我が国を「落ち目」にさせている最大の原因ではないかと思えてきます。
今まで、数多くの政権が生まれてきましたが、総理大臣の名前なら、かろうじて覚えているものの、閣僚の面々の顔と名前なんて、ほとんど記憶にありません。
しかし、今回の安倍内閣だけは別。
目が離せない国会中継を見ているうちに、いくつかの顔は知らず知らずのうちに覚えてしまいました。
これも一重に、あまりにいい加減な我が国の総理大臣のおかげかもしれません。
まずはこの人。
麻生太郎財務大臣。
財務大臣といえば、政府の中では、要職中の要職で、本来であれば、もっと答弁の場面があっても、おかしくない方ですが、今国会では、財政面以外のいろいな話題が多すぎて、ほとんど答弁する機会がありません。
立場上、カメラの一番映される席にでんと座っていますが、国会中は、ほぼ終始この顔。
一般庶民とはおよそかけ離れた人生を送ってこられた方です。
上から目線の発言で、騒動を起こされるより、こうしていてくれる方がいいのかもしれません。
でもあれで、貫禄だけは、隣に座っている総理大臣よりもありますから、たいしたものです。
やはり、吉田茂総理の孫といDNAだけは、輝いています。
菅義偉官房長官。
この人も歴代最長の期間、この職を継続し続けている安倍政権の懐刀。
新元号の告知を、国民注目の中で行った美味しい役回りのおかげで、その知名度は若者にも広がっています。
テレビの街頭インタビューで、高校生の女の子が「令和オジサン」といっていました。
この人の最大の罪は、やはり安倍総理をコントロールできていないこと。
衆議院の小川淳也議員が、彼に説教していました。
後藤田正晴、梶山静六、野中広務。
歴代の名官房長官は、みんなそれが出来ていた。
周囲がポチだらけの安倍政権において、首相にものが言えるのはこの官房長官ぐらいなはず。
それなのに、今やこの人の答弁自体が、完全に安倍総理に振り回されています。
官房長官の最大の仕事といえば、1日2回の記者会見対応。
しかし、いまやこれは誰がどう見ても出来レース。
明らかな質問制限で、完全に内閣側の仕切りになっています。
記者が手を挙げているのに、完全無視で立ち去ることの繰り返し。
「令和オジサン」で稼いだ貯金は、もはや使い果たしています
加藤勝信厚生労働大臣。
新型コロナウィルスの担当大臣として、いまやもっとも露出の多い国務大臣がこの人。
最も注目を浴びている大臣です。
ですから、ここはうまくリーダーシップを発揮すれば、政治家として名を上げるまたとないチャンス。
しかし、この人の答弁は、今回の騒動にもどこか人ごと。
就任当時は、この展開は予想していなかったのでしょう。
思いがけず、国難の最前線に立たされてしまった彼の心の声が聞こえてきそうです。
「なんで俺なの? 勘弁してよ。」
今回のコロナウィルスの各国の対応の中で、俄然注目を浴びているのが台湾の対応の迅速さ。
その決断の的確さと速さは、日本とは比べものになりません。
指揮をしているのは、日本の厚生大臣にあたる役職の陳時中衛生福利部長。
台湾市民が、その仕事ぶりを大絶賛しています。
こういうことを国民は決して忘れません。
この人が、ゆくゆくゆは台湾の元首になる日が来てもおかしくない。
大臣にさえなれれば、その在任期間には、出来れば何事も起こって欲しくないと思っているような大臣とは大違いです。
加藤厚労大臣がそうとはいいませんが、どうしてもそう見えるんだよなあ。
公職選挙法違反疑惑で辞任した河合前法務大臣に代わって、法務大臣に就任したのがこの人。
黒川検事長の定年延長問題のキーパソンとして、いまや加藤大臣に次いで答弁の出番の多いのがこの人です。
森まさこ法務大臣。
「♪淡い初恋消えた日は」の森昌子と同名なので覚えてしまいました。
こちらの森まさこ氏は、いまや紛れもない国会議員の「せんせい」。
この人と、立憲民主党の山尾志桜里衆議院議員との、予算委員会での対決は見応えがありました。
黒川検事長の定年延長を違法をとする論拠として、山尾議員が示した1981年の、衆院内閣委員会の議事録。
定年制が盛り込まれた国家公務員法改正案を議論した際、人事院幹部が、検察官には、定年延長は適用されないことになっていると明確に答弁していたという動かぬエビデンスを示して、森大臣に迫りました。
この山尾議員のツッコミは見事でした。
これに対して、答弁に窮した森大臣は「それは、承知していなかった。」とポロリと言ってしまいました。
ジャンジャン。
この時点で、もう勝負ありです。
その後の森大臣の答弁は、素人が聞いても支離滅裂。
迷走に次ぐ迷走。
言い訳しようにも言い訳しきれず、間違い、撤回の連続。
挙げ句の果ては開き直り。
極め付けは、誰も聞いていないことを、自ら答弁してしまうとんでもないオチがつきました。
「これは、けして安倍総理や、菅官房長官からの指示ではありません。」
大臣ではありませんが、この問題の官僚側のキーパーソンであったのがこの人。
松尾恵美子人事院給与局長。
この人は、先の山尾議員の指摘に対して、人事院の解釈は、法律制定当時からかわっていないと予算委員会で証言しました。
しかし、我らが安倍総理が国会で、今回我々はその法の解釈を変更したなどと、しれっと答弁してしまったものだからさあ大変。
この人は、予算委員会での発言を、「言い間違い」として撤回しなければいけないことになってしまったんですね。
優秀である自負を人一倍持っているはずの官僚が、国民周知の公の場で、自らの無能さを、不本意にも晒さなければならなかったことの屈辱感は推して知るべし。
自分の席に戻ってから、思わず天を仰いだ彼女の心の声が聞こえる気がしました。
「勘弁してよ!」
この人も何かと注目を浴びている大臣。
公文書担当の、北村誠吾内閣府特命担当大臣。
野党からの公文書管理問題の追及が厳しくなることは必至の状況で、この人をわざわざ担当大臣に任命したすれば、安倍総理はあまりにノーテンキか、反対に自分への注目を逸らすための確信犯的人事であったかのどちらか。
この人にどんな実績があったのか。
安倍内閣に対するどんな貢献があったかは、知りません。
とにかく今国会での、この人の答弁を聞いている限り、到底公文書管理の重責が務まる能力を有した大臣とは思えず。
申し訳ありませんが、安倍内閣の閣僚のレベルの低さを、もっともわかりやすく体現している大臣がこの人ですね。
この人以上の大臣のなり手が、本当に自民党にいなかったのだとしたら、すでに自民党は終わっています。
あの、見え見えのウィッグにしてもそう。
本当に自分の能力にプライドを持っている人なら、そんな姑息な見てくれ補正などに神経を使うことなどないでしょう。
禿頭でも堂々と、国会答弁をしているはずです。
仕事さえちゃんとしてくれていたら、そんなことを問題にする国民はいません。
自分に自信がない人ほど、見てくれにこだわるもの。
隣の畑にでもいれば、気のいいオジイチャンで、友人にもなれるかもしれませんが、国会の大臣席は完全に場違い。
このひとは明らかに、職場を間違えています。
この人も、その人気ゆえにたびたび槍玉にあげられてしまう人。
小泉進次郎環境大臣。
環境大臣としての本業筋の質問はあまりなかったのですが、育休などのことを、チクチクといじられっぱなし。
コロナウィルスのことが問題に上がるようになってからは、対策会議を欠席して、地元の政治団体のパーティに出席していたことを、ここぞとばかりに野党に波状攻撃されていました。
当初は、危機管理に問題はないという答弁をしていましたが、それを突如翻して、反省しているという答弁に切り替えると、今度は反省しているというが謝罪していないと突っ込まれる始末。
安倍内閣の国会答弁マニュアルには、「どの閣僚も、国会の場では正式に謝罪をしてはいけない。」という鉄の掟があるのでしょう。
元経産省の役人だった古賀茂明さんが、こう言っていました。
「謝らなくてもいいから、ちゃんと言い訳をすればよかった。
あんな10分程度で終わる意味のない対策会議なんて、出席する価値はなしと判断した。」
確かにおっしゃる通り。
もしそれを、彼が本当に言っていたとしたら、おそらく人気は上がったでしょうね。
安倍内閣での待遇がどうなったかまでは知りませんが。
萩生田光一文部科学大臣。
この人は、安倍総理大臣に対して、徹頭徹尾、尻尾を振るという一芸のみで文科大臣にまで登り詰めた人。
大学入学共通テストで活用する英語民間試験導入の際の会見で飛び出したトンデモ発言。
「それぞれの、身の丈に合わせて、頑張ればいい。」
空気も状況も読めない、大臣としては到底あり得ない発言。
これこそ、自らの「身の丈」に合わない地位を、ようやく与えてもらった彼の、勘違いと慢心と傲りから放たれた一言。
もちろん、その後は慌てて釈明。
そしてすぐに、英語民間試験導入は見送り。
安倍政権の閣僚の中には、お願いだから何もしないでと、お願いしたくなる人がたくさんいます。
黙って見てくれているだけの方が、はるかに日本のためという方ですね。
もちろん安倍総理もその一人。
この方が誰かご存知でしょうか。
大坪寛子厚労省大臣官房審議官。
何をしている人か定かではありませんが、例のコネクティング・ルーム使用の公費出張で有名になった人。
そのお相手は、安倍総理の知恵袋・和泉洋人内閣総理大臣補佐官。
内閣府の官僚たちの総元締めですね。
この人も、安倍内閣の長期政権の中で、しだいに権力を私物化させていった影の怪物です。
そして、その怪物に寵愛されてきたのがこの女性。
ことがバレて、野党に突っ込まれるようになると、新型コロナウイルスの対応省庁の役人であることを利用して、なにかと話題のダイヤモンド・プリンセス号に緊急避難。
証言によれば、船内でマスクすらせずに、高級スイーツに舌鼓を売っている姿が、何度も目撃されているとか。
iPs細胞で有名な山中教授の研究所に、研究費補助の削減を突きつけているのもこの人だとか。
和泉補佐官とラブラブなのをとやかくいうほど野暮ではありませんが、少しは空気を読むことをお勧めいたします。
立場上、新型コロナウィルスの個人的感染対策は、万全かもしれませんが、この方は残念ながら、もうすでに、安倍晋三ウイルスには感染されており、かなりフェーズが進行していると思われます。
あと閣僚って誰がいましたかね。
茂木外務大臣がいました。
この人も、あまり出番が回ってこないで、記憶に薄いのですが、例の黒川検事長の、定年延長の証言の際に、野党に一斉に突っ込まれて立ち往生してたいた松尾課長に、「戻れ!いいから戻れ!」と閣僚席から指図していた姿が印象的でした。
河野防衛大臣。
この人も、辺野古問題以外、特に出番はありませんでしたが、あの異様にキーが高いハイトーンでの高速読み上げ答弁は、かなり異様です。
しかし、いずれも、イラストを起こすまでの気は起こらず。
その他の閣僚は、残念ながら、名前も覚えられませんでした。
さて、国会の予算審議は、先週いっぱいで、衆議院のでの審議を終え、昨日から参議院に、論戦の場を移しています。
しかし、なんといっても現国会では、参議院でも圧倒的な議席を占める政府与党。
どんなに野党が詰め寄っても、最終的には、自民党から造反議員でも出ない限り、採決で予算案は可決されてしまう運びとなります。
最終的には、どれだけ自民党がひどくても、その反対票の受け皿になる政党がない。
従って、安倍政権は、結局存続されるしかない。
幾度となく繰り返されてきた、この望みなき暗黒のループ。
今まで幾度となくあった問題も、結局喉元過ぎれば、安倍政権の支持率は回復していました。
国民が忘れっぽいおかげで、自民党が存続しているという現実。
そして、「結局何も変わらない」「変わらなくていい」「変わらない方がいい」というその負の刷り込み連鎖は、いまや完全にこの国を覆い尽くしてしまっています。
その結果が、およそ5000万人にも及ぶ、選挙権放棄者。
「俺は政治に関心がない」「私は、どこの団体の支援者でもない」
選挙に行かない人は、みんなそういいます。
もしくは、選挙になんていっている暇なんてないというかのどちらか。
しかし、これこそ、政府与党の思うツボ。
この5000万人の人は、間違いなく、現政権の最大のお得意様です。
なにせ、この人たちがいるおかげで、選挙の投票率が下がり、そのおかげで自民党は毎回大勝しているのですから。
日本国民は、無知で、忘れやすくて、文句を言わないから扱いやすい。
現政権はそれを熟知した上で、大いにそれを利用するスキルを磨いてきました。
従って、投票に行かない5000万人の人が声を出したらどうなるか。
それを一番恐れているのも、実はこの政権です。
官僚は手中に納め、マスコミは丸め込み、いまや検察もその支配下に入れようとしている安倍政権。
しかし、その彼らが、いまだ手中に納め切れないで、最大限の配慮を払わざるを得ないのが、この国の主権者たる国民です。
忘れっぽいが、きまぐれで、瞬間湯沸かし器の如く短気。
扱いやすくはあるが、舐めていると怖い。
どこかでそう思っているはず。
彼らがいう憲法改正(というか憲法改悪)などは、あえていえば、その国民さえ手中に掌握してしまおうという彼らの悪知恵の切り札です。
憲法で檻の中に閉じ込められているライオンが、檻を開ける鍵を国民から奪おうとしているのが、安倍政権の憲法改正。
全然改正ではありません。
くわばくわばら。
僕も、このブログでは、かなり辛辣な言葉で、安倍政権を批判しています。
SNSなどでは、それが罵詈雑言となり、まるでその人たちのストレスを解消するかのような勢いで、口汚い言葉となって飛び交っています。
もちろん、それに文句を言うつもりはありません。言いたい方はお好きなように。
ただ一言。
その人たちが、もしも選挙に行って投票はしていないのだとしたら、安倍政権にとっては完全なお得意様ですよ。
まぎれもなく、チーム安倍晋三の構成員になっているということだけはお忘れなきよう。
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