「検察は,公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし,刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するため、重大な役割を担っている。
我々は,その重責を深く自覚し,常に公正誠実に,熱意を持って職務に取り組まなければならない。」
これは、「検察庁」のホームページに載っている、「検察の理念」にある一文です。
その検察庁の、No.2でもある黒川検事長の、なんともお粗末な今回の賭け麻雀騒動。
しかも、国民がコロナウィルスのために、自粛を余儀なくされている、まさにその最中の不祥事。
点ピンの麻雀なら、僕も過去に何度か経験があるので、「許せねえ!」などと言えた身分ではありませんが(逮捕しないでね。時効ですから)腹立たしいというよりも、なんだか、悲しくなってしまいます。
常々思っている事ですが、我が国の総理大臣が、官僚人事を手中に納めた事で、政権の意にそぐわない人をどんどん排除していくうちに、いつのまにか、この国の中枢には、官邸に忖度するイエスマンばかりが幅を効かせるようになり、本当に優秀な人材がいなくなってしまっているのではないか。
検察のトップが、この程度の人間なら、その部下も推して知るべし。
そう思われてしまっても仕方ないですね。
こちらにそう思わせてしまうわけですから、そういう意味で、この人の罪は重いと思いますよ。
中には、優秀な方もいらっしゃるのでしょうが・・
まあ、僕如きが、推測しても始まりませんが、おそらく官邸の内閣調査室は、黒川氏の賭け麻雀の常習は、かなり前から掴んでいたのではないかと思います。
それを知った上で、このコマは、コントロール可能と判断され、官邸に重宝されていた。
この尻尾さえ捕まえておけば、黒川氏は意のままに動かせると判断したのでしょう。
そういう事であれば、彼が定年延長された後でも、やめるにやめれなかった理由がしっくりとわかります。
僕としては、ここまで、国民に疑惑の眼を向けられて、黒川氏が検事長という職を続けていけるものかと思っていました。
彼が自ら辞任しないのが、とても不思議でなりませんでしたから。
安倍総理が、この人に検事総長になってもらいたい気持ち。
こちらの方はよくわかります。
だって、この人を検察のトップに据えておけば、今までの全ての悪事を、不起訴にできますからね。
忖度を期待するというレベルではなく、この賭博罪という首根っこを掴んでの、リモートコントロールができるわけです。
おそらくね。
電動ドリルでパソコンを破壊したという、小渕優子議員の政治資金規正法違反事件。
録音記録まで残っていたという甘利明議員の、URをめぐる、あっせん利得処置法違反。
下村博文元文科大臣の、政治資金報告書不記載疑惑。
森友問題における、佐川宣寿前国税庁長官の、公文書改竄。
そして、皆さんよくご存知の、加計学園問題、「桜を見る会」問題にいたるまで。
彼が、不起訴にしてきた安倍政権がらみの事件の数々。
これほどにも、わかりやすく、あからさまに検事長という立場を利用して、安倍政権を守ってきた黒川氏。
それは、彼が出世欲に目が眩んで、安倍政権に忖度してきた結果なのか。
それとも、賭博常習というウィークポイントを握られて、自らの意に反して、そうさせられてきたのか。
前川喜平元文科次官の合法出会い系バー通いを、彼が政権に不利な証言をしたまさにそのタイミングで、マスコミにリークしたあの手口から推察しても、個人的には、答えは後者だと考えます。
内閣調査室は、そんなふうに、数多くのキャリア官僚たちの素行を調査把握して、安倍政権の意のままに操るカードにしてきたのではないか。
突然、定年延長を安倍政権の都合で、閣議決定されてしまった時には、すでに送別会の準備や、就職先も決まっていたと言います。
もしかしたら、その時にはすでに、「これで、一般人として、堂々と雀卓を囲めるぞ」なんて、退官後の暮らしに、思いを馳せていたのではないでしょうか。
「えー、なんだよ。まだ続けろっていうの?勘弁してよ。」
案外彼自身は、そう思っていたかもしれません。
そして、そのストレスの吐口として、今回の新聞記者たちとの賭博麻雀事件。
そうやって考えると、一連のことが、なんだか、スッと頭の中で無理なく繋がります。
でもやはり、彼の立場を考えると、今回の事件の顛末はあまりにお粗末。
お粗末すぎて、なんだか逆に不自然なような気もします。
脇が甘いにも程がある。
誰かが言っていましたが、もしかしたら、この人は「ギャンブル依存症」という病気だったかもしれません。
そう考えても不思議ではない点が多々ありますね。
まあ、自粛生活をしていると、時間だけはたっぷりあります。
いろいろなニュースや、YouTubeの関連動画を見る機会は増えますので、自然と妄想は広がります。
いずれにしても、今回の事件による黒川検事長辞任は、なんだかあっけなさすぎて拍子抜け。
さて、こんな検事長を被疑者として、我らがキムタク演じる久利生検事が裁いたらどうなるか。
本作では、絶対無理と言われた治外法権の大使館の壁を超えて、事件を解決した久利生検事。
もしかしたら、鉄壁の官邸の壁も超えて、黒川氏と安倍政権の癒着を暴いて、起訴してくれるのではないか。
まあ、そんな妄想もしてみたくなります。
映画の中では、松重豊演じる検事部長が、検察のお偉いさんたちを前に、ブチ切れるシーンがあります。
検察の正義を声高に訴えるわけです。
これが今回の事件の後ですと、思わずニンマリ。
映画はファンタジーですから、これはこれで楽しまないといけませんが、今は現実の方が、映画よりも、はるかにスリリングな展開になって来ています。
広島地検による、河井元法務大臣の公職選挙法違反捜査も大詰め。
はたして、この一連の安倍晋三劇場は、どんなエンディングを迎えるのか。
そろそろ、ラストシーンが見えて来ましたね。
しかし、はたして、黒川氏自身が、検事総長になりたいと思っていたかどうか。
これは、甚だ疑問です。
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