スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲
「ええっ! ウソ。これで終わっちゃうの!」
映画館でこの映画を見た時の衝撃は、今でもハッキリ覚えています。
そんな映画は、それまで見たことがありませんでした。
簡単に言えば、途中から始まって、物語が解決しないうちに突然終わってしまう映画。
それが、スター・ウォーズの第二作「帝国の逆襲」です。
「途中から始まって」の部分は、オープニングの「遠い昔 はるかかなたの銀河系で…」の後の宇宙の彼方に消えて行くような長い文章で、観客には説明してから映画が始まるので、それはよしとするものの、ラストは「トゥ・ビー・コンティニュー」で終わる完全なるバッドエンド。
テレビ・ドラマならわかりますが、2時間の映画で、それはありかい。
もう40年も前の映画ですから、ネタバレで申しますが、ハン・ソロは凍結されたまま。
ルークは、ダース・ベイダーとの決闘で、右腕を切り落とされたまま。
ヨーダによる、ジェダイ戦士の修行は、途中のまま。
すべてが途中のまま、イラストに描いたラスト・シーンになり、エンド・クレジットが始まってしまったのですから、こちらとしてはビックリです。
マジか。
しかし、今にして思えば、これがジョージ・ルーカスが最初にやりたかったこと。
スペース・オペラという、テレビの連続宇宙活劇に胸ときめかせた少年時代を送ったジョージ・ルーカスが、このスタイルを、映画で再現したいとと思ったのが、そもそもの「スター・ウォーズ」の原点だったわけです。
第1作目が、大ヒットをしたので、この前代未聞のスタイルの映画が、可能になったというわけ。
テレビなら、1週間待てば、続きは見ることができますが、映画ではそういうわけにはいきません。
この映画を見た観客は、そのモヤモヤを抱えたまま3年の月日を待ちわび、第3作目が公開されるやいなや、映画館に怒涛の如く押し寄せたというわけです。
そんなスタイルの映画シリーズなど、今まで見たことがありませんでした。
基本的に、映画は一話完結。
仮に、続編があったにせよ、基本的には、正編を見ていなくても、物語としては、それぞれに起承転結があって、単独でも楽しめるというのが暗黙のルール。
「エクソシスト」にしてもそう。
「フレンチ・コネクション」にしてもそう。
「ジョーズ」にしてもそう。
後に、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズが、この「スター・ウォーズ」スタイルを踏襲しますが、ある意味では、この第二作が、映画一本分を費やして作られた、壮大なる第3作目の予告編みたいなことになります。
僕自身も、第3作目は、公開初日に、行列に並んで、映画館に見に行ったクチですから、まんまとルーカスの策略にはハマったカタチ。
おそらく、そういうスター・ウォーズ・ファンは世界中にワンサカいると思われますので、その意味において、シリーズ全体を見渡せば、風呂敷を広げるだけ広げた、この中途半端な印象の第二作こそ、シリーズの人気を牽引した年いう意味では、屈指の大傑作と言っていいのかもしれません。
実はこの第二作、監督は、ジョージ・ルーカスではなく、アーヴィン・カーシュナー。
ルーカスは、製作総指揮という立場です。
この、ビッグ・プロジェクトは、次第に多くの才能が集結した共同作業となり、SFのビッグ・アイコンになっていきます。
このエピソード5で、最も印象的なキャラが、ジェダイ戦士たちの師匠となるヨーダ。
この造形には、初めて見た瞬間から奇妙な「懐かしさ」がありました。
それもそのはず。
ヨーダは、CG合成でも、モーション・キャプチャーでも、ストップ・モーション。アニメでも、もちろん着ぐるみでもなく、なんとマペット操演。
操っているのは、あのフランク・オズ。
そうです、あの「セサミ・ストリート」のマペットたちに命を吹き込んでいたこの世界の第一人者。
特殊撮影でもなんでもない、いわばアナログ手法で表現したキャラだけに、ルークとの絡みにも、ナマの温かみがありました。
フランク・オズは、ヨーダの声までやっていますから、気合が入っていましたね。
そして、特殊撮影の方では、帝国軍の攻撃メカである、ウォーカーの造形がなんとも秀逸。
長い足でのしのし歩くウォーカーの足元に、ワイヤーを絡めてコケさせるという作戦が、なんだか昔懐かしいアニメの「レインボー戦隊ロビン」みたいで、ワクワクしてしまいました。
さて、この映画、主人公ルークの顔が最初からなんだか変でした。
エピソード4で見た、あの端正なマスクが、なんだか傷だらけで、ちょっとむくんでいます。
映画の冒頭で、氷の惑星ホスでパトロールしていたルークが、突然雪原の怪物ワンバに襲われて顔パンチを喰らっていたので、そういう演出なのかと思っていたら、マーク・ハミルは、映画の撮影に入る直前に、交通事故にあって、顔面を負傷しているんですね。
冒頭のエピソードは、それを受けて、急遽シナリオに追加されたものだったそうです。
なるほど、なるほど。
エピソード4で、デス・スターを破壊したものの、その後の銀河帝国軍の猛チャージで、次第に窮地に追い込まれていく反乱軍。
その中で、急速にその距離を縮めていくハン・ソロとレイア姫。
オビ=ワン・ケノビの導きに従って、惑星ダゴバへ行きジェダイ・マスターのヨーダのもとで修行するルーク。
そして、自分を命がけで救ってくれたハン・ソロとレイア姫を救出すべく、雲の惑星ベスピンに向かい、そこで一騎討ちすることになったダース・ベイダーから聞かされた衝撃の真実・・
さあ、これだけ話を膨らませて、いよいよ物語は、エピソード6へ。
ジメジメと続く、今年の異様に長い梅雨。
こう雨が続くと畑に行くのも億劫になりますが、彼らは目下、日々成長中。
家でノンビリしたい気持ちと戦いつつ、本日もそぼふる雨の中、畑に向かうことにします。
怠けのダークサイドに一度落ち込むと、なかなか戻って来れないぞとヨーダも言っていました。
帰ってきたら、この続きを見るという楽しみが待っていますので、頑張って草むしりしてきます。
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