映画「検察側の罪人」
刑事や弁護士の活躍するミステリーや映画は数多くありますが、検事が主役というのはなかなかないもの。
黒川検事長問題が世間を騒がせた流れで、先日木村拓哉主演の「HERO」を見たばかりですが、今回の作品の主役も検事。
「HERO」では、こんな刑事はいないだろうという型破りな検事を演じた木村拓哉が、今回はガラリと変わり、髪も短く切って、いかにもいそうなベテラン検事役。
そして、同じジャニーズ事務所の、二宮和也が、彼の教え子だった新人検事役。
ジャニーズ系タレントの中では、演技力には定評があるお二人。
見る方の興味としては、さてどちらの演技に軍配が上がるか。
もしくは、俳優として、現段階では、どちらが旬か。
一応先輩として、木村拓哉のクレジットの方が上になっていましたが、映画の中の「扱い」はどうなっているか。
絶大なる人気を誇ったキムタクも、すでに47歳。
SMAPも解散して、今現在のタレントとしての立ち位置はどうなっているのか。
嵐のメンバーとしても、俳優としても活躍し、かつてのキムタクのポジションに肉薄する二宮和也の俳優としての実力は?
そんなあたりに関心を寄せて、映画を見ていましたが、見ているうちに、関心は全く別の方へ行ってしまいました。
それがこの人。
本作で事件の容疑者を演じた、酒向芳という俳優。
まったくノーチェックの俳優でしたが、この映画での彼の存在感はハンパなし。
俳優歴は長いらしいのですが、50代までは、俳優だけでは食えなかったという人物。
過去の作品を見ても、見ている映画はあっても、全く記憶には残っていない俳優でした。
その彼が演じたのが、過去に女子中学生を殺害したけれど、証拠不十分で逮捕されず、すでに時効を迎えているという怪し過ぎる風貌の中年男。
リサイクル・ショップでアルバイトをしているという設定でした。
悪役が主役を食ってしまう演技をする映画の多くは、記憶に残るもの。
古くは、「ケケケ」と笑いながら、車椅子の老婆を階段から突き落としたリチャード・ウィドマーク。
「羊たちの沈黙」で、ハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンス。
「ダークナイト」で、ジョーカーを演じたヒース・レジャー。
悪役が、その演技において、完全に振り切っていると、映画は圧倒的に面白くなるものです。
この作品でも、彼の怪演は、非常に映画への貢献度が高い。
最近の日本ドラマでも、「相棒」に出現した、薬でラリった状態で殺人を犯すシャブ山シャブ子なんていう、強烈なキャラクターがいました。
今回の、酒向芳も、それに負けず劣らずの強烈なインパクトがありました。
今度、この俳優をどこで見かけるコトになるか。
ちょっと楽しみです。
キムタクとニノ?
あ、そうか。それ忘れてました。
叔父さんとしては、この酒向を追い詰める尋問の迫力に一票。
本作においては、二宮和也に軍配をあげることにいたします。
キムタク、頑張れ!
ということで、ポッ!
(これ、この怪人物の口グセ)
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