「007 オクトパシー」と、同年に公開されたのが本作品。
初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーが主演を務めた007シリーズの番外編です。
元々は映画用のオリジナル脚本だったものを、イアン・フレミングが勝手に小説にしてしまったのが「サンダーボール作戦」だったようです。
ややこしい裁判の結果、映画化権を取り戻したのが、このオリジナル脚本を書いたケビン・マクローリー。
しかし、すでに「サンダーボール作戦」は、イオンプロで製作されてしまっていたので、映画化は10年待つという契約が結ばれ、その期間が過ぎて、晴れて映画化されたのが本作品というわけです。
そんな経緯で作られましたので、本作品は、イオンプロはノータッチ。
007映画でありながら、あのテーマ曲も、オープニングのガンバレルシークエンスもありません。
しかし、なんといっても、あのショーン・コネリーが、ジェームズ・ボンドとして復活したのが本作品。
ロジャー・ムーアのボンドがけして嫌いというわけではありませんが、僕の世代の映画ファンは、やはり60年代ジェームズ・ボンドに胸躍らせております。
お年を召したとはいえ、やはりショー・コネリーのボンドの方が期待は大きかったのは間違いのないところ・
そんなわけで、僕が、公開当時、映画館に見にいったのはこちらの方だけでした。
しかし、今回改めて、両作品を続けて見たわけですが、やはり007シリーズとして、ワクワクしたのは、意外なことに「オクトパシー」の方でした。
正直言って、「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」は、007映画という気がまるでしないんですよ。
登場人物としては、上司のMも、武器担当のQも登場すれば、マネーペニーもできます。
Mなどは、「ジャッカルの日」で渋い演技を見せたエドワード・フォックスが演じていたりするのですが、これがなぜかピンと来ません。
音楽も、大御所ミッシェル・ルグランが担当しているのですが、同じくこれもピンと来ません。(「おもいでの夏」は名曲ですが)
もちろん、定番のガンバレル・シークエンスもなければ、モーリス・ビンダーによるセクシーなオープニング・タイトルもありません。
ショーン・コネリーが、ジェームズ・ボンドを演じているとはいえ、空気感がまるで違う007シリーズが本作です。
個人的には、007シリーズではない、普通のアクション映画を見ているような感覚でしたね。
どうやら、このシリーズを、ここまで12本見てきて、どこかでその鉄板のパターンなり、スタイルが知らぬ間に刷り込まれていたようです。
本作には、ジェームズ・ボンドがタンゴを踊るシーンがあるのですが、いかにション・コネリーが演じているとはいえ、これはかなり違和感がありました。
しかし、そうはいっても決して興行収入が悪かったわけではないので、もちろんアクション映画としては、それなりの水準であったことは間違いありません。
「サンダーボール作戦」では、クローディーヌ・オージェが演じたドミノを、本作で演じたのはキム・ベイシンガー。
シリーズでは、ボンドガール達は、みんなキワドい衣装を着て登場はしますが、決してバストが露出することはありませんでした。
しかし、本作では、キム・ベイシンガーの艶かしいバストが、「ザ・ディープ」でのジャクリーン・ビセットの濡れTシャツのように、透けて見えるシーンがあります。
嬉しいサービス・カットで、僕のようなスケベなファンには、それだけでありがたいことなのですが、やはりそれでは、007映画ではないわけです。
そして、「未来惑星ザルドス」で、1974年当時のショーン・コネリーの頭髪の状況は知っているので、さすがにアレはウソっぽい。
さて、公開当時には気が付きませんでしたが、今回見直して発見したことが一つ。
なんと、イギリス大使館職員役で、「Mr.ビーン」のローワン・アトキンソンが出演していましたね。
彼がラストシーンで、事件を解決したボンドにこう言います。
「イギリスにはあなたが必要です。また任務についてください。」
ボンドは、これに対して「ネバー・アゲイン(二度とごめんだ)」と返してウインク。
これがラスト・シーンです。
そして、この映画のタイトルは、ショーン・コネリーの奥様が、それに対して「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン(二度とやらなんて、決して言わないで)」といったのが、そのままタイトルになったというわけです。
しかし、ション・コネリーのジェームズ・ボンドのファンとしては、どうしても一言だけ言っておきたい。
「お願いだから、もうやらないで」
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