007 オクトパシー
1983年製作の、007シリーズ12作目。
ロジャー・ムーアはまだまだ頑張ります。
この年は、007シリーズとしては、かなり大きな事件がありました。
ややこしい裁判の結果、イオン・ブロ(007シリーズの製作会社)以外が映画化権を持っていた「サンダーボール作戦」。
これをなんと、初代ジェームズ・ボンド役のショー・コネリーを復活させて、映画化した「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」の公開とぶつかったんですね。
ロジャー・ムーアは、元々シリーズの降板を決めており、本家本元イオン・プロは、新しいジェームズ・ボンドに、ジェームズ・ブローリン(「カプリコーン1」は面白かった)を決めて、すでに製作に取り掛かっていたのですが、ジェームズ・ボンドとして認知度抜群のショーン・コネリーに対して、まだ馴染みのない新ボンドでは分が悪いと判断。
ロジャ・ムーアに破格の出演料を提示して、続投してもらったという経緯。
(実は、ロジャー・ムーアは、「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」にも、ボンド役としてオファーされていた)
やはり、イオン・プロとしては、本家本元の意地があり、興行成績でコネリー版007に抜かれるわけには行かなかったのでしょう。
実は個人的には、ション・コネリーのジェームズ・ボンドに思い入れがありましたので、公開当時は、「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」は見に行きましたが、本作は見ていません。
しかし、興行成績では、イオン・プロが勝り、なんとか面目を保ったようです。
1983年といえば、ちょうど僕が社会人になった年で、大学生の頃のように、授業をさぼっては、関東一円の名画座を回って映画を見まくるということができなくなった年です。
レンタル・ビデオもボチボチと出始めていた頃ですが、まだまだ高くてそうそうは借りられなかった頃。
個人的には、急速に映画離れが始まっており、これ以降の007シリーズは、ビデオやDVDも含めて全て未見です。
さて、今回のマクガフィンは、ソ連の皇帝献上品の宝飾品「レディの卵」。
これをめぐり、ソ連軍とイギリス諜報部、宝石商、そして女だけの窃盗団が絡んで入り乱れる展開。
舞台となるのはインド。そして、まだ東西に分かれてい頃のベルリン。
女だけの窃盗団というのが、いかにも007的でワクワクしてしまいますが、この組織のボスがオクトパシー。
演じるのが、モード・アダムズ。
おっ、彼女はつい先日、ボンドガールとして「007 黄金銃を持つ男」で見かけたばかり。
あの作品から、すでに10年は経過していますが、堂々のボンド・ガールとしての再登場。
Wiki を見ると、この時の彼女が38歳で最年長ボンドガールと書かれていましたが、これは間違いでしょう。
第3作「ゴールド・フィンガー」に出演したオナー・ブラックマンは、調べたら撮影当時39歳でした。
ちなみに、この時の彼女の役名がプッシー・ガロア。
そして、本作のモード・アダムスの役名がオクトパス。
これは、日本語表記ですと、あえてこう書いていますが、オリジナル・タイトルでは”Octopussy”
こんな凄まじい役名で、ボンド・ガールを演じるには、やはりある程度の年季は必要だったかもしれません。
2回目ということでは、僕の知る限り、第1作と第2作目に、ユーニス・ゲイソン(シリーズの中で、一番最初に画面に登場するボンド・ガール)が、連続出演していますが、これはシルビア・トレンチという同じ役。
全く違うボンド・ガールとして、二度登場するのは彼女が初めて。
(この先のことはまだわかりませんが)
主題歌は、リタ・クーリッジで”ALL TIME HIGH”
これ以前の007シリーズの主題歌は、カラオケで歌えと言われれば、今でもすぐに歌えますが(「ムーンレイカー」は、ちょっと怪しいかも)、この先になると、もう確実にダメですね。
ジェームズ・ボンドが、ジャングルの中で、「ターザン」のような雄叫びを上げるシーンがあります。
それまで、007シリーズを製作配給してきた、ユナイテッド・アーティストが、MGMに吸収された影響と思われますが、こんなシーンも演じてしまうジェームズ・ボンドは、ロジャー・ムーアくらいでしょう。
さて、次は「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」を見るべきか。
「美しき獲物たち」を見るべきか。
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