007 美しき獲物たち
さて、前作で新旧ボンド対決を制した、元祖イオンプロの007シリーズ。
いよいよ第14作目は、ロジャー・ムーア最後のジェームズ・ボンドです。
なんといっても、御歳58歳のご高齢ボンドですから、アクション映画としては、メロメロだろうなあと正直思っておりました。
ところがどっこい。
これが意外にも面白かった。
個人的見解で申せば、ロジャー・ムーアがジェームズ・ボンドを演じた7本のうちでは、僕としてはこれが一番好きですね。
ちなみに、これはビデオでも見ていませんでした。
今回が完全な初見。
1985年の作品ですが、このあたりからからおよそ30年。
僕は映画館には一度も行っていません。
見ている映画は、レンタルか、WOWOWです。
さて、ではなんで、本作品が一番面白かったか。
ちょっと考えてみました。
まず、第8作目からここまで、公開順に続けてシリーズを見てきて、まず見始めた頃には確実にあった、初代ジェームズ・ボンドへの「こだわり」が完全になくなっていたこと。
目も意識も完全に、ロジャー・ムーアのボンドに「慣れた」ということかもしれません。
それは、前回見た「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」でも痛感。
これが、シリーズものの強みかもしれません。
そして、監督のジョン・グレンだけでなく、スタッフも、12年一緒にやっているうちに、ロジャー・ムーア・テイストにこなれてきたということでしょう。
まあ、これはマンネリと紙一重でもありますが、ここまで興行収入とにらめこしながら、それなりの軌道修正はやりつつ、最終的に落ち着くところに落ち着いたというのが本作の感想です。
そしてもう一つ。
本作品が、アクション映画としてマンネリに陥らなかったのは、敵役に超強烈な個性をぶつけてきたこと。
これが成功してましたね。
メインのボンドガールとしては、初の黒人起用となったグレイス・ジョーンズの演じた殺し屋メイ・デイ。
「私を愛したスパイ」と「ムーンレイカー」に登場した巨漢の殺し屋ジョーズを演じたリチャード・キールも超強烈な個性で、2作連続の出演を果たし、シリーズの人気を引っ張りましたが、彼女もそれに負けず劣らずの強烈で魅力的な個性でした。
あんな強烈な最後を遂げた殺し屋は、ここまでのシリーズでは、彼女だけでしょう。
そしてもう一人。
マイクロチップス市場の独占を企み、シリコンバレーを破壊しようとする敵役ゾリンを演じたクリストファー・ウォーケン。
どこか爬虫類的で、サイコパスなキャラクターは、この人ならでは。
あの出世作「ディア・ハンター」のロシアン・ルーレットのシーンで見せた狂気の「目」は健在。
完全にこれまでの敵役とは一線を画していましたね。
なんといっても、アカデミー賞俳優ですから。
この二人の強烈な個性で、この映画は面白い映画になったていました。
もう一人のボンド・ガールは、タニヤ・ロバーツ。
この人も、僕のようなスケベ映画ファンには、かなりサービスをしてくれていた女優なので覚えています。
テレビ・ドラマの「チャーリーズ・エンジェル」にも出演していました。
ボンドガールに抜擢されたときには、「ユア・アイズ・オンリー」のコリンヌ・クレーリー同様、セクシー女優として、認められて「おめでとう」という気になったもんでした。
そうそう。
KGBの屈強な男達の中に、チラリと見たこのある顔があったので、見終わってからWiki を確認しました。
そしたら、案の定。
「ロッキー4/炎の友情」で、敵役となるソ連のボクサーのイワン・ドラゴを演じていたドルフ・ラングレンでした。
両作品は、同じ年の公開ですね。
マネーペニーが、帽子かけにかかっているピンクの帽子を、ボンドに褒められるシーンがありますが、この帽子をかぶっておめかしをして、競馬観戦をするシーンが、彼女の007シリーズ最後の出演になりました。
すでに、M役は、亡くなったバーナード・リーから、ロバート・ブラウンに交代していますが、彼女のマネーペニーも、ロジャー・ムーアと同様、本作品で最後。
ちなみに、第一作からミス・マネーペニーを演じていたロイス・マクスウェルは、ロジャー・ムーアと同じ歳です。
映画の冒頭、破壊されたスノーモービルの部品を、スノーボートがわりにして逃げるシーンがありますが、世の中でスキーに代わり、スノーボードでのスノーサーフィンがメジャーになってくるのはこの後から。
BGMに使われたのがビーチボーイズが”California Girl”でした。
これにはニヤリ。
こんな「お遊び」ができるのも、本作まででしょうか。
さて、いよいよシリーズは、次作から4代目ジェームズ・ボンドをティモシー・ダルトンが演じる「消されたライセンス」になります。
007シリーズは、最上級のエンターテイメントではありますが、やはり続けてみると流石に疲れます。
いろいろと他に見たい映画もありますので、ここで、007シリーズは、ちょっと休憩。
でも、ノープロブレム。
アイ・ウィル•リターン・スーン!
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