007 消されたライセンス
さて、2作目にして最終となるティモシー・ダルトンのジェームズ・ボンド。
本作は、1989年製作でシリーズ代16作目。
この頃になると、こちらも新作映画をほとんど見ていない時期になってきているので、出演者が横に広がりません。
みんな、この映画で、その存在を知った方ばかり。
すいません。
本作も、公開から30年も経っての初見です。
シリーズもこの辺りになってくると、イアン・フレミングの原作もほぼネタが尽きてきます。
そんなわけで、本作は映画のオリジナル脚本。
それならばと、ダークでハードボイルドな、ティモシー・ダルトン路線をさらに推し進めているのが本作です。
なんと今回のボンドは、MI6のミッションを無視して、私怨で動くという展開。
それゆえに「消されたライセンス」です。
これほど復讐心を露わにしたダークなボンドは、今まで見たことがありませんでした。
これまでの三人のジェームズ・ボンド達では、この脚本は、ちょっとあり得ないかもしれません。
暴力シーンが、シリーズ中では最高にエスカレート。
まさに、ティモシー・ダルトンのための007作品と言えるかもしれません。
ボンドが、CIAのフィリックス・ライターと協力して確保した麻薬王のサンチェスが、搬送途中に脱出します。
サンチェスは、フィリックス夫妻を襲い、新妻を惨殺し、ライターはアジトでサメの餌食にし、足を食いちぎらせてしまいます。
復讐に燃えるボンド。
Mは、そんなボンドに別件の任務を与えますが、ボンドはそれを無視して、サンチェスを追うという展開。
Mは、ボンドに「銃を置いてゆけ」と言いますが、これに対して拳銃を手にしてボンドが言うセリフが「武器よさらば」
今までシリーズを見てきた経験から、これは何かに引っ掛けていると直感しましたが、案の定、このシーンが撮影されたのが、フロリダ州にあるヘミングウェイ・ハウスだったということは、映画を見終わってから確認。
この手の洒落た捨て台詞でニヤリとするのも、007シリーズの楽しみの一つではあるのですが、本作ではこれも少なかったですね。
さて、今回の脱線ボンドは、完全に、組織から孤立した一匹狼です。
別ルートからサンチェスを追っていた香港組織の計画もぶっ壊し、エージェントを死なせてしまったり、CIAの女性エージェントが進めていた、サンチェスの部下の司法取引計画も妨害してしまいます。
このCIAエージェントが、今回のボンドガール。
演じているのは、キャリー・ローウェル。
ボンドよりも背が高そうなスラリとした美人ですが、お目にかかるのは本作が初めてでした。
ちょっと、Wiki してみたら、リチャード・ギアの奥様もやっていた方のようです。(2016年時点で離婚成立)
ちなみに、この頃の007シリーズに登場するボンド・ガールの年齢が、ちょうど僕と同じ世代。
女性として、一番綺麗に輝いている姿を、ボンド・ガールとして、スクリーンに焼き付けて置おけることは、やはりそれなりの価値はあるでしょう。
その彼女達が、30年経って、今どれくらいのオバ様達になっているかというのが、こちらと年齢が近いボンドガールですと、リアルにイメージ出来て、なかなか感慨深いところです。
さて、それでも復讐に燃えるボンドは、サンチェスから奪った大金を元に、麻薬業者を装ってサンチェスに接近。
コカインをガソリンに溶かして、タンクローリーごと密輸するという計画を知り、その工場を火の海にして、いよいよサンチェスとの一騎討ちに・・
というわけで、ロジャー・ムーアのソフトタッチとは、真逆に振り切った形の、ティモシー・ダルトンのジェームズ・ボンドはここまで。
さて、この次は、いよいよピアーズ・ブロスナンの007に突入です。
「007 ゴールデン・アイ」!
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