昭和34年生まれの、商店街育ちですので、ホーローの看板に囲まれて暮らしていたという印象です。
もうすでに、ホーローの看板は、その使命を終えて、都会からは姿を消して久しいところですが、ところがどっこい、まだ地方の人里離れた田舎道の木の塀には、ホーロー看板がしぶとく残っていて、「昭和老人」としては嬉しくなってしまいます。
老後は、田舎暮らしを考えているので、現役時代から、あちらこちらと山歩きには頻繁に出かけていたのですが、錆びて色ハゲしても尚残るホーロー看板は、広告というよりは、もはや昭和の時代にタイムスリップさせる「風景」になっている感があります。
本書は、川越市立図書館で借りてきたもの。
子供の頃よく見かけた看板には、思わずニヤリとさせられてしまいますが、こんなにも色々な看板が作られていたのかと感心することしきり。
インターネットもない時代、メーカーの営業員たちは、一日何枚というノルマを背負って、あちこちの民家に頭を下げては、一枚一枚看板を貼っていった、そんな時代です。
我が実家は本屋で、商店街の中にありましたので、遊び回る場所至るところに、ホーローの看板はありましたね。
やはり一番覚えているのは、タレントもの。
テレビのコマーシャルも覚えていますが、NHKの朝ドラで一躍全国区になった浪花千栄子といえば、「オロナミン軟膏」
由美かおるの「蚊取り線香アース渦巻き」。
水原弘の「ハイアース」
松本容子の「ボンカレー」(テレビドラマ「くれないお仙」は見てました。)
大村崑の「オロナミンC」
この辺りは、ホーロー看板の王道中の王道。
今でも、見かける頻度が一番高いのはこのあたりでしょうか。
こちらは、「本造り黄桜」の三浦布美子。
この人は、映画にも出演していましたが、浅草の芸妓だった人。
酒屋の脇の壁に、貼ってあった記憶です。
我が家は、本屋兼文房具店でしたから、文房具の看板は、あちらこちらに貼ってありましたね。
メーカーの担当営業者が、貼っていったものです。
商店街の中で、よく見かけたもの。
ホーローというのは、金属に施す、エナメル塗装技術のことを言うのだそうです。
漢字で書くと「琺瑯」となり、これでは何のことだかわからないので、「ホーロー」と呼ばれるようになったとか。
物によっては、相当な値段がつくお宝になっているものもあるようで、コレクターたちの間では、もはや文化財扱いになっているのだとか。
僕は、コレクションするまでの趣味はないですが、それでも眺めていれば、当時の記憶が蘇って、ノスタルジーには浸れます。
現物はなくても、本書一冊あれば、結構楽しめそうです。
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