AI崩壊
悪筆コンプレックスがあったので、人よりも早い段階で、ワープロに手を出していたこともあり、パソコンのセットを揃えたのは、世の中の平均よりもかなり先行していました。
世に「Windows 95」が登場する前ですね。
会社が事務管理にパソコンを導入するようになったのは、それよりももっと後のことでしたが、幸か不幸か、この「ちょっとかじっていた」ことが、会社の知るところとなり、現場勤務から、事務所勤務移動を命ぜられ、以来、パソコンに向かうことが仕事になりました。
務めていた会社は運送会社でしたから、「AI」なんてものとはほど遠い、管理ソフト程度のデジタル化でしたが、現役時代は、ハンドルの代わりに、キーボードを相手にして、日夜モニターと睨めっこをしていました。
AI崩壊というほどの経験はありませんが、一度請求書提出のタイミングで、パソコンが壊れたことがあり、脂汗たらたらで、徹夜作業をしたことはあります。
たった一瞬で、全てがとぶという怖さを知って以来、「完全デジタル化」には、どこかで違和感と恐怖感を持つようになりましたが、それでもやはり便利は便利。
ないならないで、なんとかなるものが、一度その便利を知ってしまうと、なかなか元には戻れなくなるのが厄介なデジタルの中毒性。
どんな不自然なことも、それが日常になると、人間の感覚は、次第に麻痺してきます。
そして、どこかで意識して「正気を保つ」努力をしていないと、いつしか飲み込まれますね。
人間が頭の中で考え出したプログラムですから、どれだけ「学習機能」があろうと、所詮人間が考えられるところまでが限界です。
ならば、人間がどれほどのものか。
自然に目を向ければ、まだまだ人間の頭では理解できない複雑な仕組みは、たくさんあります。
少なくとも、自然は生命を作り出しますが、人間は生命は作れません。
今は、AIがどんなに逆立ちをしても作れない、野菜作りを生業としておりますが、現役時代のあのモヤモヤしたようなストレスは、不思議なほどなくなりました。
さて、本作は、去年公開の映画ですが、期待していました。
しかし、テーマも、タイトルも、脚本も、あまりに直球過ぎました。
わかりやすいタイトルが、今は好まれるのかもしれませんが、このタイトルは、そのものズバリですが、むしろキッャッチ・コピーが、サブタイトルのノリでしょう。
ハリウッド映画なら、もう少し気の利いたタイトルにしたのでは。
映画的センスというものが、イマイチな気がします。
このタイトルだけから、おそらくこんな起承転結だろうと、こちらが想像する域から、全くはみ出さないお行儀のいい映画でした。
主要出演者が、出揃った時点で、こちらが予想したラストは、ほぼ裏切られこともなく大円団。なんとも「わかりやすくて」拍子抜けしました。
ひねりもなければ、ミスリードもなし。テーマは、立派なのですが。
アナログを舐めてはいけないという「隠しテーマ」が、三浦友和の演じた定年間近の刑事の活躍を通して、クローズアップされる展開も想定内。
どうにも、脚本が剛球一直線で、それほど立っているキャラもなく、キャスティングもリアリティに欠け、充分に製作費はかかっている分、なんだかもったいない気がしました。
こういうテーマを、エンターテイメントにする技は、まだまだ、ハリウッドの方が、一枚も二枚も上手と痛感かせざるを得ないのが本作を見た正直な感想。
お隣の韓国が作っても、もう少し見応えのある作品にしてきたかもしれません。
残念ながら、ちょっと海外市場で通用する作品とはいい難い。
悲しいかな、今や、何から何まで落ち目の日本。
パニック映画は、客を呼べる映画の王道ですが、「Fukushima50」同様、今の日本の映画力では、残念ながら、とても国際水準の作品には押し上げられそうにないかも。
映画力も、コロナ対策同様、世界から周回遅れにならないことを祈るのみ。
ご贔屓女優の広瀬すずの、実姉広瀬アリスが出ていました。
成り行き上、この人はなんだか応援したくなります。
しかし、未だに土屋太鳳と区別がつきません。
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