さて、カラオケ歌謡曲ローラー作戦を実行中、一番気になっていたのがこれです。
人は何歳の頃に聞いた歌を一番覚えていて、今でもカラオケで歌えるものなのか。
人生の半分以上を、カラオケ道楽に捧げてきていますので、おそらく普通の人よりは、今でもカラオケで歌える楽曲数は、比較的多いだろうとは思ってはいます。
しかし、人生も老齢を迎えてまいりますと、覚えようとは思っても、なかなか脳内のアセチルコリンが思うように働かず、楽曲の認知学習からアウトプットにまで至りません。
それでも、最新ヒット曲を無視し続けるのも、カラオケ道楽のマナー違反という思いはあり、衆目が一致するような大ヒット曲や、老人の琴線に触れるような流行歌があれば、それなりに聞き込んで、覚えよえうという努力もするのですが、これが若かりしころのようにはいきません。
仲間の前で披露したいという色気で練習もするのですが、やっているうちに、そもそも、自分はこの曲が好きかどうかも、わからなくなる始末。
少なくとも、若き日に覚えた曲の多くは、ただ好きで繰り返し聞いているうちに、自然と歌えるようになったものばかり。
今のように、覚えるのに苦労をしたという記憶はありません。
やはり、これは悲しいかな、芸術関係を司る右脳の働きが、経年劣化していると考えるべきなのでしょう。
冒頭のグラフでもわかるように、今回のカラオケ・ローラー作戦でも、2000年以降の直近20年では、カラオケで歌える曲も激減。
最新曲は、2018年の子供向けヒット曲「パプリカ」が歌えた曲としては最後で、この直近2〜3年に至っては、歌手(アーティスト)の名前すら、聞いたことのない人ばかりでまるでチンプンカンプン。
しかしそれでも、今のランキングを賑わしている楽曲にグッと来ている若者たちは、いずれ、今の僕のような老人になった時、やはりあの時代の曲は最高だつたと振り返るはずです。
つまり、流行歌と言うものは、いかに、その時代の若者の感性を揺さぶることで成り立っているのだと考えていいのものなのだと思います。
残念ながら、感性の劣化したお年寄りたちは、初めから相手にしていないと言うのが、時代の流行歌の残酷さと、生々しさなのでしょう。
お年寄りの皆様は、無理をせずに、どうぞ懐メロでお楽しみくださいと言うわけです。
しかし、それにしても、素晴らしい楽曲が巷に流れているのに、こちらの耳の都合で、不当評価しかできないのだとしたらこれは悔しい限り。
「年寄りの冷や水」と言われようと、多少は無理をしてでも、最新のヒット曲を、レパートリーに加える努力は、していきたいものです。
全部理解するのは無理でも、せめてそのエッセンスくらいは理解したいものです。
若い頃には、聞いた瞬間に、体中に電気が走るような衝撃を受けたような音楽体験が、幾度となくありましたが、それも最近はトントご無沙汰。
まあ、そんな体験は望まないにしても、繰り返し聞いているうちには、いつの間にかスーッと入ってくる曲もあるにはあります。
2000年以降の楽曲で、歌えた曲の中には、これはデータにしてから気がついたことですが、テレビ局のオリンピックのテーマソングになっていた楽曲が多かったのは、おそらくは中継番組で繰り返し聞かされていたからだったはず。
間違いなく「刷り込み効果」です。
いずれにしても、すでに脳にインプットされている楽曲ばかりでなく、新しい曲を覚えるという作業は、脳の訓練にもなり、認知症防止にもつながるとのこと。
いやいや、何も新しい曲に限る話ではありません。
古い時代の流行歌でも、自分の知らない名曲は、まだまだ五万と眠っているはずです。
カラオケ道楽を追求するものとしては、新しいレパートリーの発掘には、これからも努力したいところです。
さて、冒頭の疑問です。
果たして、新しい曲を受け入れる感性は、いったい何歳の頃がピークなのか。
これは、今回データを取ってみて明確に分かりました。
「人は」と言うよりは、「自分の」と置き換えるべきでしょうが、おそらくその内容こそ十人十色でしょうが、ピークの年齢はほぼ変わらないのではないかと推測します。
僕の場合は、当初の予想通り、13歳の時。
これは、1959年生まれの僕にとっては、ちょうど中学二年生の時に当たりました。
ズバリ1972年です。。
この年に、巷に流れていた歌謡曲で、今でもよく覚えていて、カラオケで歌えたものは、なんと63曲。
これは、年間ベスト100まで並んでいるランキングの上位50曲のほとんどで、どの曲も比較的とちらずに、サラリと歌えたものばかり。
曲目を見ても、演歌からアイドル歌謡、フォーク・ソングから、ロックまで、ジャンル横断で多岐に渡っていました。
当時はギターの覚えたてで、ひたすらフォーク・ソングに熱を上げていた頃だったにもかかわらず、それほど好きではなかったジャンルの演歌や歌謡曲まで、ちゃんと覚えていたのには我ながらビックリ。
おそらく、13才の頃は、音楽を吸収する感性が、ちょうど乾いたスポンジのようになっていて、なんでも貪欲に吸い込んでいたような気がします。
ですから、中には、当時覚えたものでも、それを「昭和の味」として、再認識したのは、もっとずっと後になってからと言うような曲もたくさんありました。
もちろん、1972年のヒット曲ではあっても、実際に覚えたのは、もっとずっと後だったと言うこともあるかも知れません。
逆に、僕が生まれる前のヒット曲を覚えたのが、この年であったと言う可能性もあります。
ちょうど歌本のコード譜を見ながら、ギターをかき鳴らして昔の歌も散々歌っていた頃ですから。
しかし、中二病とはよく言ったもので、この自意識過剰な多感な時期に出会った楽曲は、どうやら、その人の一生の音楽感性に多大な影響を与えるようになるというのは、ほぼ間違いなさそうです。
歌謡曲ではありませんが、僕がビートルズに初めて触れたのも、思えば中学2年生の時でした。
この年は、ちょうどビートルズ解散後に初めて4枚組のベスト盤が発売された年で、これが、今でも一向に褪せる気配もなく続いているビートルマニア人生の、はじめの一歩でした。
13歳の時に、その人がどんな音楽環境にいたかで、その人の一生の音楽の感性は決定される。
全く個人的なことではありますが、薄々とは感じていた予想に、エビデンスがとれたような気になって、ちょっと嬉しい気分になりました。
人によっては、個人差もあるでしょうが、自分が13歳の時に受けた音楽の影響を確認する意味で、それぞれ13歳の時に当たる年度のヒット曲をカラオケで歌ってみることをお勧めいたします。
おそらく、面白いようにスラスラと歌えて、ビックリするかもしれません。
僕らよりもひと回り上の団塊の世代の後期高齢者の人たちは、ちょうど昭和歌謡全盛から、フォーク・ソング大流行の60年代のヒット曲を懐かしむように「あのころの曲は良かったなあ」と目を細めます。
それと同じように、僕らの世代は、おそらく口を揃えて「70年代最高」と言い続けるのかもしれません。
しかしそれは、60年代や70年代の楽曲が、今の曲と比べて相対的に優れていたということでは、けっしてありません。
それは、たまたまその頃に、10代の多感な時代を過ごしていた若者が、残念ながら、今の時代の音楽を理解する感性をなくしているだけのこと。
いつの時代でも、その時代の若者にとって、その時代の曲が、一番ビビットに反応できるのは当然のことです。
もう50年も経てば、音楽のカテゴリーはさらに細分化され、同じテーブルの上で、70年代の流行歌と、2020年代の流行歌が、新しい時代の人の「好み」として論じあえる多様性の時代になっているのかもしれません。クラシック音楽がそうであるように。
なんかこう書いてくると、まるで流行歌は、若者のためにあるといってしまっているようで悔しいのですが、実はこんな60歳を過ぎた老人でも、この感性にも直接響いてくるような楽曲にどこかで出会えないものかなと言う思いは常にありますね。
それは、音楽マーケットが、いつの時代も、その時代の老人を常に無視しているという状況に対する憤りでもあります。
あちらの理屈としては、音楽に関しては、老人を相手に商売しても、お金にならないと言うことなのでしょう。確かにそれはそうなのかもしれません。
しかし、それは、作り手が勝手にそう決めつけているだけのことだろうという思いもあります。
本当に老人たちが、楽曲に感動して、慣れない手つきで、iTunes Sore や Spotify からダウンロードまでしようという気になれば、メガヒットは、もう約束されたようなものです。
なんと言っても、今の時代の老人たちの絶対数は圧倒的。
しかも、僕以外はたいていお金持ちなのですから。
「黒ネコのタンゴ」も「およげ!たいやきくん」も、「ダンゴ三兄弟」も、国民的メガヒットの背後には、普段は音楽からは遠い、その時代の老人たちが動いたことが原因だったとろうと睨んでいます。
願わくば、子供の助けを借りず、しかも演歌でもはない、老人発信のヒット曲が生まれないかと、秘かに期待しています。
1932年 (昭和7年) 1曲
1935年 (昭和10年) 1曲
1938年 (昭和13年) 1曲
1944年 (昭和19年) 1曲
1945年 (昭和20年) 1曲
1946年 (昭和21年) 1曲
1947年 (昭和22年) 2曲
1948年 (昭和23年) 2曲
1949年 (昭和24年) 3曲
1950年 (昭和25年) 3曲
1951年 (昭和26年) 1曲
1952年 (昭和27年) 5曲
1953年 (昭和28年) 1曲
1954年 (昭和29年) 1曲
1955年 (昭和30年) 2曲
1957年 (昭和32年) 3曲
1958年 (昭和33年) 1曲
1959年 (昭和34年) 6曲
1960年 (昭和35年) 8曲 1歳
1961年 (昭和36年) 11曲 2歳
1962年 (昭和37年) 8曲 3歳
1963年 (昭和38年) 8曲 4歳
1964年 (昭和39年) 8曲 5歳
1965年 (昭和40年) 22曲 6歳
1966年 (昭和41年) 28曲 7歳
1967年 (昭和42年) 27曲 8歳
1968年 (昭和43年) 22曲 9歳
1969年 (昭和44年) 38曲 10歳
1970年 (昭和45年) 34曲 11歳
1971年 (昭和46年) 45曲 12歳
1972年 (昭和47年) 63曲 13歳
1973年 (昭和48年) 58曲 14歳
1974年 (昭和49年) 55曲 15歳
1975年 (昭和50年) 43曲 16歳
1976年 (昭和51年) 46曲 17歳
1977年 (昭和52年) 52曲 18歳
1978年 (昭和53年) 57曲 19歳
1979年 (昭和54年) 55曲 20歳
1980年 (昭和55年) 56曲 21歳
1981年 (昭和56年) 45曲 22歳
1982年 (昭和57年) 45曲 23歳
1983年 (昭和58年) 38曲 24歳
1984年 (昭和59年) 48曲 25歳
1985年 (昭和60年) 27曲 26歳
1986年 (昭和61年) 28曲 27歳
1987年 (昭和62年) 26曲 28歳
1988年 (昭和63年) 21曲 29歳
1989年 (平成元年) 24曲 30歳
1990年 (平成2年) 28曲 31歳
1991年 (平成3年) 15曲 32歳
1992年 (平成4年) 19曲 33歳
1993年 (平成5年) 19曲 34歳
1994年 (平成6年) 15曲 35歳
1995年 (平成7年) 12曲 36歳
1996年 (平成8年) 12曲 37歳
1997年 (平成9年) 6曲 38歳
1998年 (平成10年) 7曲 39歳
1999年 (平成11年) 4曲 40歳
2000年 (平成12年) 5曲 41歳
2001年 (平成13年) 3曲 42歳
2002年 (平成14年) 5曲 43歳
2003年 (平成15年) 1曲 44歳
2004年 (平成16年) 6曲 45歳
2005年 (平成17年) 4曲 46歳
2006年 (平成18年) 3曲 47歳
2007年 (平成19年) 1曲 48歳
2009年 (平成21年) 1曲 50歳
2010年 (平成22年) 1曲 51歳
2012年 (平成24年) 1曲 53歳
2014年 (平成26年) 2曲 55歳
2018年 (平成30年) 2曲 59歳
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