トム・クルーズ主演の人気スパイ映画シリーズ第4弾です。
彼の体を張ったアクションが売りのこのシリーズですが、なんといっても、その主役の彼が本作では、なんと49歳です。
自分の49歳の頃を思い出すと、とにかく若い頃のように動かなくなった体に、悶々とした日々を送っていたことが昨日のことのように思い出されるわけです。
自慢ではありませんが、若い頃は、バク転やバク宙がさらりとこなせる身体能力を持っておりました。
しかしその年齢になると、さすがにそれをやったら、怪我をするぞと言う自覚が芽生え始め、やろうと思えば、いつでもできると言う自負を、理性で抑え始めるようになった頃でもあります。
年齢を重ねれば、肉体は劣化していくと言うことを、いやでもわかり始めるわけです。
しかし、本シリーズの製作権を持つプロデューサー兼主演俳優である。トム・クルーズは、映画はヒットさせなければいけないと言う使命感から、自らの肉体にムチ打つことに躊躇することがありません。
本作でのトム・クルーズのバディは、今までにないほどマッチョに仕上がっていました。
前作以上に、観客の度肝を抜くアクションを自らがこなすことを至上命題としたトム・クルーズが、今回挑んだアクションもまた凄まじいものでした。
なんと今回、彼がダブルスタントを拒んで、自ら演じた命がけのアクションは、ドバイにある世界一の高層ビルブルジュ・ハリーファの外壁をよじ登ると言うもの。
よじ登るだけではなく、その外壁を走り、ジャンプをすると言うわけですから気合が違います。
彼が今回指名した監督はブラッド・バード。
初めて聞く名前でしたので、Wikiしてみました。
なんと、意外や意外、アニメ畑の人でした。
本作の前に撮られた作品が、ピクサーアニメーションスタジオの「レミーのおいしいレストラン」。
その前が同じく、アニメ作品の「Mr.インクレディブル」。
実写映画の監督は、本作が初めてという人です。
プロデューサーとしては、かなり思い切った指名ですが、こういう大抜擢はハリウッドではよくあります。
指名の理由は、CGを駆使した3Dアニメだからこそできる、とんでもアクションのテイストを、実写映画の中で発揮してもらおうと言うことだったかも。
裏を返せば、トム自身がの年齢によるアクションシーンの劣化を、自覚し始めていたと言う事かもしれません。
どこでどういうCGイフェクトが使われていたかを見定める眼力は、僕にはありませんが、そんなわけで、本作には少なくともこれまでの作品よりはCG処理が多く使われていた印象です。
そのかわり、登場する作戦遂行用のギミックは、かなり凝っていました。
機密資料奪取のため、クレムリンに潜入したイーサンとベンジーが使用したのがCG背景偽造装置。
これは、オリジナルの「スパイ大作戦」のテイストがムンムンで、楽しませてもらいました。
撮影機能付きコンタクトレンズや、壁面吸着グローブなども登場。
サプライズ場面で使用される、定番の変装マスクは、今回のミッションでは使用されませんでした。
通常の変装では、すぐにトムだとわかってしまいますね。
本作では、高性能スマホも登場。
iPhoneがアメリカで発売されたのが、前作の公開された翌年ですので、もうこの頃にはかなり巷には浸透していたはずです。
ベンジーが使っていたPCはApple製品でしたので、おそらく使われていたのはiPhoneでしょう。
個人的にiPhoneを使用しだしたのもちょうどこの頃でした。
その時には、この作品はまだ見ていませんでしたが、持っただけで、ジェームス・ボンドになったような気分になったものでした。現実が、スパイ映画に追いついたというワクワク感がありました。
本作のストーリーの骨子は、核戦争を意図的に起こして、世界をリセットさせようと言うクレイジーなテロリストの野望を、イーサンたちのチームが阻止すると言うもの。
本シリーズの2作目は、007シリーズ「ロシアより愛をこめて」を意識した作品だと申しましたが、その流れで言えば、本作は「007サンダーボール作戦」がベースにあったかもしれません。
スパイ映画において、主人公たちが核爆発を阻止すると言うストーリーは、ある意味では王道です。
「サンダーボール作戦」は、スペクターが、NATOから奪取した原爆を、ジェームズ・ボンドが奪還すると言うシンプルなストーリーでしたが、さすがに2011年のスパイ映画ともなるとその辺の核事情はかなり複雑。
核弾頭そのものだけではなく、発射コードやら、人工衛星やら、映画的マクガフィンも複雑になっていて、正直言って僕のような単純な頭ではなかなか追いついていけませんでした。
しかし、アクション映画に、理屈は関係ありません。
わかっていてもいなくても、こちらとしては、ハラハラドキドキさせてくれる映画的カタルシスを味合わせてくれれば文句なし。
クレムリンに潜入したイーサンたちよりも先に、核弾頭の極資料を盗み出したテロリストは、証拠隠滅のためにクレムリンを爆破してしまいます。
その濡れ衣を着せられてしまったのがイーサンたちのチーム。
ちょうどその時、ロシアに訪れていたIMF局長は、IMFがロシア側にテロリストとして疑われていることを告げ、応援はできないが、自力でそのその濡れ衣を晴らせと言う指令を出します。
これがタイトルにある、「ゴースト・プロトコル」です。
「君もしくは君のメンバーが、殺されあるいはとらわれても当局は一切感知しないので、そのつもりで。」
お馴染みのこの文句こそが、つまり「ゴースト・プロトコル」そのものと言うわけです。
これが理解できれば、難しい事はわからなくても、映画を楽しむ分には問題ありません。
本作のタイトルを「ミッション・インポッシブル4」にするのではなく、固有の名前をつけていくのは、この後のシリーズでは定番になりますが、この辺も007シリーズの影響は大きいかもしれません。
イーサンたちのチームは、本部からの応援を得られない中で、たった4人と持ち出してあった装備だけでテロリストに立ち向かって行きます。
考えてみると、今回のイーサン・チームのミッション遂行は、どれもまともに完遂していません。
どのミッションも、すべてテロリストに先をこされています。
それを散々見せられた後で、もうダメかという最後の最後で間一髪、メンバーたちのチームワークで核爆発を阻止するという展開には、なかなかのシビれるものがありました。
まさに、このラストのために、練り込まれた脚本でしたね。
ただ、個人的には、このラストよりも、エンディングでチームが再会するシーンの方が好きですね。
このシーンでは、前三作でイーサンの相棒を務めたルーサーが登場します。
メンバーは次の任務を引き受けて、一人一人去っていきます。
そしてもう一人・・・
おっと、それが誰かは申しますまい。
それは是非、「M:I Ⅲ」を見た後で、本作をご覧になって確認してみてください。
では、「ローグネーション」でまた。
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