今年の1月に封切りされたばかりの最新作が、Amazon Primeに早くもアップされていたので、鑑賞いたしました。
東野圭吾原作のミステリーです。
設定がなかなか凝っています。
シチュエーションは、雪が降っていない山荘を、雪に閉ざされた山荘と見立てて、新作舞台の主役を決めるためのオーディションを行うというもの。
仮想の「吹雪の山荘」という、かなりトリッキーなクローズドサークルが形成され、演出家の指示により、外部との連絡を絶たれた男女7名が、演技を続けることになります。
そんな状況の中で、若者たちが1人ずつ・・。
クローズドサークルものの古典的名作と言えば、なんといってもアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」でしょう。
東野圭吾の作品はあまり読んでいませんが、アガサ・クリスティーなら10代の頃に読み漁りました。
もちろんこれも読んでいます。
本作では、7人が到着した山荘に、なんとこの本が7人分用意されているんですね。
この分野のミステリーを映画化するにあたっては、まずこの大先達の傑作に対して、リスペクトしておきましょうと言うことでしょうか。う
さて、東野圭吾はアガサ・クリスティーを越えられるのか?
恥ずかしながら、最近の映画事情には全く詳しくありません。
新しい映画はあまり見ることがないので、当然ながら俳優たちの知識もありません。
本作に登場する若い俳優たちも、今回初めて拝見する方々ばかり。
しかし、真犯人は、誰かと言うミステリーを鑑賞する場合において、これは悪いことではありません。
変な先入観や、ごひいき感情が起こらない分、純粋にミステリーを楽しめると言う利点はあります。
7人が過ごす山荘には、いたるところにライブカメラが設置されています。
彼らの一挙手一投足は、すべて仕掛け人の演出家が監視して、採点の対象になっていると言う状況。
メンバーたちは違和感を覚えながらも、与えられた設定で演技を始めます。
そして、2日目。
電子ピアノ弾いていた女優の一人が、電源コードで組を絞められて・・・
翌朝彼女は山荘から姿を消しています。
そして3日目。
今度はまた女優の一人が、花瓶で頭を殴られて・・・
血痕がついた花瓶が、翌朝ダイニングテーブルの上に置かれてあり、彼女の姿はありません。
そして事件が起こるたびに、演出家からのメッセージがリビングルームに流れます。
・・と言う事は、つまり殺された2人は、演出家とぐるになって残りのメンバーを騙していると言うこと?
死体を投げ込んだと想像させる井戸は出てきますが、殺された2人の死体は出て来ませんので、見ている方としては、まず狂言を疑います。
この演出家も、ずいぶんと趣味の良くない演出をするもんだなと思うわけです。
さて、3人めの犠牲者は誰か?
いや待て。
それよりも本当に殺人事件を行われているのか?
ここで観客には、この山荘オーディションの前日譚となる、とある事件が提示されます。
そして、3人の被害者を殺す動機を持った女優が、ここでもう1人登場。
とまあ、公開されたばかりの映画ですから、ストーリーの紹介はこのくらいにしておきましょう。
大丈夫。
ここまででまだ映画は半分程度です。
この後二転三転させてくれますので、ネタバレにはならないでしょう。
それは是非映画を見て確認してください。
最新のミステリーを見たいと思った理由は、今では当たり前のスマホやPCなどの、最新デジタル技術が、映画の中には、どのように活用されているかに興味があったからです。
エラリー・クイーンやコナン・ドイルの頃には、当然なかった小道具です。
しかし、その意味では、本作はあてがはずれました。
映画は今年作られたばかりのピカピカの最新作でしたが、東野圭吾の原作小説が発表されたのは1993年。
まだこの頃は、スマホは影も形もなく、やっと携帯が世に出始めたばかりの頃でしたね。
この時代ギャップを埋めるために、映画の中でも、若者たちのスマホは全て取り上げられ、外部との連絡は一切禁止と言う設定になっていました。
スマホの標準機能を駆使して犯罪をトリックを考えたり、はたまた事件を解決すると現代ミステリー小説というのは、ちょっと興味があるところなのですが、まだ見たことがありません。
おそらく多くの作家がいろいろと試行錯誤している最中なのでしょう。
あるいは、技術の進歩が著しいスマホは、トリックに使用しても、すぐに機能もフォルムも古びてしまうので、トリックの小道具としては、あえて使わないと言う選択をしてるのかもしれません。
大好物の古典ミステリーの名探偵たちが、もしも、この最新小道具を持っていたら、どんな使い方をするのか。
しばらくは、そんな妄想していることにします。
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