「チョー気持ちいい。 」
あの名セリフが、また北京に帰ってきました。
北島康介25歳。アテネに続く同種目2連覇。
しかも、世界新記録。
「記録」ではなくて、「勝負」の結果を求められるのがオリンピック。
そのオリンピックという舞台で、世界一の「記録」を出しての、金メダル。
これは、お見事とというしかない。
最近、我が社の事務所で、流行っている言葉でいわせてもらいましょうか。
「さーすが!」
この北島選手は、練習嫌いを公言してはばからないのはご承知の通り。
しかし、彼はこうもいっています。
「本番前に緊張するのは、やるべきことをやってこなかった不安があるから。
やるべきことをやった上で、本番にのぞめば、余裕をもって楽しめる。」
要するに、練習が嫌いと、練習をしないとは違うということでしょう。
彼のいう「練習嫌い」という物言いは、やはり周囲から期待され、持ち上げられることへの、彼なりの屈折した「照れ」だと見ます。
この男、なんだかんだといっても、やることはやっています。
そうでなければ、このオリンピックという大舞台で、こんな大きな結果を残せるわけがありません。
世界一になるために必要なこと。
まず、現状の自分の能力と技術を正確に理解すること。
世界一になるために、自分に何が足りないのかを把握すること。
足りないものをどうやって高めるかをわかっていること。
そして、そうやって獲得したすべてを、たった一度の「本番」で出し切る自己調整力。
つまり、自らが設定したゴールのイメージをリアルに描けた上で、そのゴールから逆算した日々の練習を積み重ねられること。
「世界一」になれる男には、このすべての能力があるということでしょう。
北島康介。うん、たいしたもんです。
そして世界一といえば、もう一人。
男子柔道66キロ級の内柴正人。
金メダル獲得直後のインタビューがとてもさわやかで好感度アップでしたね。
「やりましたね。」と、インタビュアーにふられてこうきました。
「やっちゃいました!」
満面の笑顔で、お茶目なところを見せておいて、直後にきっちりと締めます
「これが僕の仕事です」
いやあ、かっこいい。
谷亮子の銅と、平岡の初戦敗退で、いやなムードが漂った日本選手団のモチベーションを一気に上げました。
とにかく、彼の試合ぶりは、終始「攻めまくり」で、危なげがなかった。
入退場から、試合中の「待て」の時間帯も含めて、常に体が動いていました。
特に、準々決勝でのシャリポフ(ウズベキスタン)との対戦はシピレましたね。
残り時間40秒からの逆転劇。
見ているこちらは手に汗握って、悲鳴をあげんばかりなのに、本人はあわてず騒がず冷静に勝機を伺います。
そして最終的には効果ふたつの優勢勝ち。
敵は、前回内芝を仕留めた「朽木倒し」を、これでもかと仕掛けてきますが、これは完全に「見切って」いました。
頭に入っているというよりは、体が反応していましたね。
決勝で、ダルベレ(フランス)を押さえ込んだときも、敵は「あっ」という間に「まいった」をして、会場はドッと沸いているのに、本人だけは知らないで一生懸命押さえ込んでいるという「泥臭い」勝ち方も、彼らしくてよろしい。
野村がいない今大会、アフター北京で、マスコミは、この「餃子耳」のヒーローを、おそらく放さないでしょうね。
これで、荒川静香のイナバウアーによる金メダル1個に終わったトリノオリンピックは越えました。
大会はまだ3日目。
この後も、続々と、ニューヒーローが登場してくることを、オリンピックおたくのオジサンは期待いたします。
さあ、家に帰って、北島のレースを見るとしますか。