最近、「怖い!」と思ったことがなんかあったかなと考えてみたんですね。
そうすると、これが怖いことに、ちょっと思い当たらない。
これは問題です。
ちょっと自分の感性の低下を心配してしまいます。
おそらく、ホラー映画なら、普通の方よりは、メジャー、マイナー問わず鑑賞の本数はこなしているはずです。
それでも、ここ最近は、感性に直撃されるような、ゾッとするような怖い場面て、ちょっと記憶にありません。
どんなホラー映画も、一応「怖がってあげましょう」と、良心的に見てあげているつもりなのですが、結局、どのシーンも、その「怖さ」の仕掛けは、こちらの想定内。
ヒットしたホラー映画のショックシーンの二番煎じなら、こちらだって、そうは驚きません。
おそらくは、僕自身が、「恐怖シーン」に対する、映像的免疫がかなりついてしまっているからだとは思いますが、そうはいっても、「怖がりたい」と思っていて、「怖がれない」というのもけっこう寂しいものです。
しかし、もちろん昔は違いましたよ。
小学生、中学生の頃に見た映画やテレビなら、今でも鮮烈に覚えている「恐怖」シーンは、いくつもあげられます。
今回はそのうちのひとつを紹介しておきます。
それは特撮ドラマ版「悪魔くん」。
原作者は、「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木しげる氏。
1966年(昭和41年)10月6日から1967年(昭和42年)3月30日まで、NET系で毎週木曜日に全26話が放送されました。
放映当時、僕は7歳。
「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム・・・」
この呪文とともに、現れる悪魔メフィストと、「悪魔くん」こと、山田真吾少年が繰り広げる妖怪退治のお話です。
僕らの年齢は、ちょうど初代テレビっ子一期生の世代ですから、夜6時から8時までの「子供の時間」は、誰もが毎日テレビにかじりついておりました。
翌日の学校の教室はたいてい、前の日に見たテレビの話で持ちきりでしたね。
そして、その問題の作品は、第六話 首人形。
ある夜、廃品になったマネキンの倉庫で、マネキンが突如動き出します。
マネキンは、暗がりを通りかかったバイクに乗せてもらい、バイクが止まった瞬間、首が落下。
白い粉末をはきかえられた男性は、バイクにまたがったまま、マネキンになってしまいます。
マネキンは、また、バレー教室でも・・・
とにかく、マネキンの首が落ちると、目が1個になって巨大化し、口は大きく裂ける....
首が宙に浮びはじめると、イ ヒヒヒヒ ヒヒヒヒ という笑い声が響く.....これがメチャメチャ恐かったんですね。
そして、この当時だから当然ですが、これがモノクロの映像だったから余計、その恐怖が伝わった気もします。
たぶん、これを今の特殊技術を駆使して、カラーCGでやられても、おそらくあの「恐さ」は伝わってこないと思います。
無生物だが人間に酷似したものが、人間であるかのように動く気味の悪さ。
なんでもないマネキンの顔が、アナログに変化してゆく怖さ。
やはり、まだまだ映像的免疫の無い感性豊かな少年時代に見たあの「首人形」の恐さは、僕の記憶には、一生消えない映像として残っています。
今の7歳の子供たちが、この「首人形」を見たら、どんなリアクションなんだろうか。
ちょっと興味のあるところですね。
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