「エイリアンVSプレデター」は、2004年に公開されたアメリカ映画です。
ハリウッドが生んだ人気2大クリーチャー「エイリアン」と「プレデター」の対決というお話。
監督はポール・W・S・アンダーソン。
この映画は、両シリーズお決まりのパターンを各所に折りこみ、プレデターとエイリアンの因縁に満ちた古い関係を匂わせておりました。
随所に、オリジナルのストーリーを引用しており、この監督の「こだわり」がみえます。
『エイリアン』シリーズでビショップを演じていたランス・ヘンリクセンが今作にも出演。
今回は生身の人間という設定で、前作を見ている人には、楽しませてくれるキャスティングです。
エイリアンは、H.R.ギーガーがバイオメカノイドとして、これ以上はもう考えられないほどの天才的な才能を駆使してつくりあげた芸術作品。
もう一方のプレデターはより人間的な外見で、エイリアンに較べればクリーチャーとしてのデザイン面では弱いかもしれませんが、中世の騎士やサムライに通じるような「プライド」をもっているという魅力的なキャラ。
監督曰く、最後まで生き残るプレデターには、スカーという名前をつけ、彼にはマカロニウェスタンに出ていた頃のクリント・イーストウッドをイメージしていたそうです。
しかし、これは言われてみてもわかりませんな。
この映画のように、それぞれ違うキャラクターをひとつの作品に登場させるような企画を、クロスオーバー作品というのだそうです。
クロスオーバー作品と聞いて、僕が真っ先に思い出したのが、東宝特撮シリーズ。
『モスラ対ゴジラ』 がそうですよね。
この映画は、それぞれヒットした怪獣映画「ゴジラ」「モスラ」が公開された後で、クロスオーバー企画として登場した一本で、「エイリアンVSプレデター」と、製作背景は似ていたかもしれません。
もちろん、こちらの映画の方が、この道では、40年も先輩です。
「キングコング対ゴジラ」というのもありました。
これは、ハリウッド映画の人気モンスターを、日本代表のゴジラと一騎打ちさせようという企画。
力道山とルー・テーズの決戦を、怪獣同士でやらせようというコンセプト。
この後、東宝で続々製作された、怪獣バトルロイヤル決戦シリーズは、いってみればすべて、クロスオーバー作品といってよいかもしれません。
このキャラクターのクロスオーバーは、もちろん映画だけとは限りません。
思いつくまま、挙げてみましょう。
土曜ワイド劇場 『牟田刑事官VS終着駅の牛尾刑事そして事件記者冴子』
『牟田刑事官事件ファイル』シリーズの主演・小林桂樹と、『森村誠一・終着駅シリーズ』の主演・片岡鶴太郎)、そして『事件記者冴子シリーズ』の主演・水野真紀をクロスオーバーさせた、森村誠一作品のドラマ『牟田刑事官VS終着駅の牛尾刑事そして事件記者冴子』
(なんか、そのままでなんのひねりもありませんが)
『ギフト (テレビドラマ)』と『いいひと。』
『ウルトラマンVS仮面ライダー』
「巨人の星」と「鉄腕アトム」
『前田武彦の天下のライバル』という番組の中で、この両アニメヒーローが野球で対戦したんですね。
これ昭和44年のお話。
「ルパン三世」と「ベサイユの薔薇」
ルパン三世 (TV第2シリーズ)で、『ベルサイユのばら』のオスカルが登場。ただし、声優は変更されていました。
「サイボーグ009」と 『レインボー戦隊ロビン』
「サイボーグ009 怪獣戦争」 に、 『レインボー戦隊ロビン』チームが特別出演。
水木しげるの『鬼太郎対悪魔くん』
「アルセーヌ・ルパン」対「シャーロック・ホームズ」
これはルパンの原作者モーリス・ルブランが自作にシャーロック・ホームズを登場させてしまいます。
もちろん、コナン・ドイルからは、すぐさま厳重な抗議。
やむなく、シャーロック・ホームズは、エルロック・ショルメに変更させられるというオチ。
なんか、古いのしか思い浮かばなくてすみません。
鳥山明の『Dr.スランプ』と『ドラゴンボール』
これは、けっこう新しいでしょう!(もう古いか)
がんばってこれくらいでしょうか。なにせ、来年50歳のオヤジですので、申し訳ない。
それから、コンピューターゲームの世界などには、このクロスオーバー企画は、たくさんありそうですね。
しかしながら、この分野の知識は、僕はほとんど持ち合わせていないのであしからず。
『ひょっこりひょうたん島』と『プリンプリン物語』 なんてのも、見た記憶があります。
さて、このクロスオーバー作品。
人気のキャラクターの競演ということになりますから、確かに宣伝すれば、それなりの効果はあがり、ファン心理としては、見てみたくもなるのですが、概ね、見終わったあとの印象はきわめて薄い。
製作するほうが当て込んでいる、「おいしいとこどり」のキャラクター人気の相乗効果という化学反応は、まず発生しないようです。
作品のクオリティでいえば、まず単独キャラのオリジナルを越えるものは皆無。
およそ、企画倒れになっている作品がほとんどです。
クロスオーバー企画というものは、つまるところ、どのジャンルにおいても、話題先行の「お祭り企画」になってしまうという結論。
しかし、そうとはわかっていても、好きなものが並べば、見たくなってしまうのが人間の性。
そんなわけで、このクロスオーバー作品、企画だけはこれから先もなくなる気配はなさそうです。
やはり、ラーメンとお寿司、どんなに好きでも、これは別々に食べたほうがうまい。
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