アメリカには、「保釈保証人」制度というのがあります。
これは、保釈金保証会社が被告人に代わって保釈保証金を裁判所に積み、これが戻った時点でその20%を報酬として受領するという制度ですね。
まあ、これだけならいい商売ですが、実際はそう簡単にはいきません。
この制度の最大のリスクは被告人が出所した途端に、トンズラしてしまうこと。
さあ、そうなると保釈金保証会社は、逃亡者を指名手配して捕まえなければならなくなります。
連れ戻せない時は保証金は、裁判所に没収。期限は180日。
そして、ここで、このトンズラした被告人を、探し出し、捕まえて、連れ戻すという「職業」が成立します。
この追跡・逮捕のプロというのが、バウンティ・ハンター。
日本語で、あえていうならば「賞金稼ぎ」ですな。
保釈保証業者からの逃亡者を捕まえて、その報奨金を受け取ることを生業とする彼ら。
この仕事の根拠となる法律は、アメリカでは州によって異なり、免許を必要とする州もあれば、いらない州もあります。
報酬は、完全な成功報酬のみ。
期日までに犯人を引き渡すことができれば報酬は貰えますが、できなかった場合の報酬はゼロ。
当然ながら、逃走した相手が、武器をもっていることもあります。従って、彼らも武器は自己調達。
被告人は、あくまでも「生け捕り」が原則。
殺してしまったら、彼らの報酬はありません。
この「生け捕り」劇の最中に、ドンパチのシーンはあたりまえ。
まあ、なんとも凄まじい商売があったものです。アメリカならではといえましょうか。
ちなみに、日本でも、保釈金を支援する団体はあるようです。また、指名手配犯に懸賞金がかけられるというのはありますね。
さて、こんな血なまぐさい商売なら、さぞや、この商売には、プロレスラーのようないかついマツチョマンたちが多いのだろうとは想像がつきます。
しかし、このバウンティ・ハンターが、うら若き乙女だったらどうか。
しかもそれが、ハリウッドのスターと、トップモデルを両親に持つセレブだったらどうか。
父親の名前は、名優ローレンス・ハーヴェイ。母親は、ヴォーグ誌の表紙を飾ったこともあるポーリーン・ストーン。
娘の名前は、ドミノ・ハーヴェイ。
こんな、映画の中しかありえないと思ってしまいそうな、実在の人物が彼女です。
もちろん、ちゃんと、映画になっていました。
映画化したのは、リドリー・スコット監督の弟のトニー・スコット。
映画のタイトルは「ドミノ」。
あの、「トップガン」の監督ですが、なんとも、派手でめまぐるしい映画にしてくれました。
まあ、映画のことを四の五のいうのはやめておきましょう。
なんといっても、僕にとってうれしかったのは、この映画に、ドミノの母親役でキャスティングされたジャクリーン・ビセット。
僕の「青春期」のアイドルともいうべき女優さんですが、1944年生まれの彼女は、この映画の撮影時には61歳。
このさい、どんなバアサンになって出てきてもいいだろうと覚悟はしてみていましたが、さすがは女優。
まだまだ、「女」のままで登場して来てくれました。
僕としては、ジャクリーン・ビセットを見れただけでも、元は取れましたね。
ちなみに、「ドミノ」という名前は、彼女が生まれた当時に、活躍していた女優ドミニク・サンダからとったと言うのは、「特典影像」で、実際のドミノの母親のコメント。
あの、「ナインハーフ」で色男を演じた、ミッキー・ロークも、いかつい体格のマッチョ男に変身。
かなりのイメチェンです。
ドミノ・ハーヴェイは、この映画の公開直後、35歳の若さで亡くなっています。
死因は、薬物によるオーバードーズ。
最後まで、映画チックな人生でしたね。
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