昨日は、お休みの乗務員の代走をしてまいりました。
サイモンとガーファクルの東京ドーム公演にいくのだそうです。
S&Gのコンサートなら、僕が代わりに行って来てあげてもいいくらいでしたが、チケットを買ったのは僕ではないのでしょうがありません。
さて、本日の代走で回ったのがどこかといえば、都内の病院及び施設。
洗濯工場から出発して、寝具やタオルなどの洗濯物を納品し、使用した「不潔物」を回収してくるという配送です。
それほどキツイ配送ではないのですが、とにかく、「汚い」ものを手づかみする仕事ですので、なかなかやり手がいません。
特に、若い子たちの拒否反応はすごい。
まあ、そんな業務も抱えて、会社はまわっておりますので、こういう時は、次長様の出番と相成ります。
まあ、事務所にいるよりは、外に出ているほうが性にあっておりますので、こういう時はさっさとハンドルを握ってしまいますね。
というわけで、本日訪れたのが、東京都下にある障害児のための寮後施設。
レギュラーのオニイチャンに教わったとおりに、各病棟をまわり、指定の場所に、タオルケットや、フェイスタオルを納品して回ります。
病棟は、障害の程度によって分かれているようで、スタッフの方が、忙しく走り回っていました。
しかし、当然といえば当然かもしれませんが、施設内の患者さんたちは、こちらの状況などおかまいなくおもいきりマイペース。
人が大きなカーゴを引きながら、棟から棟へ移動しようとしていも、通路の真ん中に、ドカンと車椅子で陣取り、なにやら呪文を唱えています。
相手が障害者でなければ、「ごめんなさい。ちょっと通して下さい」くらいの声はかけたい場面ですが相手が相手。
近くを見回しても、対応してくれるスタッフもいそうもないので、せっかちな僕は、「ええい、面倒くさい」と、その場にカーゴを置いて、車椅子のオニイサンの横をすり抜け、納品場まで手運び3本ダッシュ。
しかし、車椅子の彼氏は、そんなこちらの状況などまるでおかまいなく、あいかわらず何かいいながら、天井を見つめています。
こういう時、人間が未熟な、次長さんは、汗をかきながら、おもわず心の中でつぶやいてしまいます。
「あんた、邪魔!」
さて、そんなこんなで納品も終わり、不潔庫から、「汚れ物」を引き上げていたときのこと。
まだ若い施設の女子スタッフが、患者さんの車椅子に向かってなにかいっています。顔が鬼のようになっています。
「吉岡さん、なんでウンチ教えてくれなかったの。この前はちゃんと教えてくれたのに。大変なんだよ。ドビー(おむつ)変えるの。」
この子の名前は明美ちゃん。
名札もそうですが、それは、その場にちょうど通りかかった、ちょっと年配のオバサンスタッフが、彼女のことをそう呼んだからわかりました。
このオバサンは、おそらく、この施設での彼女の先輩なのでしょう。
先輩おばさんいわく。
「明美ちゃん。すごい顔してるよ。ほら、吉岡さん、困った顔してる。基本笑顔じゃなかったかな。」
もちろんそれは正論でしょう。
そして、さすがだと思ったのは、そういっいるオバサンの顔も、きちんと笑顔になっていたこと。
この先輩スタッフ、若い明美ちゃんに、けして怒ったりはしていません。むしろ、優しく諭しているといったかんじ。
ウンチをもらしてしまった患者さんに、むすっくれてしまった明美ちゃんとはちょっと違います。
こういう先輩なら、患者さんたちのどんなトラブルにも、おそらく、我が子をいたわるように、「愛」をもって接することができるのでしょう。
基本的に、見も知らぬ他人の、それもおもいきり手のかかる世話を日常的に行う仕事です。
やはり、介護の最前線には、こういうスタッフがたくさんいないといけないのでしょう。
しかしです。
僕は、この先輩ではなく、明美ちゃんの方を応援をしたくなってしまいます。
いいと思うなあ。オジサンとしては感情が少しくらいは顔に出たって。
それは、この先輩のように、何事にも、笑顔で接することができるのは、それはそれで素晴らしい。
でも、若い明美ちゃんが、こういう場面で、「頭に来ちゃう」的な感情を押し殺して、先輩たちのように、無理にでも笑って、患者さんに接するという図には、僕としては、おもいきり不自然さを感じてしまいますね。
なんか、それは彼女にとって健康的ではない。
通常怒る場面で、ニッコリされたら、僕ならちょいと不気味です。
そりゃ、頭に来たからといって、患者さんをボコンとなぐったり、車椅子にキックしたりしたら、こういう職場ではすぐに「虐待」だなんだと騒ぎになるでしょう。
だから、それは出来ないのは承知しているから、それをグッとこらえて、その代わり、顔が不機嫌になる。
僕としては、これくらいのことは、いいんじゃないのかと思ってしまいます。
とにかく、明美ちゃんは、人のやりたがらない大変な仕事を、「それなりの志」を持って、自分の意志で選択しているということ。
他人の下の世話なんて、常識的にも、生理的にも、笑顔でできる仕事ではありません。
でも、これをやってくれる人がいなければ、世の中は回りません。
我が父親も、晩年の6年間は、病院暮らしの介護老人でしたから、よくわかります。
とにかく、人のやりたがらない大変な仕事を、自ら買って出てやっているのですから、明美ちゃんには、せめて「いやな顔」「鬼のような顔」をするくらいの権利はあると思います。
いいっていいって、明美ちゃん。患者の吉岡さんには、それくらいのこといってあげて。
おそらく、吉岡さんは、あなたにそう言われても、ほとんど理解できていないかもしれません。
でも、それくらいのことは、あなたの健全なストレスの発散として、口にして、堂々と許される範囲だと思います。
おそらく、そんな毎日に汗を流しているうちに、いずれ、ウンチを教えない吉岡さんに、いちいち目くじらを立てずとも、淡々と対応できるようになります。
そして、そんな毎日を送っているうちに、それがいつしか、初心の自分の高い「意志」と、再びリンクしはじめて、オバサン先輩のように、「笑顔」で仕事が出来るようになるんじゃないかな。
しかし、そこへいくと、オジサンはダメです。
不潔のタオルケットを、カーゴに放り投げながら、周囲に人のいないのを確認して、不潔モノ満タンのランドリーバックにおもいきりキック。
「やってらんねえなあ!なんだよこりゃ」
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