さて、小技でもうひとつ。
弁護士に扮するチャールズ・ロートンの眼鏡です。
彼がこの映画で使用していた眼鏡は、いわゆる僕らがよく使う、両耳にかけるタイプの眼鏡ではありません。
モノクルと呼ばれる片眼鏡ですね。
ヨーロッパの上流階級で流行し、日本でも明治の頃のお偉いさんの肖像画ではけっこうみかけたあのタイプの眼鏡。
ある程度彫りの深い顔をしていなければ装着が難しいため、平面顔の日本人にはあまりなじみはないかもしれません。
チャールズ・ロートンの面相は、ホリが深いというよりも肉厚という感じですが、裁判のシーンで、彼は、この眼鏡をひっかけるというよりも、その顔にグリグリ埋め込むような感じで着用していました。
さて、この眼鏡を、彼は、裁判のここぞというシーンになると、指で弾いてすっ飛ばすんですね。
もちろん、紐で吊るしてありますから、実際には、ぶら下がっているのですが、まあ、やたらととばすとばす。
そしてこれが、映画の中では、小気味よいアクセントになっていました。
この演出が監督のアイデアなのか、俳優のアイデアなのかはわかりませんが、いずれにしても「キャラクター」がしっかりと作りこまれた上での「小技」で、これもおもわず「ニヤリ」です。
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