「タヌキが出たんですよ」
「アライグマかもしれないみたいですよ。」
これは、昨日の自治会役員会での話題です。
わが自治会は、埼玉県川越市の田舎ですから、近くに何が出でも不思議ではないところなんですが、どうもこれがタヌキかアライグマでは大きく違うようなんですね。
まあ、とにかく、その写真を行政に持っていったら、捕獲だなんだと、あわただしいことになっているようです。
まあ、ノーテンキな副会長といたしましたては、いずれにせよ、珍しい動物だから、捕獲して手厚く保護するものかなあと思っていたらさにあらず。
もし、うちの自治会周辺に出現した動物が、タヌキではなく、アライグマだとしたら、これは「外来生物」として、しかるべき処置をしなければいけないそうなんですね。
じゃあこの、外来生物とはなにか。
これを英語で言うとちょっとすごい。
Invasive Alien Species
要するにエイリアンというわけです。
外来生物というのは、もともとその地域に生息していなかったのに、人間の活動によって外国から入ってきた生物のこと。
その彼らの侵入によって、すでに確立されている生態系が脅かされるというわけです。
こうなると、確かに、エイリアン扱いもうなずけますわな。
これだけ、人間様の国際化がすすみますと、海外との交流は活発化します。
そして、そこへもってきて、人間様のご都合によるペット飼育ブーム。
政府では「外来生物法」なるものを、2005年6月に施行。
特定外来生物の飼育、輸入などを禁止し、違反した場合には罰則が課せられるなど、法的な整備を行っているというのが現状です。
人が飼うのもまずいわけですから、それが「野生状態」で発見されるのはもっとまずいということになる。
「外来生物」は、人間様の視点からいえば、自分の地域の生態系を守るために、排除しなければいけない動物たちということです。
ちゃんと「鳥獣保護法」とか「外来生物法」という、法律もあるようです。
でもこれ、正直言って、なんかしっくりこないなあ。
ひとつは、まず「ヨソモノは排除する」という考え方。
人の国際化というのは、いってみれば人類の進歩だと思うわけですよ。
その人類によってもたらされた、いってみれば、動物の国際化の方はマズイというわけです。
人の国際化はいいけれど、動物の国際化はまずい。
なんかこれですと、人間は特別で、動物に属さない、もっといえば、自然にも属さないという、ベツモノ意識が、なんかすごく嫌ですね。
長い年月をかけて進歩して、いまや地球上では、我が世の春を謳歌している「人間種」が、自分たち以外の自然対して配慮するのは、それは悪いこととは思いません。
でも、そこに人間がテゴコロを加えた、在来種の保護ということになると、それがそもそも、「自然」ではないよという気がしてしまいます。
生物の生態系に、いいも悪いもないと思うんですね。
それは、絶滅しそうな種は可哀想。大繁殖している種は危険。
なんか、人間の視点からいうと、単純にそんなくくりになっているように気もするのですが、僕としては、それもこれもふくめて自然じゃないかという気がするわけです。
そこに、人間のタカビーな、「道徳」が加わることの方がはるかに、自然ではないという気がしてしまいます。
生物たちは、何億年の昔から、誰にも守られずに、進化と絶滅を繰り返してきました。
絶滅してしまった種というのは、基本的に、環境の変化や外敵の侵入や攻撃から、自分を守れなかった「種」ということです。
誤解を恐れずに言ってしまえば、それもこれも、すべては、その種の「自己責任」。
自分たちでは、生き残れないのに、誰かに守られて、細々と生き残っている「種」の方が、僕としては、はるかに「不自然」という気がしてしまいます。
我が団地に出没した野生動物が、タヌキであれ、アライグマであれ、問題なのは、彼らが、自分たちの力で、生きていけるかどうか。
この地に出没したアライグマが、何年か先に繁殖して、数を増やしていれば、アライグマの勝ち。
他の動物にやられてしまうか、人間の生活にワルサをして、捕獲されて処分されてしまえば、それは、アライグマの負け。
僕としては、単純にそういうことだろうと考えてしまいます。
いずれにしても、この先の地球上で、人間が関わらない生物の生態系というのは、考えにくいんじゃないでしょうか。
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