中国の華僑新聞曰く
「日本のトイレは清潔であるだけではなく、暖かい便座、洗浄機能をはじめとする各種機能や、ベビーベッドが設置されている。使う人のことを細かい点まで考慮している。日本ではトイレに神様を祀っている」
数年前、オリンピック前の北京に一人旅をしました。
衝撃的だったのは、中国のトイレ。
北京というところは、銀座みたいなおしゃれの通りから一本入っただけで、突如下町の軒並みが出現するような町。
もちろん、圧倒的に面白いのは裏通りです。
その裏通りから、さらに一本奥へ入ると、ちょうど日本の昭和30年代のようなクラシックな住宅街。
そんなところを、フラフラ歩いていて、突然小便をもよおしました。
ガイドさんからは、トイレはホテルで済ませてからいくようにと口酸っぱくいわれていたのですが、もよおしてしまってはしょうがない。
しかたなく、トイレを探します。
すると、それらしき、ところが、住宅街のいたるところにあります。
それも、ワンブロックにひとつくらいの頻度で現れます。
要するに、それぞれの家にはまだトイレがないところが多いので、こんなに共同トイレが多くなるんだなということに気がつくわけです。
ちょっと様子を窺うと、中からは人の話し声。
なるほど、ツレションかあと思いながら、気合いを入れて中に飛び込むと、薄暗い中から、こちらを見る目が4つ。
ん? なんで目が合うんだ?
瞬間頭がまっしろになりましたが、すぐに、この便所には、個室のしきりがないということに気がつきます。
なにか悪いものをみたような気になって、入口近くの壁に向けておもむろに小便を開始。
どうやら、そこでオシッコをするのは正解だったようです。
便器はありませんでしたが、ちゃんとおしっこの後は残っていました。
とにかく、一刻も早く、用を済ませて、ここから出たい気持ちでいっぱいだったんですが、そんなときに限って、まあ出ること出ること。
なにか、背後ではしきりにこちらに話しかけてくるので、おそるおそる声のする方をチラリ。
すると、便所の奥の方で、床にポッカリ開いている穴のようなものをまたぎながら、仲良く並んで座って用を足しているいるオバサン(らしき人)が二人。
やばい、ここは女性用か?
いや、それはない。それなら、小便をするところがあるわけない。
脂汗が冷や汗にかわっていきます。
そして、おしっこが終わるか終らないかのうちに、モノを収め、なぜか反射的に「シェイシェイ」という、それしかしらない中国語を叫びながらダッシュで外へ。
彼女たちは、中からまだ何か叫んでいます。
日本から出かけた旅行者から見た、北京のトイレの感想。
「北京のトイレには、山の神がいる」
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