一昨年公開されたばかりのズシーンと重い日本映画。
監督は、青山真治。
昭和末期の地方都市を舞台に、セックスと暴力について、正面から向き合った映画ですね。
主人公は、17歳の高校生。
セックスする相手を殴ることで性的興奮を得るという性欲の権化のような父親。
そして、殴られ続ける母親。
このかなり際どい設定が軸にありますので、過激なセリフと、過激なシーンが随所にあふれています。
それでも、人間の性欲というものを、堂々と正面から見据えて、ケレン味なく描くと、不思議といやらしい映画にはならないもの。
昔見た、「祭りの準備」やら「正午なり」といったATGの作品と同じテイストを感じました。
さて、最近の映画にはちと疎い映画ファンでして、この作品に、僕の知っている俳優はほとんど出てこないのですが、なんのなんの、実は一人だけいました。
そう、少年の母親役の、田中裕子です。
タイトルロールでも、彼女の名前は見逃していたので、この少年の母親役が彼女だと気がついたのは、登場してしばらくたってから。
「あらやだ。田中裕子じゃないの。」という話です。
しかしさすがの演義派。左腕の先がないというインパクトの有る役柄を、さすがの演技力で、リアルに演じて、映画をビシっと締めていました。
光石研の演じた性欲の権化のような父親役も圧巻。
そして、ちょっと存じあげなかったのですが、この父親の愛人を演じた篠原友希子も、ちょっと僕好みのいい味を出していました。
いつものように、なんの前知識もなく見た映画でしたが、なかなかめっけものでした。
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