1960年製作の東宝オールスター総出演に依る戦争映画。
特技監督が、ウルトラマンシリーズの円谷英二。
戦闘シーンを担当した彼にとっては、1942年に製作された「ハワイ・マレー沖海戦」のカラーリメイクと言ってもいいかもしれません。
「ハワイ・マレー沖海戦」は、真珠湾攻撃の後、まだまだイケイケだったマレー沖での日本軍勝利のところで終わっていましたが、本作は、太平洋戦争のターニングポイントになった、ミッドウェイでの敗戦までが、艦攻隊隊長機の若き飛行士北見中尉の視線で描かれます。
「ハワイ・マレー沖海戦」は、軍の要請による完全な「国威発揚」映画でしたが、戦後20年たって作られた本作は、史実に忠実に、両海戦を再現しながら、きちんと反戦へのメッセージも織り込まれました。
あの国威発揚映画を作らされてしまった東宝としては、やはりこの映画はきちんと作っておかなくてはいけないということだったのでしょう。
沈みゆく空母「飛龍」の舵に、ロープで体を結びつけながら、副艦長に三船敏郎の山口艦長がいうセリフ。
「この作戦は、私達の及ばないところで、なにかが間違っていたのかもしれん。」
ちなみに僕はオールスター映画というのが好きです。
主演級のスターたちが、ほとんどゲスト出演的に、映画のアチラコチラに顔をだすのが、僕のような映画オタクには実に楽しい。
戦争映画で、楽しいなどといってしまうと、ひんしゅくを買いそうですが、この映画にも東宝のスター俳優たちがズラリ。
宝田明、小林桂樹、三橋達也、上原謙、平田昭彦、池部良・・・
見終わった後、Wiki してみましたが、見逃したなあと思ったのは、校長先生役にあのエノケン。榎本健一。
それから、主人公の妻を演じたのが、あれ、香川京子にしては、ちと顔がキツイかなと思っていたら、上原美佐でした。
あの黒澤明の「隠し砦の三悪人」で、お姫様役だった人。
オールスター映画ではありましたが、いまいち物足りないなと感じたのは、やはりアメリカ側のドラマ描写が一切なかったことでしょうか。
まだまだ、映画が元気のあった時代の、鳴り物入りの戦争映画です。
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