宮部みゆき原作の小説のドラマ化。
2014年に、TBSでオンエアされました。
主人公・杉村三郎を演じるのは、「名もなき毒」に引き続いて小泉純一郎ジュニアの、小泉孝太郎。
もちろん、自民党の人気政治家・小泉進次郎は彼の弟。
血筋的には、血統書付きのサラブレット。
演技がどうのこうのというよりも、まずは佇まいが爽やか。
彼のほかの作品て、まだ見ていませんが、コテコテのヒール役で、使われることはなさそうです。
(あったらごめんなさい)
さて、作品。
前回の「名もなき毒」は、事実上、宮部みゆきの2作品を、二部構成でドラマにしていたので、少々マトが絞れていない印象でした。
なので、こちらの作品の方が、感情移入しやすかったですね。
バスジャック犯を演じたのは、長塚京三。
彼が演じたのは、元センシティビティ・トレーニングのトレーナー。
センシティビティ・トレーニングとは、1970年代にアメリカから上陸した、自己啓発プログラムのコーチングをする指導者。
彼らは、このトレーニングを通して、人の心の中に巧みに入り込み、操り、次第に洗脳していく。
日本でも一時は社内研修用のプログラムとしてもてはやされたようですが、研修生の自殺などの事故もあり次第に下火になっていきます。
そこで活躍の場をなくしたトレーナーたちは、やがてそのスキルを活用してマルチ商法を開拓。
言葉巧みに人心を操り、紙切れ1枚の証書を、高額な値段で売りつけ、売りつけた本人に、また販売させるという無限連鎖の集金システム、いわゆるネズミ講会社を続々と誕生させていくことになります。
僕らの世代の者なら、誰しも一度くらいはその毒牙に狙われた経験の一度くらいはあるもの。
多くは「先物取引」の勧誘で、「絶対に損はしません」という甘い言葉で、見ず知らずの会社から突然電話がかかってきたことの一度や二度はあるはずです。
原作者・宮部みゆきの取り上げた題材はまさにこれ。
「いかにもありそうな話だけれど、まだ誰もやっていない」テーマを設定して、小説としてエンターテイメントにするのが作家としての彼女の真骨頂。
ドラマの出来以前に、僕としては、身に覚えのあるこのテーマに引き込まれてしまいました。
なるほど、そういうことだったわけねというわけです。
個人的には、二児の母となった長谷川京子のファンなので、彼女に注目。
こういうドラマ特有の「なにかわけあり」という設定を小出しにしていきながら、ドラマに花を添えた役どころでした。
感想としては、11回にわたるドラマを、大小いろいろな「謎」と「展開」で拡げすぎて、さて最終回はこれをどうまとめあげるのかなとちょっと心配になりました。
とりあえず、一応の締めくくりはされましたが、正直「ん?」
引き込み方が上手だっただけに、やや消化不良。
長谷川京子とのくだりは、最後はあのキャロル・リードの名作「第三の男」のラストシーンをいただいていたのはご愛敬。
あの映画の余韻はありませんでしたが、映画ファンとしてはニヤリとさせられました。
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