昭和40年制作の東映映画。
主演は、ご存知高倉健。監督は、石井輝夫。
amazone プライムビデオの見放題を、iPadで鑑賞いたしました。
この映画は、見ているつもりでしたが、やはり見ていませんでしたね。
話はちょっと個人的になりますが、若かりし頃、冬の北海道をグルリと一人旅をしたことがあります。
釧路から、釧網線の各駅で網走まで向かったのですが、フリー切符だったので、ふと気まぐれで降りた駅が藻琴駅。
小さな木造の駅舎がポツンとある、かなり風情のあるローカルチックな駅でした。
実はこの駅が、この映画「網走番外地」の冒頭、囚人たちが降り立つ網走駅として使われたということを、その時その駅で知りました。
当時でも、そこそこ大きかった網走駅では、あのさびれた感じは出せないという映画スタッフの判断だったのでしょう。
旅から帰宅してから、ビデオ屋に駆け付け、この映画を借りて、その冒頭のシーンを確認した記憶があります。
でも、今回改めて全編を鑑賞してわかりました。
あの時見たのは本当にその冒頭のシーンだけだったようです。
この映画は見たという印象だけが゜残っていたのはそのせいでしょう。
映画「網走番外地」が封切りされた昭和40年ですから、僕は小学校一年生。
この時代は、まだ巷は映画文化全盛の頃。
ちょいと大きな町の繁華街なら、当時の映画会社五社のそれぞれの封切館が並んでいたものです。
まだ、インターネットも情報誌もない頃です。
そんな封切り映画の情報は、概ね街角に貼ってある映画のポスター。
もちろん、この映画も見てはいませんが、ガメラやゴジラの映画ポスターと並んで、街角の映画のポスターで見たという記憶があります。
この「網走番外地」は、東映としては、予想外のヒットとなったようです。
後に封切られた「新網走番外地」シリーズまで含めると、この第1作以降、このシリーズは健さん主演で18本製作されました。
ポスターは、どれがどの作品のものだったかは、記憶がゴッチャになってわかりません。
どうも頭の中では、全部でひとつの作品のようになってしまっています。
ただ、子供が見てはいけない高倉健のアウトロー映画の印象だけは強烈でした。
東映といえば、僕ら世代でお世話になったのは、「東映まんがまつり」。
実は、これを見に行った時の映画館の予告編だったのが、今にして思えば東映任侠路線やアウトローものだったんですね。
だから、映画としては見ていなくても、ちゃんと映像の記憶がどこかに残っていたというわけです。
今回、amazone プライムビデオの見放題リストの中には、この東映任侠路線のラインナップがズラリ。
衛星放送で、この頃の映画がオンエアされればマメに録画してまいりましたが、どれも録画してあるだけでまだ見ていません。
でも今回はいい機会なのでこの健さんシリーズ、子供の頃のワクワク感を取り戻しつつ、健さん映画を見て映画館から出てきたあの当時のお兄さんたちのように、肩をいからせながらamazone プライムビデオを順番に鑑賞。
あるだけみたいと思っています。
さて、映画「網走番外地」。
2作目作以降は、このシリーズは、カラー作品になりますが、このシリーズ第1作の撮影は、モノクロ。
でも、映画の舞台は、網走刑務所の牢獄や、後半の北海道の大雪原でのアクション。
このあたりを表現するには、かえってカラーよりも、モククロで正解だった気がします
それから、いがみ合った二人が手錠につながれたまま、脱獄するという映画後半の展開で思い出されるのが、スタンリー・クレイマー監督のハリウッド映画「手錠のままの脱獄」。
こちらの主演は、トニー・カーチスとシドニー・ポワチエでした。
人種問題にも踏み込んだ社会派の骨太映画がこれ。
映画「網走番外地」のクライマックスは、この映画のアイデアをしっかりといただいていましたね。
この映画後半のたたみかけるアクションで、それまで、殺し屋やチンピラ役が多かった高倉健の男気にあふれた骨太キャラが確立。
ヒロインとなる相手役なしで、ほぼ全編高倉健の男の魅力だけで映画は大ヒット。
健さんの映画の8割以上が北海道を舞台にした作品ですが、そんな後の映画俳優・高倉健のイメージを確立したという意味でも、これはエポックメイキングな作品となりました。
健さんは、ドラマには出演しなかったという意味では、生粋生え抜きの最後の映画俳優。
その映画俳優・高倉健を語る意味では、やはりこの映画は落とすことはできない記念碑的作品になりました。
映画俳優・高倉健を映画界のスターダムに押し上げるきっかけとなったこの作品。
映画の中で、切々と主題歌を歌っているのも高倉健自身です。
主演・高倉健は、もちろん颯爽としていましたが、僕が個人的に好きだったのは、囚人・鬼寅を演じたアラカンこと嵐 寛壽郎。
この映画撮影時の彼は、すでに62歳でしたが、実に貫禄たっぷりに32人殺しの囚人を演じていました。
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