2015年公開の映画。
原作となる漫画があり、その後ドラマになり、好評につき映画化。
最近ではよくある王道を歩んでできた作品。
監督は、松岡錠司。主演は小林薫
ドラマの下地がすでにあったので、映画は、特に説明らしい説明もなく淡々とその延長線上に制作。
ただ、ゲストの俳優たちに、少々ネームバリューがあるのみ。
最初のエピソードに高岡早紀。
次のエピソードに、多部未華子。
最後のエピソードに、誰かと思ったら田中裕子。
映画を見てから、その勢いで一気にドラマも見てしまったので、記憶の中では、ドラマと映画の境がなくなってしまっています。
実は、私事ながら、最近ハマっている新しい道楽が料理だったりします。
そんな日常のベースがあったため、この作品は大変面白くもあり、実用も兼ねていました。
この食堂唯一の正式メニューである「豚汁」を手作りするオープニングのシーン。
こんにゃくを、包丁ではなく、手でちぎっていれるところなど、母親から教わったもつ煮の作り方と一緒で思わずニヤリ。
グルメ番組に登場するようなこじゃれた料理は一切出てこないのも好感度アップの理由の一つ。
どこの家庭でもある料理風景を、どこの家庭でもある素材を使って、けしててらわずに再現してくれるマスターの料理シーン。
ラーメンの回など、マスターが作ったラーメンは、なんと僕も大好きなインスタントの「サッポロ一番」。
この気取らない素朴な料理と、客たちとマスターの絶妙な距離をおいたハートウォーミングな交流。
これがほぼ対等の比重で描かれる不思議な心地よさ。
「食べる」という行為は、やはり人間の本能に何かしら訴えてくるようです。
常連の客たちは、店に入ってくると、メニューにはない自分のお気に入りの料理を当たり前のように注文します。
するとマスターが奥から出てきて、ニッコリ笑って、「あいよ」。
なんだかもうこれだけで、見ている方が安心すると同時にホッコリとしてしまう不思議な味わいの作品です。
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