県警対組織暴力。
「いいか! このタイトルで映画撮ったれい!」
およそ、これほど映画的ではないタイトルはない。
「ガメラ対ギャオス」ではない。「モスラ対ゴジラ」でもない。
「県警対組織暴力」である。
デコレーションもひねりもない。
なんとも、そのまんまの、ストレートなタイトルである。
岡田社長の意地以外の何物でもない。
脚本家もなんとダサいタイトルだよと思ったらしいが、社長命令となればやむなし。
映画は、ずっとヤクザを演じてきた菅原文太を、刑事役に据えて制作される。
冒頭の悪徳刑事登場のシーンは、「ダーティ・ハリー」を意識したかな。
捕まえたやくざを逃がしてやったり、バーで一緒に飲み食いするなど文太刑事はかなりダーティ。
警察とヤクザ、攻守所を変えても、我らが菅原文太のイメージを崩さない悪徳刑事を演じさせている。
「山口組三代目」の大ヒットで、警察に執拗にマークされ出頭命令まで出された岡田社長の私的感情と鬱憤を、そのまま発散しているような作品である。
かなりめちゃくちゃだと思うが、それでもちゃんと人を呼べる映画にしてしまうのがこの人の凄いところ。
一度、この人をモデルにした映画を作ってくれるといい。
戦後日本の芸能史に、これほど影響を与えた人物は、いないのだから。
岡田社長は、映画の舞台になった広島出身。
同じく広島を舞台にした「仁義なき戦い」では、東映の撮影隊は現場から締め出された。
葛飾区柴又の駅前には、寅さんの銅像が立っているが、広島市に菅原文太の銅像は出来ないだろうなあ。
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