製作されたのは1967年。
昭和42年といえば、僕は8歳。
もちろん、リアルタイムでこの番組は見ていました。
日曜日の夜7時は、欠かさずテレビの前に座って、「武田薬品」のテーマソングを聞く。
これは、「ウルトラQ」からずっと変わらないその頃の習慣。
もちろん僕だけではないでしょう。
日本全国にそういう子供たちがいたはずです。
とにかくどんなものにでも、「ウルトラ」とつけば、僕らはワクワクしたもの。
もちろん当時の我が家のテレビはまだ白黒。
僕がウルトラシリーズを、はじめてカラーで見たのは、「帰ってきたウルトラマン」の第一回です。
なので、今回アマゾンプライムで、初めて「キャプテン・ウルトラ」をカラー版で見たということになります。
「キャプテンウルトラ」では、宇宙の背景はすべてブルーで統一。
その鮮やかな色彩は、改めてみると新鮮でしたね。
「ウルトラQ」や「ウルトラマン」「ウルトラセブン」あたりは、後に再放送や復刻版DVDで何度か見ました。
しかし、この「キャプテン・ウルトラ」はその記憶が残念ながらありません。
おそらく、リアルタイム・オンエアを見て以来の再見。
指追って数えてみると、すでに50年が経っていますね。
「キャプテン・ウルトラ」は、「ウルトラQ」「ウルトラマン」と大ヒットを飛ばしてきた、円谷プロが、製作が間に合わなくなったため、東映に製作を依頼したもの。
この後で、円谷プロは、再び「ウルトラセブン」を登場させることになります。
いってみれば、「キャプテン・ウルトラ」は、それまでのつなぎ。
「キャプテン・ウルトラ」は、ウルトラマンと違って等身大のヒーローです。
製作費は、「ウルトラマン」とほぼ同額をかけたといいますが、子供の記憶としても、「ウルトラマン」とのクォリティの違いは歴然。
それまでの「ウルトラ怪獣」をすべて暗記し、(たぶん、九九よりも先)「怪獣博士」とクラスメートに呼ばれていた僕の目にも、この「キャプテン・ウルトラ」は、妙に子供だましに見えたものです。
特に最終回。
キャプテンたちを乗せたシュピーゲル号は、宇宙の果てにたどり着きます。
しかしそこは、なんとお花畑。
おいおい、それはありえないだろう。
理科系オンチの僕が見ても、完全に白けた記憶があります。
今回全話を再見しましたが、やはり50年経ってもそれは同じ感想。
タイトルのはじめで、いきなりシュピーゲル号を吊るしている糸がはっきり見えたり、危険を知らせるウルトラサインも、完全にお絵描きレベルのイフェクト。
脚本も甘い。
主人公のキャブテンに、「人類は太陽系を征服した」なんて傲慢なことを言わせています。
子供向け番組としてはNGなセリフだと思いますね。
その点、ウルトラQや、ウルトラマンは、脚本の段階でも絶対に子供をなめていなかった。
「バンデル星人来襲す」「原子怪獣ブルコングあらわる」
このサブタイトルの付け方もちょっと安易。
怪獣を登場させておきさえすれば、子供たちは喜ぶという意図がありあり。
「鳥を見た」「東京氷河期」
こんな気の利いたタイトルはひとつもない。
どうも、「キャプテン・ウルトラ」は、急場しのぎのピンチヒッターの感が否めず。
キャプテンを演じたのは、中田博久。
後には、東映のやくざ映画でちょくちょく見かけました。
キケロ星人のジョーに扮したのは小林稔侍。
彼も東映ヤクザの常連でしたが、後には味のある性格俳優に出世したのはご存知のとおり。
但し、彼は子供たちの人気がいまいちで、前半のワンクールが終わった時点で、キケロ星に返されてしまいました。
ヒロインのアカネ隊員に扮したのは、城野ゆき。
モデル出身の女優で、美人でスタイルもいいのですが、ウルトラマンのフジ隊員、ウルトラセブンのアンヌ隊員に比べて印象が薄いのはなぜか。
やはりそれは、作品のクオリティに大きく関係がありそうです。
しかし、そんな番組のレベルアップに貢献したのは音楽。
担当したのはあの冨田勲。
この日本初のスペースオペラを、彼の提供した音楽は、大いに盛り上げましたね。
「ジャングル大帝」も、彼が音楽を担当しましたが、ワクワクしたものです
番組の前半は、バンデル星人シリーズで、怪獣も3体しか出てきませんでした。
これが子供たちのブーイングにあったかどうかはわかりませんが、後半は、必ず1話につき怪獣を一体登場させて盛り返しを図ってきました。
でも、どの怪獣もその造形はイマイチ。
正直申して、子供心にもちゃちい怪獣ばかり。
円谷プロが「ウルトラセブン」の準備を整えると、「キャプテン・ウルトラ」は予定を二本繰り上げて強制終了。
その役目を完了。
僕ら子供たちの関心は、待ってましたとばかり「ウルトラセブン」にシフトしてしまいました。
僕は今でも、ウルトラセブンまでに登場した怪獣の名前は全部言えますが、残念ながら「キャプテンウルトラ」に登場した怪獣は例外。
しかしそれでも、50年ぶりに再見した、「キャプテン・ウルトラ」全24話。
改めてみてみると、それなりにいろいろなん発見もあったりで、楽しませてもらいました。
クオリティはイマイチかもしれませんが、それはあくまで比較論。
「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」の出来があまりに良すぎたために、割を食ったともいえます。
案外、愛すべき作品かもしれません。