「結婚できないんじゃなくて、しないだけ。」
ああ、懐かしや。
確かに40歳になるころまでは、僕もそんなことをいっていました。
親戚も両親も、「早く嫁をもらえ」と言ってくれたのは40歳のころまで。
それを過ぎたら、パタリと周囲から、その声は、聞こえなくなりました。
40代の時に、両親ともになくなりましたから、結局、嫁の顔も、孫の顔も、彼らには見せられずじまい。
こんな親不孝なことはないなと、両親を見送ってから反省しても後の祭り。
こうなれば、今更ジタバタしても仕方がない。
選んだわけでもないのですが、図らずもそうなってしまった人生。
これはこれで、落とし前はつ着けないといけないなと覚悟は決めております。
まあ、とにかく、一人暮らしは、もうかれこれ30年の長きにわたります。
ドラマで描かれる「独身生活」とは、似て非なるものですが、もう骨の髄までしみ込んでしまった生活スタイル。
どんなに奇特な方が現れようと、今更共同生活は無理だろうと自覚しております。
そんな身だから、Amazone プライムのラインナップから、このドラマをチョイスしたというわけでもありませんが、どれくらい、ドラマと現実の自分がリンクするかをチェックするのも、楽しいかなと思って鑑賞した次第。
まず確認しておきます。
このドラマが、オンエアされたのは、2006年です。
ですから、今からもう10も前のドラマ。
確かに、どの出演者も、今の彼らより、微妙にしわの数が少ない。
若いです。
スマホを使っている出演者はまだ誰もいない。
そんな時代のドラマですね。
主演は阿部寛。
「メンズノンノ」のカリスマモデルだった、日本を代表するイケメンに、この役をやらせたのがこのドラマのミソ。
しかしながらも、彼は、嬉々としてこの役を演じておりましたね。
190センチの上背を、猫背に丸めて、ダサいファッションに身を包み、時には、社会の窓全開で、このイケメンをいじりまくるサディスティックな演出。
第一話のラストでは、生尻までさらされてしまいます。
高学歴、高身長、高収入。
この3拍子がそろっているにもかかわらず、女性と縁がないのは、その偏屈な性格ゆえ。
自分が偏屈だとは思っていませんが、実はそう思っているのは自分だけで、もしかして人から見たら充分に偏屈なのかもしれません。
一人の時間を、こよなく愛する。
このあたりは、僕も同じ。
人とのコミュニケーションは、このドラマの主人公のように苦手でも、嫌いでもありませんが、それでもやはり一人の時間別物。かなり貴重で、かつ愛おしい。
このドラマの主人公は、大音響でクラシックを聴き、それに合わせて指揮をします。
金魚を飼います。
大好きな肉を、自分で料理して食べます。
手巻き寿司を、自分で作って食べます。
タイタニック号の模型を作ります。
僕は、クラシックは聞きませんが、家でカラオケはします。
先日、いい気持で歌っていたら、近所の人から苦情があったので、最近はやや控えめ。
タイタニック号の模型は作りませんが、絵は描きます。
金魚は飼いませんが、畑で野菜は作ります。
もちろん料理もします。
しかし、健康のため、もっぱら畑で採れた野菜中心の料理。
身長も、学歴も、収入も、お恥ずかしい限りですが、道楽だけはこのドラマの主人公に負けず一丁前。
もちろん、すべて「一人」で完結する道楽ばかり。
もちろんそれがあるからこその生活スタイルです。
ですから、この道楽が、自分のライフスタイルを決めているといっても過言ではない。
とにかくこれがあるから、時間がなんぼあっても足りないというわけです。
そうそう、このドラマを見ていて、気づいたことが一つ。
とにかく、阿部寛演じる独身の一人暮らし男のドラマですから、頻繁に出てくるのは、お一人様の食事シーン。
そして、これにかぶさるアコースティックなBGM。
あれ、このテイスト、どこかで見たことがある。
どこで見た?
ちょっと考えたら思い出しました。
以前、見たドラマです。
松重豊主演の「孤独のグルメ」。
あのドラマも、5シーズン一挙に見ましたが、このドラマから、女優陣との絡みをなくしてしまえば、まさにあのドラマそのまま。
あれと思って、Wiki 調べてみたら、「孤独のグルメ」の第一シーズンが、2012年。
このドラマの方が、6年も前に制作されていました。
「孤独のグルメ」の演出が、このドラマを参考にしたということは、十分にあり得るかもしれません。
一人で食事をしながら、ぶつぶつつぶやく。
まさにあのドラマです。
だからなんだという話ですが、昔のドラマを見るときの楽しみの一つです。
高島礼子が出演していますが、彼女の当時の夫、高知東生も出演。
絡むシーンはありませんでしたが、夫婦で同じドラマに出演していました。
やはり、彼女の口添えで、彼はこのドラマに出させてらったのかななどと想像しつつ、このドラマの彼女に一言。
「亭主、やばいよ。愛人作って、覚せい剤で逮捕されちゃうから、ちゃんと見てないと。」
昔のドラマを見るのも、それなりに楽しみ方はあるようです。
以上。
川越の「結婚できない男」より。