関東地方首都圏平野部に、久しぶりに大規模な積雪。
運送会社勤務なので、大変な週明けでした。
駐車場の雪かきやなにやで、結局家には戻れず。
本日は、以前から予定した休みで、色々予定もあったのですが、全てとりやめ。
三日間の寝不足解消のために、ゆっくり朝起きをしようかと思っていました。
けれど、寝る間際にタブレットで、蔵王の樹氷を眺めていたらカチンとスイッチが入りました。
都心部の雪を喜ぶ人はいないでしょうが、自然の雪の芸術はやはり美しい。
結局、家でぼうっとしているのも、もったいないとおもい、ビデオカメラを持って、山形行きの新幹線に飛び乗ってしまいました。
しかし、新幹線の車内放送では山形県は大雪。
新幹線も、米沢の手前の関根駅まで来て、除雪作業待ちの待機。
どうやら、予定していた時間の山形駅から出ている蔵王温泉行きのバスには乗れそうもありません。
それから山の天気です。蔵王温泉まで登っていっても、はたしてそこから下りこれるのか。
そんなこんなで、山形駅に到着したのは、予定から2時間遅れた午前11時。
途中では、大雪のところもありましたが、駅についてみれば雪は小降り。
ちょっと拍子抜けです。
JRからは、特急券の払い戻し案内もありましたが、時間がないので行列には並ばずそのまま改札を出ます。
あまり雪がひどかったらそのまま帰るのもやむなしと思っていましたが、特にそんな案内も出ていなかったので、とりあえず蔵王温泉まではいってみることにいたしました。
しかし、山交バスのターミナルを探すのに、ウロウロしてしまい、なんと目の前で11時20分発のバスに行かれてしまう不幸。
次のバスは一時間後。
やむなく、駅前の十字屋の8階ファミリーレストランに上がりランチ。
880円也の鍋焼きうどんを食べながら、作戦を練ります。
樹氷の映像を撮って、蔵王温泉の大露天風呂に入って来るつもりでしたが、どうも時間的に両方は無理。
ロープウェイで地蔵山頂駅まで上がって、樹氷の映像がゲットできれば、よしとすることにしました。
バスは、駅から蔵王温泉バスターミナルまでおよそ40分。
街も山も雪で覆われていましたが、仕事モードで見ない雪はやはり綺麗なもの。
首都圏でこんなに積もっていたら、街はパニック必至。
まさに、そんな三日間を経験してきたばかりでしたが、やはり雪国の皆さんは慣れたもの。
これしきの雪は常識とばかりに、どちら様も顔色一つ変えず淡々としたもの。
バスも遅れずに来るし、街は当たり前に機能しています。
この雪に振り回されたものとしては、雪国のたくましさに感服。
蔵王温泉ターミナルに到着したのは、午後一時過ぎ。
まずは帰りのバスの時間を確認。
翌日は仕事ですから、そんなにのんびりもして入られません。
ターミナル15時20分出発を確認し、iPhone のアラームをセットして、ロープウェイのターミナルに向かいます。
「お客さん、樹氷を見るなら、この先5分歩いて左側のロープウェイですよ。この上は、ゲレンデしかないから。」
なにも考えずに、バスターミナルから、「蔵王中央ロープウェイ」の看板を目指してきたら、親切なお姉さんが教えてくれました。
スキーを担がずに、ビデオカメラを持った、僕の格好を見て、スキー客ではなく、樹氷目当ての観光客と理解してくれたのでしょう。
ありがたいことです。
雪の道を滑るように歩きながら、到着したその先の「蔵王温泉山麓駅」。
途中の「樹氷高原駅」で乗り継いで、山頂の「蔵王地蔵駅」まで、およそ20分。
山頂に降り立ったのは午後2時。
首からカメラをぶら下げた「樹氷」目当ての観光客が、います、います。
僕も含めおよそ20人ほど。
しかし、山頂に降りたったらただ呆然。
駅から外に出れば、そこは吹雪に近い、横殴りの雪で、視界はほとんどゼロ。
晴れていれば、そこに広がっているはずの、「アイス・モンスター」樹氷の森はまるで見えません。
あらら。どうしましょう。
しかし、ここまで来てカメラを回さないわけにはいかないので、意を決して吹雪の中に。
かじかむ指でビデオカメラを構えて、おそるおそる踏み出します。
しかし、外は摂氏マイナス10度。
都心ではなかなか経験できない温度です。
まつげも鼻毛も凍る。鼻水はつらら。
寒い、冷たいというよりも、痛いような体感です。
もちろん長靴使用でしたが、それでも足先には感覚がなくなっていきます。
山頂駅で買ったホッカイロを長靴の先に放り込んでもまだ冷たい。
自分なりの完全防寒でも、この雪中に、5分と立っていることは不可能。
外での撮影は諦めて、山頂レストランに退避します。
山頂レストランは、晴れていれば、樹氷高原を一望できるロケーション。
窓越しからではありましたが、一番レストランよりの樹氷だけは確認。
窓際の席をいくつかはしごして、見える限りの樹氷を撮影いたしました。
よし。これで、なんとかここまでやってきた元はかろうじて確保。
しばし、ココアをすすりながら、雪の芸術に見入っていました。
樹氷については、行きの新幹線の中でにわか勉強をしてまいりました。
蔵王に美しい樹氷が形成されるのは、シベリアからの冷たい北西の季節風がここまでやってくるから。
この季節風が、日本海の対馬暖流を通過するときに、大量の水蒸気をもらい、これが雪雲をつくります。
この雪雲が、日本海側の朝日連峰を越え、山形盆地を通って、蔵王連峰までやってきて雪を降らせます。
このとき雲の中にいるのは、0℃以下でも凍らない過冷却水滴。
これが、樹氷の主役。
これが雪と混じり合って、木々に着氷。
そして、蔵王では珍しくない、この日のような強風に煽られて、次第に「海老の尻尾」のようになってフリーズしていきます。
これが「アイス・モンスター」樹氷が出来上がるまでのおおまかな流れ。
蔵王のこの時期は、快晴の日が少なく、むしろ今日のような天気が多いのだそうです。
これは、ロープウェイのガイドがいっていました。
つまり、樹氷が見渡せるのは、1月後半から2月にかけての数少ない晴れの日。
僕は、思い立った勢いで来てしまいましたが、樹氷高原の「アイス・モンスター」の絶景を見渡したかったら、蔵王地方の天気予報は確認してから出かけた方がよさそうです。
それでも、山の天気は、ころころと変わるのだそうですが。
今回、残念ながら、出発前に蔵王のホームページで眺めていた樹氷の絶景は見ることができませんでしたが、その樹氷が、まさに生成されているその現場に立ち会ったということで良しとすることにいたします。
都会に降る雪も、この大自然の中に降る雪も、雪は雪。
美しいと感じるも、迷惑と感じるも、所詮は人間様のご都合です。
雪に罪はありません。
それでは、蔵王の一日をまとめた動画はこちら。
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