1954年のアメリカ映画です。
Amazone プライムのラインナップから鑑賞。
美しさ絶頂の、エリザベス・テイラーを楽しむ映画ですね。
彼女は、この映画の撮影時に22歳。
この以前の代表作であるジョージ・スティブンス監督の「陽のあたる場所」では、まだお嬢様色が強かった彼女ですが、この映画では、もうしっかりと大人のラブロマンスを演じられる女優になっております。
まあタイトルがいかにも、コテコテのメロドラマ。
実は、この映画の原作を、中学生の頃に手に取ったことがあります。
動機はいたって不純。
クラスメイトの女子に、「どんな本読んでるの?」と聞かれたとき、サラリと「『雨の朝巴里に死す』が、面白かったよ。」といいたかったから。
まあ、そういうことになります。
なにせ、映画好きのマセガキで、しかも駅前の本屋の息子として、学校ではそこそこ名が売れていましたので、それを聞かれて「トム・ソーヤの冒険」という訳にはいかなかったわけです。
この原作、手に取ったのは文庫本でしたが、表紙はもちろん、この映画の主演の二人が、ヒシと抱き合っている映画のスチールが使われていました。
この映画の原作となったのは、Wiki してみますと、F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説「バビロン再訪」と判明。
フィッツジェラルドといえば、アメリカのローリング20年代を代表する作家。
ジャズの花が開き、女性が自由になり、アール・デコが最盛期を迎えたその小説の時代背景を、この映画では、終戦を迎えた巴里に置き換えています。
記憶が定かではありませんが、もしかしたら、僕が読んだのは、その原作の短編小説ではなくて、映画のシナリオだったかもしれません。
白状してしまいますと、それほど厚くはないこの文庫を、僕は実は最後まで読んでいません。
途中でくじけてますね。
そのタイトルから、こちらは勝手に「ロミオとジュリエット」のようなお涙頂戴の悲恋メロドラマだと思っていましたが、出会った二人は、とっとと結婚してしまい、子供も生まれ、そのあとはお決まりの不倫。
なんだか、ちょっと昼メロのようなノリ(アメリカ流にいえばソープオペラ)で、中学生にはちょっと辛い内容。
どうせ、この本を読まなくても、そのうち淀川長治さんが「日曜洋画劇場」で紹介してくれるはずだから、それを見て、感想を言えばいいと思っていました。
ところが、Youtube で、確認すると、ちゃんとこの映画は、日曜洋画劇場枠で放映されているにもかかわらず、僕はそれを見逃しています。
大学生時代は、関東一円の名画座は、片っ端から通いましたが、そこで鑑賞した記憶もなし。
見逃す映画というのは大抵そんなものです。
ですから、本作は今回が初見でした。
ちなみに、その淀川長治先生の解説では、この映画の接吻シーンが画期的だったとこと。
何が画期的なのかというと、それまでのハリウッド映画の接吻シーンは、唇と唇を合わせるだけだったものが、この映画の二人は、接吻の時、口を開けていますのと先生はおっしゃる。
こちらも嫌いではないので、そこはしっかりとチェックしてみていましたが、言われて見ればそうかなというくらいで、従来のキスシーンとの差は認識できませんでした。
まあ、常日頃、口全開で、下を絡め合うAVのエッチなキスを見慣れていますので、そのあたりの感覚は麻痺している可能性大。
この映画の監督の、リチャード・ブルックスは、後にエリザベス・テイラーと組んで「熱いトタン屋根の猫」を撮っていますが、こちらのテイラーは、妙にエロかったなぁ。
もっと後では、ダイアン・キートンで「ミスター・グッドバーを探して」で、かなりきわどい映画も撮っていますから、この監督も嫌いではないのでしょう。
さて、この映画の中で、ちょっと面白い出演者を見つけました。
映画の後半で、リズが浮気相手に選ぶ、新進気鋭のテニス・プレイヤーに扮した長身の男優。
「あれ。もしや」と思って、キャストを調べてみたら、やはりそうでした。
我らが三代目ジェームズ・ボンド、ロジャー・ムーアなんですね。
彼は実は、ショーン・コネリーよりも先に、ジェームズ・ボンド役の候補に挙がっていた俳優。
満を持しての三代目ではありましたが、実年齢で、彼はショーン・コネリーよりも年上。
その彼も、この映画の時は、まだ27歳。
テレビドラマには、出ていましたが、映画はこれがデビュー作でした。
昔の映画を見る時は、こういう楽しさがあって、映画ファンとしては、ニヤリとしてしまいます。
さて原作に話を戻しましょう。。
僕の場合、映画を見てから原作を読むということはほとんどありません。
それどころか、映画を見ただけなのに、その原作も読んだ気になって、人に語っているという反則が多々ありますね。
本を読めば、遅読なもので、最低でも丸一日かかります。
しかし、映画ならおよそ2時間前後。
どうやら、映画を見てしまったら、後でその原作を読むのは、時間がもったいない気がしてしまうようです。
老後は、時間もたっぷりとあるでしょうから、面白い映画だったら、原作本も手に取ることにしましょう。
あくまでも、映画は映画。本は本ですから。
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