2016年製作のミュージカル映画。
これを映画館で鑑賞してきたカラオケ仲間が絶賛していました。
その映画が、Amazone Prime のラインナップの中にありましたので、このたびチェック。
実はミュージカルは好きですね。
最近のハリウッドでは、「シカゴ」や「レ・ミゼラブル」など、ミュージカルの力作もありますが、僕にとって、ミュージカル映画といえば、なんといっても70年代の「ザッツ・エンターテイメント」シリーズ。
往年の傑作ミュージカルの名場面を、これでもかと散りばめたミュージカル映画の総集編です。
これで、フレッド・アステアの秀麗なダンスに完全に魅せられて、そこから、情報雑誌「ぴあ」を片手に、彼の映画を名画座で片っ端から見たのが大学生の頃。
「ウエストサイド物語」、「サウンド・オブ・ミュージック」で、ミュージカルは、一気にスタジオを飛び出しロケーションが主流になりました。
もちろんこの映画も、ロサンゼルスの町や、渋滞の高速道路でダンスを繰り広げる展開もあるのですが、古き良きハリウッドのスタジオ・ミュージカルの匂いもプンプンして、僕のようなクラシック・ミュージカル・ファンを大いに喜ばせてくれました。
監督・脚本のデミアン・チャゼルは、Wikipedia に依れば、大のミュージカル・オタクとのこと。
なるほど、往年のミュージカル映画のオマージュになっているシーンが散見され、僕としてはニヤニヤもの。
当初、この若き監督の夢多きリスキーな企画に、出資する映画会社は皆無だったそうです。
低予算で、しかも主人公をジャズ・ミュージシャンではなく、ロック・アーチストの設定に変更するなら金を出してもいいというスタジオがあったそうですが、監督はこれを蹴飛ばします。
これは正解。
よく踏ん張りました。
主演のライアン・ゴズリングと、エマ・ストーンがこの映画のために特訓したというダンスは、完全にフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースを彷彿。
あの踊りと空気感は、絶対にロックではあり得ない。
ロック・バージョンは、若い人の支持はあったかもしれませんが、映画の品格は確実に下げたと思いますね。
しかし、往年のミュージカル全盛の頃のような、どデカいスタジオが使えない代わりに、頑張ったのがカメラワーク。
特に冒頭の、タイトルが出るまでの、ロサンゼルスの大渋滞高速道路でのダンスシークエンス。
これをワンカットで撮り切ったのは見事でした。
相当リハーサルを重ねなければ出来ない撮影。
圧巻でした。これで一気に観客はミュージカルモード。
「ウエストサイド物語」の冒頭は、ニューヨークの町の俯瞰からカメラが降りてくる導入部。
「サウンド・オブ・ミュージック」は、アルプスの空撮から、丘で歌うジュリー・アンドリュースにズームインする導入部。
名だたる傑作ミュージカルは、みんな導入部から観客を一気に惹きつけます。
この作品もその点では遜色なし。
この監督、お若いのにミュージカルのツボをよくわかってらっしゃる。
自身もドラム演奏の経験ありで、その経験を活かした 「セッション」なんていう、なかなかインパクトのある音楽映画を作った手腕はホンモノのようです。
はたして、この監督、次作以降もミュージカルを作り続けるかしら。
ちょっと楽しみ。
しかし、それにしても、アメリカ人は、本当にミュージカルがお好きなようです。
この感性を、幸か不幸か、日本人はもちあわせていないなあ。
残念ながら、日本では、逆立ちしても作れない映画ですね。
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