まず、陳謝。
先日見た映画「悪人」の感想の中で、妻夫木聡は、「心優しきイケメン」の役柄は外れない俳優だと申し上げてしまいました。
まあ、確かにそういう作品も多いのは事実ですが、申し訳ない、この映画での彼はちょっと違いました。
この作品で、彼が演じたのは「カエル男」。
こういうキャラものは、本来は、小栗旬にまわるのが普通なのですが、この映画での彼は、珍しく等身大の刑事役。
そして、この「ミュージアム」で、コミックキャラのダークヒーローを嬉々として演じたのは妻夫木聡。
この映画での彼の役に、今までの彼のイメージは微塵もなし。
快楽殺人に自己陶酔するクレイジーなシリアルキラーになりきって、従来の妻夫木イメージを完全破壊。
見事に振り切っていました。
前半はカエル男のマスク、後半は、スキンヘッド。
エンドロールで、彼の名前が出てくるまでは、最後までそれが彼とはわからないほど、甘い二枚目のイメージは封印した完全怪物メイク。
声も完全に、彼とはわからないほどに作り込んでいました。
ドラキュラのベラ・ルゴシ。
フランケンシュタインの怪物のボリス・カーロフ。
ノートルダムのせむし男カシモドのチャールズ・ロートン。
名だたる怪物俳優と並べても遜色ない怪物ぶりでした。
名も売れた旬の俳優たちの多くは、レッテルを貼られるのを嫌がり、時としてこういう冒険キャスティングにも挑むものですが、これはあっぱれ。
しかし、ここまで俳優のイメージを破壊して、このキャラを作り込んだのなら、誰が演じたかを最後まで公表しないというのも面白かったかも。
もしもヒッチコックだったら、映画の最後で、おそらく観客に向かってこういいましたね。
「こう映画を見た方は、この犯人を演じた役者が誰だったかは、けっして誰にも言わないでください。」
映画は、2016年製作。
この手の映画のほとんどそうであるように、原作は「週刊ヤングマガジン」に連載された巴亮介の漫画。
そうそう。
回想シーンに出てくる小栗旬演じる澤村刑事の父親役に大森南明。
彼が殉職するシーンでニヤリ。
あれは、完全に松田優作でした。
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