このイラストを見て、これが誰だかわかった人は、おそらく僕と同じ世代の相当な映画ファンでしょう。
ミッシェル・ルグランです。
その彼が、1月26日にパリで亡くなりました。享年86歳。
ミッシェル・ルグランといえば、映画音楽作家として有名。
特に1960年代は、彼の全盛期でした。
60年代の映画音楽オタクの僕にとっては、フランシス・レイ、ヘンリー・マンシーニ、モーリス・ジャールなどと共に、忘れられない音楽家です。
あの頃は、音楽のジャンルとして、きちんと映画音楽という分野が確立していました。
今は、ポップスの楽曲とタイアップしていて、映画音楽との境がわからなくなってしまっていますが、あの頃は、映画音楽の作曲家による、インストの映画のメインテーマが、そのままシングルカットされて、ヒットチャートにあたりまえに登っていました。
キーワードは、「オリジナル・サウンドトラック」
当時は、映画がヒットすると、パーシー・フェイス、レイモンド・ルフェーブル、カラベリときらめくストリングスなど、あまた多くの楽団が、そのメインテーマを取り上げてレコード化合戦をしていていました。
イージーリスニングとしては、もちろん問題はないのですか、やはり映画マニアがこだわったのは、実際に映画で使われた演奏。
これが、オリジナル・サウンドトラックです。
「オリジナル・サウンドトラックでなければ、映画音楽ではない。」
僕は、頑なにそれにこだわり、レコードを買うお金はなかったので、せっせとFM放送をエアチェック。
カセットテープに、「オリジナル・サウンドトラック」と表記したTDK のDタイプ90分カセットテープがどんどん増えていきました。
その中で、僕が今でもこれぞ最高の映画音楽と信じて疑わないのが、1970年のアメリカ映画「おもいでの夏のメインテーマ「Summer Knows」
甘美という言葉は、この曲のためにあると思うくらい、映画のシーンと共に忘れられない、切なく胸に残る胸キュンのインスト・バラード。
これを作曲したのがミッシェル・ルグランでした。
https://youtu.be/CXS6gsrfjbk
この映画だけは、メインテーマだけではなく、どうしてもサントラ盤のアルバムが聴きたくて、後に、新宿の西口に中古レードを探しにいきました。
彼の出世作となった「シェルブールの雨傘」。スティーヴ・マックイーンの「華麗なる賭け」のサウンドトラックも、彼のスコアによるもの。
心より、彼を追悼し、ご冥福をお祈りいたします。
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