2017年の作品。
監督は、矢口史靖。
この人は、「ウォーターボーイズ」とか「スウィング・ガールズ」を作った人。
コメディの人かなと思わせますが、取り上げる題材は、けっこうクセがすごい。
今回の、とりあげたお題はこちら。
「もしも、日本中の電気、水道、ガスが止まったら・・」
一家(そして日本中)を突然襲ったこのパニック。
最初は笑えていたものが、次第に笑えなくなる展開。
こういう映画にありがちなのは、このパニックの原因をとりあげて、右往左往する人を描きながら、社会に警鐘を鳴らすというパターン。
しかし、この映画は、それにほとんど触れません。
東京を捨て、一家四人自転車でただひたすら、妻の実家のある鹿児島に向かうサバイバル道中を描くのみ。
そのリアルさをだすために、映画は全編ロケ撮影。
スタジオ撮影やCGは、一切使用していません。
豚も、川も、虫も、通天閣も、みんな本物。
突っ込もうと思えば、怪しい設定はポロポロとあるのですが、そこは小日向文世の決死の熱演に免じで、野暮はいいますまい。
母親役の、深津絵里も、あいかわらず安定感と存在感のある演技。
長男と長女役は、オーディションで選ばれたそうです。
定年退職後は、田舎に引っ込んで農業で暮らす道を模索中。
今は、一人暮らしでも電気代が、たっぷり15000円のマンション生活。
映画同様、電気があって当たり前の暮らしで、体に染み付いている、「便利」を、田舎暮らしでどこまで捨てられるか。
けっこう楽しみな、老後です。
もしも、田舎暮らしをはじめて、都会から脱出してきた人が訪ねてきたとしたら、やはり、養豚場のオヤジを演じた大地康雄と同様、優しく迎え入れてあげることにしましょう。
そのかわり、草むしりはしてもらいます。
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