最近、ハンドルを握りながらよく聞いているのは、YouTube 。
特に、「WOWOW ぷらすと」がお気に入り。
全編トークなので、眠気覚ましのラジオがわりに聞いています。
映画、音楽、落語などなど、WOWOWでオンエアされる番組に合わせて、各界の評論家をゲストに招きディープな関連トークを展開する内容。
この番組の木曜担当が筆者。
「エンターテイメント深掘りトーク番組。WOWOWぷらすと!
司会は、木曜日の男、サンキュータツオです。
本日のテーマは?」
というわけで、本書のテーマは、お笑い芸人たちのネタの学術的掘り下げた文法および文体論。
本当は、珍論文収集家でもある彼の著書「ヘンな論文」をゲットしようと、ネットのブックストアを検索していて偶然見つけた本です。
「お笑い」に興味はあるけれど、どっぷりというのも気恥ずかしい。
アハハと単純に笑いたいけれど、どこかクールでいたいし、ちょっと引いていたい。
そんな面倒臭い親父には、実に心をくすぐるタイトルでした。
しかも、値段が360円と激安。
気がつけば、「ヘンな論文」よりも、先に手をつけてしまいましたね。
まず、その芸人の芸風を吟味した上で、作者による架空のネタを提示。
そして、そのネタをモチーフにして、その芸人の産み出す笑いのメカニズムを解説。
非常に真っ当な学術論文の体裁を取っていますね。
筆者が、非常に頭のいい方だということがよくわかります。
サンキュータツオ氏は「米粒写経」という漫才コンビを組みながら、実際に、一橋大学で非常勤講師も務めているという学者タレント。
いろんな人がいるものです。
実は本書で取り上げられている30組の芸人たちのほとんどは知っていました。
しかしその多くは、「アメトーーク!」などのバラエティ番組を通じて。
つまり、名前と顔とキャラは知っているが、実はネタは知らないという芸人が半分以上でした。
なるほどね、あの人たちは、こんな漫才をしていたわけか。
すると、今は便利なもので、使っているiPad の読書アプリから、Youtube にジャンプ。
彼らのネタを動画で確認。
著者の分析を「うん。なるほどなるほど」と確認しながらも、「でも、彼らのコントには、コント55号のアドリブ的な即興性を活かした面白さもあるな。」などと、独り言を言いながら再び読書に戻る。
そんなふうに楽しめました。
エンターテイメントを、アカデミックに分析するほど野暮なことはない。
もちろんそれは承知。
でも、アッハッハではないけれど、ニヤニヤするのも立派に「笑い」。
書き手が「文章」という技で、読み手の知的好奇心をくすぐっているという芸に他なりません。
これだって立派なエンターテイメントです。
なんだか、お笑いタレントたちが、みんな学者のように見えてきました。
時代を読むセンスと、それにお笑いを巧みに絡ませていくセンス。
売れてる芸人たちは、ああ見えて、やっぱりみんなそれなりに、頭がいいのでしょう。
見ている方も、ただ笑っているだけでなく、勉強もしていかないとついていけないかもしれません。
ところで、因数分解ってなんでしたっけ?
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