2009年公開の日本映画です。
主演は、妻夫木聡、檀れい。
監督は、瀬々敬久。
Prime Video のラインナップで見つけて、思わず見てしまいました。
つい先日も、新型ウィルスの感染を扱った「コンテイジョン」を見たばかり。
この映画「感染列島」が、公開されると同時に、ハリウッドでのリメイクが決定したと、Wiki に書いてありましたから、2011年製作の映画「コンテイジョン」のネタモトになった映画が、本作だと思われます。
国会中継を見ていても、連日取り上げられているのは、新型コロナウィルスの話題。
その影響で、マスクや除菌グッズが店頭から消えたと思ったら、今度はなんと、ティッシュ、トイレット・ペーパーまでがなくなる始末。
何事かと思って、Twitter を追っかけてみると、どうやらデマに振り回された輩が、連鎖反応的に増えて買い占めている模様。
いったい、どうなっている?
1973年のオイルショックで、日本国民は、こんな愚かしいことはしないことを学習したんではなかったのかい。
我が家のトイレットペーパーのストックは、あとわずか2つ。
どうしてくれる。
とまあ、かように新型コロナウィルスの影響は、ジワリジワリと、我々の暮らしの中にも、不安の影を落としはじめています。
来週予定されていた、福島県の農業研修も、中止の連絡が来ました。
いったい、この騒動はどうなるのか。
新型ウィルスが猛威を振るい、日本列島を覆い尽くした最悪のシナリオを、10年前の映画「感染列島」は丁寧に描いてくれます。
今回の、新型コロナウィルス騒動が、ここまでの被害をもたらすというのも心配し過ぎかもしれませんが、物事は何事も最悪を予想しておくことは大事。
映画の出来としては、個人的には、ハリウッド・リメイク版の「コンテイジョン」の方に軍配を上げるのですが、この作品の舞台は日本。大いに勉強にはなりました。
難しい本では、頭が痛くなってしまいますが、映画だとわかりやすい。
映画の中で、WHOメディカル・オフィサーとして、感染が発症した病院に派遣されてくる医師が檀れい。
彼女が、発生したウイルス感染の収束までのシナリオを、わかりやすく病院のスタッフの前でボードに書き出します。
以下の通りです。
それは何か? → ウィルスの正体
それは何をするのか? → 感染症が引き起こす症状
それはどこから来たのか? → 感染経路の解明
それはどう殺すのか → 治療薬
これは、そのまま今回の騒動にも使えそう。
つい先日、厚生労働省が発表した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」から、わかる範囲で拾ってみます。
まず、ウィルスの正体。
これは、はっきりしています。
新型コロナウィルス。正式名称は、SARS CoV-2。
発生したのは、2019年11月。
次は、このウィルスが、引き起こす症状。
基本方針によれば、以下の通り。
「新型コロナウイルスに感染した人は、ほとんどが無症状ないし軽症であり、既に回復している人もいます。
国内の症例を分析すると、発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多いです。」
但し、高齢者や基礎疾患を持った人などでは重症化し、死亡に至るケースもあることは、報道の通り。
次に、感染経路。
まず、発生の公式報告1例目は、中国の武漢。2019年12月初旬のことです。
武漢が封鎖されたのは、2020年1月23日。
その間に、武漢に入った人、出た人は、相当数いたでしょうから、ウィルスの「封じ込め」には、失敗しています。
感染の経路は、主に飛沫感染と接触感染。
国会中継を聞いているとよく出てくるのが「濃厚接触」というワード。
何かと思って調べてみました。
こちらです。
簡単に言えば、マスクなどをしないで、感染者と2m以内で、一定時間過ごした人。
ウイルスは、皮膚についたぐらいでは感染しませんが、それが口や鼻から体内に入ると感染発症します。
ちなみに、この基本方針を読んでいると、どうしても気になることがひとつ。
「特に、風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をせず、自宅で療養してください。」
なんじゃこれは。
要するに、重症化するまでは、病院に来るなという話。
もっともらしく、医療機関の混乱回避をその理由に挙げていますが、どうもその裏には別の理由がありそうです。
世界各国のウイルス対応を比較してみると、明らかにわかることは、日本の検査実施件数の少なさ。
お隣の韓国と比較してみても、検査数においてはその桁が違います。
そもそも分母が少ないのですから、患者数も少なくて当たり前。
どうやら、日本政府は、検査をしないことで、確信犯的に、感染者数を低く見せる工作をしているように思われます。
PCR検査のキットは。用意されているにもかかわらずです。
つまり、症状が軽い人に検査に来られると、感染者数がどんどん増えてしまう。
これは、東京オリンピック開催を控える我が国としては、世界に与える心証が非常に芳しくない。
中止などということになれば、経済的ダメージは非常に大きく、安倍政権にとっても、非常に不都合。
まあ、そんな理由で、不安を抱える軽症の国民には、我慢を強いているのではないかという懸念です。
ちょっと、話が横にそれました。
さて、その収束について。
新型コロナウィルスの治療薬は、当然まだ開発されていません。
検体はありますので、ワクチンの臨床実験がこれから始まるところ。
これが成功して、商品化され、大量生産され、市場に出回るまでには、半年程度はかかるようです。
インフルエンザウィルスに有効なタミフルもありますが、相手は新型ウイルスですから、あくまで、有効かもしれないという程度。
確実に効くという保証はまだありません。
ただし、基本方針の中には、すでに回復をしている人も何名かいると書いてあります。
つまり、人体の免疫レベルでは、この新型ウイルスの抗体をすでに獲得した人がいるということでしょう。
その人の協力があれば、治療法が大きく前進するということはあるかもしれません。
いずれにせよ、ウイルスを撃退する治療法が確立されるのはまだ先ということ。
今は、その正体が解明されていないことによる不安が、人々の恐怖を増幅させていることは確実。
噂レベルでは、いろいろと眉唾の対応策も出回っていますが、ここはつまらない流言蜚語に踊らされない冷静さが必要です。
映画の中では、ウイルスは特定され、感染源の蝙蝠の中から抗体を持った個体が発見され、ワクチンの製造がスタートするところまでは描かれています。
しかし、病院の中には、夥しい患者の数。
ワクチンを待てない患者には、ウイルスから回復した患者の血清を、注入して命を救うという場面があります。
医学ではなく、最後は人間の体が、ウイルスと戦って勝利するというラスト。
今回の新型コロナウィルスは、ここまで「映画的」な顛末にはならない気もしますが、油断は禁物。
例え、春までに騒動が収束したとしても、その後に控えるのが東京オリンピック。
日本は真夏で、ウィルスが暴れるには、辛い季節になってはいますが、オリンピックともなれば、その時真冬の南半球からも多くの人が日本に訪れます。
日本では一時落ち着いていたウィルスが、そこでまた息を吹き返し、オリンピック開催中に感染拡大のパンデミック。
そんな最悪のシナリオも、可能性がゼロではありません。
過去にも、新型ウィルスのパンデミックはありましたが、その被害の大小こそあれ、すべてのウイルスは時期が来れば収束はします。
それは確実なこと。
但し、その被害を必要以上に大きくするのも、最小限に留めるのも、人間の対応次第。
舐めてかかると、とんでもないことになりそうです。
どうも、ウイルス対策のあれこれを見る限り、諸外国に比べて、我が国政府の対応は、決して褒められるものではありません。
すべてが後手後手で、言い訳ばかりがお上手。
国民の生命よりも、優先するものが、いくつもあるようでイライラします。
国民を騙したり、煙に巻くのだけは異様に得意な我が国の政府。
こちらも、ちゃんと監視していないと、何をされるかわかったものではありません。
今回のウイルスも、必要以上に怯える必要はないと思いますが、正しい情報をきちんと見極める目は必要です。
池上彰が言ってました。
「正しく知って、正しく怖がる」
その意味でも、今このタイミングで見ておいて、損はない一本でした。
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