本日は、畑でずっと鍬一本持って畝作り。
去年までは、畝作りの専用の手押し耕運機があったのですが、壊れてしまいました。
やむなく、すべてザックザックと手作業。
途中で雨に降られましたので、昼過ぎには退散してきました。
至近距離で、土をならしながら、黙々と作業を続けていたら頭によぎった映画が二本。
百姓御用達の映画です。
その一本は、まず「風と共に去りぬ」。
前半のラストシーンで、ヒロイン・スカーレット・オハラが、タラの大地の人参をかじりながら、「私は二度と飢えません。」と叫ぶシーン。
夕暮れの真っ赤に染まる、人参畑に、ビビアン・リーの黒いシルエット。
感動的なシーンでした。
我が畑では、まだ、人参は植えていないので、そのシーンの再現は出来ませんでした。
そしてもう一本が、この映画。
「わが青春に悔いなし」。
黒澤明監督の戦後第一作。昭和21年度の作品です。
この映画には、水田が登場。
ヒロイン・原節子が地元農民からの迫害にも負けず、稲を植えていくシーンがあります。
映画の前半は、京大滝川事件やら、ゾルゲ事件など、当時の社会問題を背景にしたストーリーなのですが、後半は、ヒロインが農村の改革に生きがいを見いだしていく展開。
農業を、映画の題材として取り上げてくれた数少ない映画です。
イタリアには、「にがい米」という農村映画がありますが、これは未見。
そこで、早目に畑を切り上げてきた本日。
MY DVDコレクションの中から、「わが青春に悔いなし」を引っ張り出してきました。
この映画は、おそらく学生時代に一度見たきり。
ひさしぶりの再見です。
ヒロインを演じるのは、原節子。
大学教授のお嬢様。
都会で自活するOL。
そして、水稲農家の嫁。
左翼活動家野毛との恋愛を絡めながら、次第に自立していく女性を逞しく演じています。
黒澤映画としては、本作は、5本目。
まだ、この映画では、黒澤監督は、三船敏郎とは出会っていません。
野毛を演じたのは、黒澤監督のデビュー作「姿三四郎」で主演を務めた藤田進。
後の東宝特撮映画では、地球防衛軍参謀でおなじみの人。
その母親役が杉村春子。
ちょっと気になって調べたら、彼女と藤田進は、6歳しか歳が離れていませんでした。
杉村春子さすが。しっかりと母親になっていました。
父親役が、高堂国典。
先日劇場で見たばかりの「七人の侍」では、村の長老を演じていた人ですが、やはりまだ少し若い。
Wiki を見ていたら、講堂の京大生の中に、若き日の荻昌弘がノンクレジットで出ているという記述を見つけて、注意して見ていましたが、いましたいました。
でもこれは、言われないと、絶対にわかりません。
僕らの世代の映画ファンなら絶対覚えているはず。
TBS「月曜ロードショー」の名解説をしてくれたあの映画評論家です。
「七人の侍」で勘兵衛を演じた志村喬は、この映画では憎々しく、原節子をいじめる公安の刑事を演じています。
この人の悪役というのも、なかなか珍しいかも。
いぶし銀の名優は、器用になんでもこなしますね。
映画の演出では、特に時間の経過を表す演出に、まだ若い映画青年黒澤明のみずみずしい感覚が溢れていました。
ちなみに、現役百姓から一言。
原節子も、杉村春子も、その演技は、申し分ありませんが、鍬の使い方がいまいち。
二人とも、腕の力を使いすぎです。
あのフォームはでは、長時間の作業は、腕が疲れてしまいます。
腕の力は極力使わないで、もっと、鍬自体の重さで、土に振り下ろすのが基本。
老婆心ながら・・・
良いね
投稿情報: 大五 | 2020年4 月 6日 (月曜日) 午前 06時04分