ホラー映画のクラシックである「カリガリ博士」を、鑑賞した流れで、日本映画のホラー・クラシックを、立て続けに鑑賞しました。
とにかく、ホラー映画は昔から大好物。
まずは、1953年製作の「怪猫有馬御殿」。
これは、WOWOWで、オンエアされたもの。
DVDが、しっかり残っていました。
主演は、入江たか子。
この方は、戦前に絶頂期を迎えた、日本映画屈指の美人女優。
しかし、その人気も、戦後は次第に凋落し始めます。
そして、40代を迎えた彼女が、覚悟を決めて挑んだのが「化け猫映画」。
かつての美人女優の体当たりの演技で、このシリーズは大ヒット。
彼女は、図らずも「化け猫女優」などと言われることになります。
制作は、大映京都。
大映のホラー映画として、僕がよく覚えているのは「妖怪百物語」「妖怪大戦争」。
大好きだった「ガメラ」シリーズや、「大魔神」シリーズとの併映でした。
しかし、これらはホラー映画というよりは、「特撮時代劇」と呼ばれるカテゴリーなので、今回は割愛。
この「怪猫有馬御殿」は、日本的情念や怨念で語られるホラー・ワールド。
今見改めて見ると、結構新鮮でした。
化け猫に操られる、女中たちのアクロバチックな踊り。
クライマックスは、化け猫の生首が・・
さて、プライム・ビデオのラインナップに、今まで見逃していた、日本のクラシック・ホラーが3本。
これは、一気に見てしまいました。
東宝が製作した、ゴシック・ホラー「血を吸う」シリーズです。
最初に作られたのが、「血を吸う人形」。
1970年の作品です。
若大将シリーズに代表される「明るく健康的な」社風の東宝が、こんな映画も作っていたとは。
この頃は、東宝映画の特撮映画は、片っ端から見ていた頃ですが、このホラー・シリーズは見逃していましたね。
主演は、若かりし頃の松尾嘉代と中尾彬。
モンスターに扮したのは、小林夕岐子。
「ウルトラセブン」をこよなく愛する特撮ファンとしては、この女優はしっかり覚えています。
第9話「アンドロイド0指令」で、アンドロイドの少女を演じたのがこの人。
そんなキャリアがあったからか、美人女優なら、普通は二の足を踏むモンスター役を、彼女は意欲的に怪演。
なかなか楽しめました。
第2作目は、「血を吸う眼」。
この作品では、岸田森が、吸血鬼を演じます。
先日見た「傷だらけの天使」では、綾部探偵事務所の辰巳五郎。
「ウルトラセブン」の後番組だった「怪奇大作戦」では、SRIの冷静沈着、頭脳明晰な牧史郎を演じた人。
ヒロインは、藤田みどり。
後に、岡田真澄の奥様になった方です。
そして、3作目は、1974年に製作された「血を吸う薔薇」。
前回は、セリフもほとんどなくモンスターに徹していた岸田森が、ここでは、怪しき学園の学長。
もちろん、モンスターではありますが、ちゃんと、台詞のある芝居もしています。
主演は、黒沢年男。
校医役で、田中邦衛も出ていました。
この頃になりますと、ホラー映画とは、切り離せない「お色気」サービスもあり。
チラチラと、ヌードシーンも出てきます。
「怪猫有馬御殿」のような、怨念情念の日本式ホラーではなく、多分にヨーロッパ的な、ゴシック・ホラーです。
あれ?
おかしい。確かこのシリーズには、もう一本「血を吸うカメラ」というのもあったはずだ。
そんな記憶が、脳裏の片隅にありましたので、調べてみました。
そしたら、「血を吸うカメラ」は、イギリス映画でしたね。
1961年の作品です。
さて、最後の一本は、子供の頃、映画館で見た記憶のある一本。
これは、Amazon・プライムで有料視聴です。
300円でしたが、それを払ってでも、もう一度見たいと思ったシーンは・・
主演は、まだ21歳だった、松岡きっこ。
この人を知っている人は、おそらく僕と同じ世代。
ドラマ「キーハンター」で共演した谷隼人と結婚しましたが、この人は、日本テレビの「11PM」のアシスタントも、長くやっていましたね。
お相手は、大橋巨泉氏。
自他共に認めるマセガキだった僕が、欠かさず見ていた番組でした。
彼女のことはよく覚えています。
その彼女のヌードシーンというのが、この映画にはあったんですね。
公開当時、小学生だった僕は、この映画の恐怖シーンよりも、彼女のヌードの方を鮮烈に覚えていたという次第。
それを、再見するために300円を支払ったわけです。
さて、この映画の製作は松竹。
東宝製作のゴシック・ホラーもびっくりでしたが、ホームドラマの松竹のホラー映画というのも結構意外です。
この作品の前に、「吸血鬼ゴケミドロ」というホラー映画も、作っていた松竹。
やはり、当時の特撮ブームの中では、客を呼ぶにためには、やむを得なかったのでしょう。
斜陽の映画産業は、必死になってエログロ路線で、映画館に観客を呼び込もうとしていた時代です。
映画は、この当時としては珍しくモノクロで撮影されておりまして、これも印象深い。
映画は、「昆虫大戦争」との併映。
こちらの方は、ほとんど覚えていないのですが、「吸血髑髏船」の方は、しっかり覚えていました。
デジタルの最新特撮技術を駆使したホラー映画も、もちろん楽しめますが、時にはこうしたクラシック・ホラーもいいもの。
これから、だんだんと暑くなってきます。
ホラー映画の季節です。
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