映画「クワイエット・プレイス」
映画解説者の町山智浩氏が、絶賛していたホラー映画。
それを覚えていたので、ホラーオタクとしては、スルーするわけにはいきません。
2018年の映画です。
たっぷりと録画作品したWOWOWの映画は、定年退職で、契約は終了しましたので、所持しているDVDは、およそ2015年くらいまで。
なかなか映画館にも行けませんので、それ以降の作品は、もっぱらAmazon プライムに頼っています。
ですから、準新作クラスのこういう作品が見れると嬉しくなってしまいます。
90分という尺の映画でしたが、たっぷり見応えありました。
なんといっても、アイデアが秀逸です。
音を出すと、それをキャッチして、怪物が襲ってくるという設定。
怪物は、視力ゼロ。
異様に感度の良い聴力のみで、人間の存在を感知し、食い荒らします。
そんな怪物に、襲われた2020年の地球という設定。
つまり今年ですね。
実際に、地球に襲いかかってきたのは、エイリアンではなく、ウィルスだったというわけです。
さて、映画は、いきなりエイリアンが襲来した89日後から始まります。
生き残っていたのはアボット一家。
聾唖の長女を持つ五人家族は、手話でコミュニケーションしながら、音を出すことのて出来ない世界をたくましく生き抜いています。
廃墟と化したショッピング・センターで生活必需品を確保した帰り、オモチャの飛行機の音を出してしまった4才の末っ子が、エイリアンの餌食になってしまいます。
そして、その一年後。
その悲しみを家族全員が心に抱えながらも、音の出せない生活は続いています。
そして、子供を亡くしたこの母親の胎内には、新たな生命が宿っていました。
しかし、この状況の中では、母親の妊娠自体が、とんでもないサスペンスになるという仕掛け。
はたして、声を出さずに、母親は出産することができるのか?
もし、母親は耐えられたとして、生まれた赤ちゃんは?
もうこれだけで、夫婦の覚悟が伝わってきます。
見ている方は、もうそれだけで、ドキドキ。
静かに、サスペンスが盛り上がります。
上手だなぁと思いましたね。
さて、映画のクライマックスを語るようなことはやめておきます。
一言だけ言わせて貰えば、きちんと、家族愛も描き切った感動的なラストでした。
この夫婦を演じたお二人は、実際にもご夫婦。
そして、この旦那さんの方は、監督も兼務。
長女を演じた女の子は、実際にも聾唖者とのこと。
台詞の極端に少ない映画ではありますが、そんな俳優たちの熱演もあり、この家族の絆は、しっかりと伝わってきました。
さて、そんな秀逸なホラー映画ではありましたが、おそらく、僕自身はこの映画を今後再見する事はないと断言しておきます。
それは、この映画のクライマックスの、「あるシーン」が強烈すぎたから。
自宅の50インチ液晶テレビの前でも、思わず大声を上げてしまいました。
映画館だったら、かなりの顰蹙もの。
今思い返しただけでも、ゾッとします。
申し訳ないが、あのシーンだけは、もう二度と見れません。
映画の冒頭、家族全員が、音を立てないために、裸足で歩いているところから、何か嫌な胸騒ぎがしていました。
そして、家の地下室に降りる階段で、「あいつ」のクローズアップが、写った瞬間から心臓がバクバしはじめました。
「おいおい、まさか、あいつに・・」
それは僕にとっては、エイリアンの造形よりも、遥かに恐ろしいものでしたね。
本作における耳が異様に発達したエイリアンの造形は、確かにグロテスクで秀逸。
しかし、あの怖さなら、すでにリドリー・スコット監督の「エイリアン」で予習済み。
日本のホラー映画「寄生獣」も参考にしているなと、チェックする余裕もあったくらい。
少なくとも、あいつに比べたら、ホラー映画オタクには、免疫ができている恐怖でした。
でも、あれはダメ。
怖すぎました。
僕にとっては、エイリアン以上に恐ろしいものでした。
あいつのアップがあった以上、映画的に考れば、この伏線は必ず回収されるはず。
となれば、登場人物の誰かがあれを・・
そう想像し始めただけで、心臓の鼓動がもう止まらなくなりました。
そして、クライマックでついにそのシーンが・・
この映画を見た直後、僕は、部屋の中を裸足で歩くことができませんでしたね。
「あいつ」ってなんだ?
もったいぶるようですが、「あいつ」につきましては、どうか映画を見てご確認ください。
もちろん、誰でも知っているアレですので。
故に、この映画は、二度と見ることができないと言う次第。
パート2もあるそうですが、大丈夫かな?
コメント