いつかは、全部通して見ないといけないと思っていたのがこのシリーズ。
ご存知ジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」です。
去年「スター・ウォーズ エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」が公開されて、一応ジョージ・ルーカスが構想した全9部作は完結。
しかし、シリーズは、この後も続くということです。
まだまだ、稼げるのでしょう。
ここまで、巨大化した人気プロジェクトですから、もはやルーカスの意志だけでは終われないのかもしれません。
今は、ディズニーとの共同プロジェクトになっているそうです。
ファンにとっては嬉しい話。
さて、僕が見ているのは、いわゆる「旧3部作」と言われている、3本までです。
もちろん、公開時に見た時には、このタイトルではありませんでした。
ドーンとシンプルに「スター・ウォーズ」。これだけ。
ジョージ・ルーカスによれば、本来はこのタイトルで、映画化したかったようなのですが、観客が混乱するからと20世紀フォックスからNGが出て、諦めたのだそうです。
全9部作の、第4話から映画が始まると言われれば、確かに見る方は混乱します。
しかし、この壮大なスペース・オペラを完結させようと思えば、やはり最初が肝心。
ここでコケたら、20世紀フォックスが、その後を作らせてくれる訳がありません。
そこで、比較的に起承転結が明快な、エピソード4からの製作になったそうです。
ジョージ・ルーカスは、この全9話の脚本執筆に丸々2年を費やし、自信満々で撮影に入ったのですが、周囲の反応と評価は最悪。
こんなB級なスペース・オペラなど、テレビでこそ受けるかもしれないが、お金をかけて作る映画ではないと酷評されて、次第に意気消沈。
全米公開の日には、恐ろしくて、すべての連絡方法をシャット・アウトして、ハワイに逃げていたそうです。
しかし、評論家たちがどう言おうと、観客はこんな映画を待っていました。
映画は大ヒット。
それまで「ジョーズ」が持っていた興行収入記録を、「スタ・ウォーズ」はあっさり塗り替えてしまいました。
SF映画は、明らかに、「スター・ウォーズ」以前と以後で、はっきりと変わってしまいます。
この年のアカデミー賞授賞式で、司会のボブ・ホープが、キラ星の大スターを前にして、開口一番こんなことを言ってました。
「今夜は、まさにスター・ウォーズ!」
さて、そんなわけで、全9作は、最終作品を除いて、全てWOWOWで録画してあるのですが、どの順番で見るかは迷いました。
ジョージ・ルーカスが構想したストーリーの順番で見るか、それとも公開順で見るか。
映画「ゴッドファザー・サーガ」というのがあるのですが、Part 1 とPart2を、年代順に編集し直したバージョンです。
僕はこれを見ていませんが、映画評論家の松崎建夫氏が、そう編集されると感動がイマイチと言っていたので、ここはその意見を尊重して、公開順で見ていくことにします。
さて、そんなわけで、記念すべき「スタ・ウォーズ」第1作。
公開は、1977年。
ルーク・スカイウォーカーに、マーク・ハミル。
ハン・ソロ船長にハリソン・フォード。
レイア姫にキャリー・フィッシャー。
オビ=ワン・ケノビに、アレック・ギネス。
ターキン総督にピーター・カッシング。
脇役は、名優で固めましたが、主演の三人はこの当時は、まだかけ出しの俳優。
この映画のヒットで、三人は一躍スターの仲間入りを果たしました。
なんといっても、この映画が、観客を惹きつけたのはも視聴覚効果。
それまで、こちらが慣れ親しんできたのは、円谷プロによる特撮映画の映像です。
東宝特撮映画や、テレビの「ウルトラ・シリーズ」における宇宙描写が、ある意味では全てでした。
しかし、それが完全に「ちゃちい!」と認識せざるを得ないくらいの圧倒的なクゥオリティ。
それまでは、実は日本の特撮技術は世界最高水準であったわけですが、この映画の登場で、それは完全に過去のものになってしまったというわけです。
冒頭20分、主人公の3人は顔を見せません。レイア姫がチラリと登場するだけ。
全シリーズを通じて、物語の語りべとなる、2体のアンドロイド、C3PO と R2D2だけで物語が進行します。
この2体のアンドロイドが、黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」における千秋実と藤原鎌足の凸凹コンビがモデルになっているというのは有名な話。
DVDのコメンタリーで、ジョージ・ルーカスもそう言っていました。
しかし、この映画は、それだけではありません、
戦争映画、西部劇、ラブ・ロマンス、冒険活劇、クリーチャーもの。
今までのハリウッド映画の、娯楽要素がてんこ盛り。
永らくアメリカに暗鬱な空気を漂わせていたベトナム戦争が終わり、アメリカを内省的に描いてきたニュー・シネマにそろそろ飽きてきた観客は、このとびきりイキのいいスペース・ファンタジーに飛びついたと言うわけです。
ちなみに、この映画をSF映画と見るのは、どうもあまり当たっていない気がします。
やはり、この映画はスペース・オペラ。
映画を見ながら、チマチマと科学的検証をするなんて見方は愚の骨頂。
「このファルコンは、高速の1.5倍のスピードが出るんだぜ。」
ハン・ソロ船長は、自慢げにそう言いますが、おいおい待て。
そんなのは、アインシュタイン博士の相対性理論に従っていないなんて、野暮なことはいうべからず。
少年時代のジョージ・ルーカスが、ワクワクしながら見ていたように、観客は手に汗握りながら、銀河を舞台にした冒険活劇を堪能すればそれでよし。
新型コロナ騒動と、異様に長く続く梅雨で、塞ぎがちな気分を晴らしてくれるのは、やはりこんな映画でしょう。
百姓としても、ここまで雨が続くと、野菜への被害も甚大。
しかし、大丈夫、大丈夫。
オビ=ワン・ケノビも言っています。
「フォースは、君と共にある。いつでも」
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