フランケンシュタイン
モンスター映画の古典中の古典。
1931年にユニバーサル映画が制作した、本家本元の「フランケンシュタイン」を始めてみました。
とにかく、この映画でボリス・カーロフが演じたモンスターのキャラクターはあまりにも有名。
そのキャラクターも、先日見たドイツ映画「カリガリ博士」に登場する「眠り男」に影響されていたことは今となればわかりますが、首を貫くボルトや、四角く飛び出した額など、モンスターデザインの完成度はこちらの方が格段上。
そして、そのモンスター然としたぎこちない動きは、今のゾンビ映画に大きく影響していることは歴然です。
この強烈なインパクトを持って登場した怪物は、その後のホラー映画の王道を歩み、世界中に拡散していきました。
僕がこの名前を初めて知ったのは小学生の頃。
当時テレビにかじりついて見ていたロボット・アニメの古典「鉄人28号」でした。
この中に、マッド・サイエンティスト不乱拳酒多飲博士が一人で作り上げた怪物「モンスター」が登場します。
これが最初。
ご存知の通り、フランケンシュタインというのはモンスターを作った科学者の名前なのに、モンスターの方がいつの間にかフランケンシュタインとして認知されるようになってしまったという経緯がありますが、あの頃の鉄人マニア少年たちは、不乱拳博士とモンスターの住み分けはちゃんとできていたと思われます。
その次の出会いも日本の漫画。
今度はガラリと雰囲気が変わって、コミカルなフランケン。
藤子不二雄の「怪物くん」に、ドラキュラや狼男と一緒に登場したフランケン。
全編通じて、彼のセリフはこれだけ。
「フンガー!フンガー!」
「怪物くん」は、テレビアニメとし有名ですが、本屋の息子としては、ちゃんと「週刊少年キング」連載の頃からしっかり押さえておりましたね。
そして、その次の出会いは、東宝特撮映画。
1965年に公開された我らが本多猪四郎監督の「フランケンシュタイン対地底怪獣」
これは、公開当時に大宮東宝白鳥座に見に行っていますね。
同じ監督ではありますが、通常のゴジラ映画とはちょっと違ったテイストになっていることは子供にも理解できる怪獣映画でした。
同じ系統の「サンダ対ガイラ」と共に、あのころ見まくっていた特撮映画の中では特に強烈な印象が残っています。
ボリス・カーロフも、モンスターとして生を持ってしまった自分の悲哀を絶妙に表現していましたが、撮影に入る前に改めてこの映画を再見したという本多猪四郎監督も、そのあたりはきちんと踏襲している大人の演出を心がけていて、あの巨大になったモンスターの着ている服は誰がどうやって作った問題などは、キレイに吹っ飛んでいました。
城から脱走したモンスターが村に降りてきて、湖畔にいた少女を見つけ、一緒に遊んでいるうちに殺してしまうというシーンがあります。
あれ?
このシーンは絶対見たことがあるぞと、突然記憶がデジャブー。
すぐに思い出しました。
1973年のスペイン映画「ミツバチのささやき」です。
5才の少女が、村にやってきた巡回映画で、この作品を見ているんですね。
そして、この湖畔のシーンが、後の物語の重要なモチーフになっていきます。
あれは、静かでいい映画でした。
子役の演技としては、僕の記憶にある中では、あの映画のアナ・トレントが今でもベスト・オブ・ベスト。
というわけで、フランケンシュタインに関しては、これだけの大回りをして、やっとオリジナル作品にたどり着いたという次第。
この作品は、DVDコレクションにもないもので、Amazon プライムに感謝。
しかし、オリジナルという面では、この映画も、1816年にメアリー・シェリーが18歳で書いた原作のゴシック小説のイメージからは、大きく乖離しているそうです。
多分に映画的デフォルメや、設定変更が行われていて、このオリジナル原作のイメージに近いのが、1994年にフランシス・フォード・コッポラが監督した「フランケンシュタイン」とのこと。
こちらはまだ未見です。
百姓になってから、日々野菜たちの成長を見つめる毎日を送っているうちに、この映画の中のフランケン博士の雄叫びのように名セリフが、突如口をついて出てくることがしばしばあります。
“It’s alive ! It’s alive!”
「生きてる! 生きてる! 」
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