現代語古事記 神々の物語
問1. 「古事記」編纂までの経緯について、200字以内で述べよ。
現存する日本最古の歴史書。天武天皇の命により、稗田阿礼が誦習した文献を、712年太安万侶が編纂し、時の元明天皇に献上した。
神代における天地創造から、推古天皇の時代に至るまでの史記を神話として表現し、歌謡なども取り入れエンターテイメント性も加味しながら、天皇家が大和国を統治する正当性を記録として残すことを主たる目的として編纂された歴史書。
高校時代も、古典の成績はそれほど良くありませんでしたが、古事記について、今回答すればこんなことでしょうか。
まあとにもかくにも、これほど登場人物の多い本はありません。
小説なら、ストーリーは完全に破綻しますね。
読者はまずついてゆけません。
日本という国は、もともと八百万(やおよろず)の神様の国。
自然を司る全てのものに神が宿っているというのが、先祖代々から伝わる宗教観の基本。
西洋の宗教のように、唯一絶対の神を崇め奉る宗教とは、根本的に違うわけです。
もちろん登場人物のほとんどは、万物に宿る神様たち。
古事記の約半分を解説した本書だけでも、登場する神はおよそ100人以上いましたから、全体ではどれだけの神様が登場するのでしょうか。
古典ミーハーとして、知っていた神様は、天照大水神、イザナギノミコト、イザナミノミコト、須佐之男命、海彦、山彦くらいのものでしょうか。
読んでいて記憶にあったのは、有名な天岩戸のエピソード。
おなじみの因幡の白兎の物語。
そして、八岐大蛇を退治した須佐之男命の冒険談くらいでしょうか。
須佐之男命は、又の名をヤマトタケルノミコト。
これは、子供の頃に見た「東映マンガ祭」で上映された一本「わんぱく王子と大蛇退治」で覚えていました。
古事記を題材にしたアニメーションでしたので、この本を読みながら、脳裏を巡っていたビジュアルは、この映画のイメージだったかもしれません。
いにしえのS F作家たちが、自分たちが理解できる日常のレベルのサイエンスを踏まえつつ、自分たちには到底説明しきれない、天地創造や国造り、森羅万象、自然の全ての営みについて、崇拝の意を込めて、神々の物語に置き換えていった壮大なるファンタジーが古事記の世界というわけです。
登場するエピソードは、もちろん限りなくフィクションですが、果たしてそれが当時の世相を反映した何のメタファになってるのか。
そんなことを想像しながら、読んでいくと結構面白い。
もちろん、現代語訳になっていなければ、読めない本ではありますが、1300年前の名もなき作家たちのイマジネーションの豊かさは楽しめます。
すべてのものに神が宿ると考えた、我々の古き先輩諸氏。
このDNAを引き継いできた我々は、自分は無宗教などと言いながらも、案外世界で一番信仰心が深い国民かもしれません。
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