007 黄金銃を持つ男
さて、1974年公開の「黄金銃を持つ男」
シリーズ9作目で、ロジャー・ムーア・ボンドとしては2作目。
今回の宿敵は、一人100万ドルで依頼を受けるという殺し屋のスカラマンガ。
演じるのは、ドラキュラ俳優で名を馳せたクリストファー・リー。
彼は、実は原作者イアン・フレミングの従兄弟なのだそうです。
フレミングは、シリーズ1作目の「ドクター・ノー」は、彼をイメージして原作を書いたと語っており、出演も望んだそうですが、その時は実現せずに、ジョセフ・ワイズマンがドクター・ノーを演じました。
そして、本作で殺し屋スカラマンガとして登場。
(ちなみに、最初にオファーしたのは、ジャック・パランスだそうです)
やはり、見ている方はドラキュラのイメージが強烈ですので、彼が歯を剥き出して笑うシーンなどは、牙があるのではないかと思ってしまいましたね。
本作のロケ地は、香港・マカオ・タイ。
かなり、アジアのイメージがごちゃ混ぜになっていました。
なぜか相撲の力士も登場。苦笑いです。
クンフー・アクションも登場。
これは、明らかに前年大ヒットした「燃えよドラゴン」の影響。
時代を読んで、きちんとブームには乗っていくというのが、ジェームズ・ボンド・シリーズの真骨頂。
前作に引き続き、今回もボートアクションが炸裂。
ボートジャンプは前作よりも難度を上げ、一回転ひねりでしたね。
引き続いてといえば、前作登場のペッパー保安官が、夫婦でバカンスに訪れているという設定で本作にも再登場。
同じく、コメディ・リリーフでボンドと絡んでいましたが、ユーモアを前面に押し出したロジャー・ムーアとは相性がよろしいのでしょう。
本作では、メインのボンド・ガールは二人。
スカラマンガの愛人アンドレアに扮するのがモード・アダムス。
スラリとした長身の美人です。
スカラマンガを裏切って、ボンドに助けを求めますが、それを知ったスカラマンガに殺されてしまいます。
もう一人は、ブリット・エクランド。
ボンドの助手を演じます。
アンドレアとの対比で、彼女はかなりコメディタッチに演出されていました。
この人は、よく覚えていて、当時「小さな恋のメロディ」で人気沸騰中のマーク・レスター主演のミステリー映画「ナイト・チャイルド」に出演していました。
風呂場で、マーク・レスターが背後から彼女のバストを触ろうとするシーンがあって、それを目当てに、有楽町まで出かけた記憶があります。
あの頃は、その手の映画は、逃さずチェックしていました。
ロッド・スチュアートの彼女としても有名な人でしたね。
面白かったのは、香港の英国諜報部秘密事務所が、火災事故の後、ビクトリア・ハーバーでスクラップ寸前の状態で浮かんでいたクイーン・エリザベス号の船内にあるという設定。
逆さまのまま斜めになって浮かんでいたため、内部のセットが、全て傾いたままデザインされていました。
思わずニヤリ。
これも、大ヒットした「ポセイドン・アドベンチャー」の影響かもしれません。
映画の中でマクガフィンになっているのが、ソレックス・アジテーター。
太陽光エネルギーの変換器です。
今では当たり前になった、太陽光パネルも登場してきます。
世界的なオイルショックがあったばかりの頃で、次世代のエネルギーとして、太陽光にスポットを当てた設定。
前々作の「ダイヤモンドは永遠に」では、ダイヤモンドを使ったレーザー光線なんていう設定でしたから、かなりリアルに時代感覚にあったものになってきています。
そうそう。
ボンドたちが使っていたトランシーバーには、しっかりと「SONY」のロゴが刻まれていました。
あの一瞬のシーンのために、SONYがどれくらいのタイアップ代を支払っていたのでしょうか。
さて、次作は「私を愛したスパイ」です。
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