さて、いよいよ007シリーズも、21作目に突入。
「カジノ・ロワイヤル」です。
イアン・フレミングの原作としては、長編一作目ですから、本家本元のイオン・プロとしても、映画化はしたかったところですが、長らく原作の権利の問題で出来なかったようです。
そこらあたりが片付いようですね。
ジェームズ・ボンド役は、6代目になります。
ダニエル・クレイグ。
彼は、1968年生まれですから、いよいよ僕よりも年下のボンドが登場です。
ダニエル・クレイグのニュー・ボンドは、今までのボンドのイメージをかなり刷新してきました。
金髪で、短髪のマッチョマン。
そして、これまでのボンドにはない、圧倒的な身体能力。
これを最大限活かすために、今回は秘密兵器担当のQがキャスティングされていません。
ボンド・カーには何の仕掛けもなければ、スイッチひとつで足りるような武器もほぼなし。
今回のボンドは、ほとんどのアクションで、自らの体を張っていますね。
特に、爆弾密造人を追跡するシーンでは、これまでのボンドのような飛び道具は一切出てきません。
ボンドは、走る、跳ぶ、転がるオンリーの肉弾シーン。(重機にちょっと乗ってましたが)
パルクールの技もふんだんにでくるこのアクション・シーンは、ちょっと見応えがありました。
映画は、後半からカジノのシーンになってくるので、ダニエル・クレイグのお披露目となる前半は、これでもかというくらいに肉体アクションの連続。
これは相当気合が入ってました。ジャッキー・チェンも驚くほど。
17作目の「ゴールデン・アイ」も監督した、マーティン・キャンベルは、ダニエル・クレイグのニュー・ボンドを、まずはしっかりと、この前半でアピールしていました。
さて、シリーズは、本作において、その設定が、完全にリブートされています。
本作でのボンドは、冒頭でMI6内部の裏切り者を射殺する功績を持って、初めて00ナンバーを与えられるという設定。
つまり、今回が、映画の中のボンドにとっても、ファースト・ミッションということになります。
前作から、引き続いている役柄は、ジュディ・デンチが演じたMのみ。
Qだけではなく、ミス・マニーペニーもキャスティングなし。
前作までのピアーズ・ブロスナン007でのー見かけたMI6のスタッフも、刷新されていました。
ジュディ・デンチのMも、やや冷たいキャラになっていたような。
そうそう、前作までの定番だった冒頭のガンバレル・シークエンスも完全リニューアル。
お馴染みのジェームズ・ボンドのテーマも、エンド・クレジットまで出てこないので、色々な意味で新装オープン的な007映画になっていますね。
ボンド・ガールは、エヴァ・グレーン。
彼女が演じたのは、イギリス金融活動部ヴェスパ・リンド。
モンテネグロのカジノ・ロワイヤルで、テロリストに対してマネーロンダリングを行なっているル・シッフルが画策している一攫千金を阻止する任務を受けたボンドを、監視するのが彼女の役どころ。
いつものように、いい関係になってしまう二人ですが、この初々しいボンドは、任務終了後、彼女との結婚を決意して、Mに辞表を送るという展開。
ボンドがそのメールを送っていたノートパソコンはVAIOでした。
(僕が当時使っていたのもこれ)
結局二人には、悲劇的結末が待っているのですが、大真面目にボンド・ガールとの恋愛が展開されるのは、第6作目の「女王陛下の007」以来でしょうか。
ここまで、順番に007シリーズを見てきた僕の記憶が間違いなければ、ジェームズ・ボンドが、映画の中で、ボンド・ガールに対して”I love you” と言ったのは初めてだったんじゃなかろうか。
そして、ラストが、バッドエンドで終わるのも、6作目以来でしょう。
しかし、本作では、次回作に続くように、そこはひとひねりしています。
個人的に印象深かったシーンがあります。
二人が命を狙われた後、ボンドがヴェスパの部屋に行くと、彼女は恐怖に震えながら、シャワーの下で座り込んでいます。
ボンドは、優しく彼女の隣に寄り添います。
「指の先の血が取れない」と泣きじゃくる彼女の指をそっと口に含むジェームズ・ボンド。
歴代のボンド・ガールはみんな気丈でしたから、こんな繊細なボンド・ガールにはちょっとドキリとしました。
これまで、007シリーズを見てきたファンからは、この新生ボンドに、当初はブーイングも多かったそうです。
しかし、ダニエル・クレイグは、今までのボンドが持っていた甘さやユーモアは一切排除して、最も原作のイメージに近い、寡黙だけれど心優しいボンドを演じ切りました。
そして、本作は、過去最高の興行収益を叩き出したわけですから、ダニエル・クレイグには、ファンたちから、ジェームズ・ボンドをを演じる許可証が与えられたということになりそうです。
次回作は、「007 慰めの報酬」です。
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